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平成24・2012年5月24日 読売新聞社
郷土の人、出来事学ぶ「鳥羽少年探偵団」
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鳥羽市ゆかりの人物や出来事を調べた市内の中学生の活動をまとめた冊子「鳥羽少年探偵団10年の歩み」が出来上がった。探偵団は、市が子どもの頃から郷土について学べる組織として2001年度から10年度まで続き、2年生がテーマを一つずつ決めて取り組んだ。冊子は元団員らに届けられる。(中村和男)
冊子はA4判、カラーで36ページ。市教育委員会が500部作成し、歴代の団員100人や指導者5人、県内の図書館などに配布する。
探偵団の名前は、青春時代に鳥羽の造船所で働いた作家江戸川乱歩にちなんで付けられた。
乱歩の孫の平井憲太郎さん(東京都)から「世界中の謎を一緒に解こうじゃないか」というメッセージを受け、文化財専門委員といった地元の専門家が明智小五郎役の指導者となって「指令」を出した。毎年、市内6中学の2年生10人前後が団員となり、市ゆかりの著名人の足跡などを調べた。
1期生は東京都にある乱歩邸の土蔵に所蔵された本などを閲覧し、2期生は、戦国時代の水軍の将・九鬼嘉隆が築造した鳥羽城跡などを調査し、九鬼家が国替えで移った兵庫県三田市や大阪城を訪れた。
第3期のテーマは、神島を舞台にした「潮騒」を書いた作家三島由紀夫。鳥羽東中生で団員だった市教委学校教育課の木村真子さん(22)は「初江のモデルを探せ」の指令を受け、神島に渡った。「同じ市内なのに神島について知らなかった。自分の住む町について学び、他校の生徒と交流できたのが良かった」と振り返る。
09年度は、奈良時代の木簡に志摩国(志摩半島)に住むと記された大伴部(おおともべの)祢麻呂(ねまろ)と御食国(みけつくに)をキーワードに「海がもたらす恵み」について調査。木簡に記された史実を再現しようと、天平時代の衣装で鳥羽の海産物を奈良県庁に献上した。
離島などで生徒数が少なくなり、参加者が集まらなくなったこともあり、活動は10年間で終わった。斎藤陽二教育長は「団員だった人には、この冊子を手に、郷土に対する愛着や誇りを持ち、鳥羽の活性化に活躍してくれることを期待したい」と話している。
(2012年5月24日 読売新聞)
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