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Nabari Ningaikyo Blog
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Posted by 中 相作 - 2012.05.25,Fri

 名張の名を背負ったブログとしては、きょうの話題は、やっぱ、まずこれだろうね。

 

 ▼Google ニュース:名張毒ぶどう酒事件 のニュース検索結果

 

 奥西勝さんの再審請求が、名古屋高裁によって退けられた。

 

 中日新聞のウェブニュースを無断転載。

 

…………………………………………………………………………………

 

名張毒ぶどう酒事件の再審開始認めず

 

2012年5月25日 13時20分

 

20120525b.jpg

 

名張毒ぶどう酒事件の再審開始が認められず「不当決定」の幕を掲げる弁護士=25日午前10時1分、名古屋高裁前

 

 名張毒ぶどう酒事件の第7次再審請求差し戻し審で、名古屋高裁刑事二部(下山保男裁判長)は25日午前、弁護側が提出した新証拠は「毒物がニッカリンTではないことを示すほどの証明力はなく、確定判決に合理的な疑いは生じない」として、検察側の異議を認め、奥西勝死刑囚(86)の再審を開始しないと決定した。いったんは再審を開始すると判断した名古屋高裁刑事一部の決定(2005年)を取り消した。

 

 今回の決定により、死刑執行の停止は取り消された。弁護団は決定を不服として5日以内に最高裁に特別抗告する。棄却されれば第8次再審請求も検討するが、奥西死刑囚の年齢面から今回が事実上「最後の再審請求」と位置付けている。事件発生から51年、再審の扉が開かれるのは相当難しくなった。

 

 差し戻し審の争点は毒物が、当初の自白通りニッカリンTか否かだった。高裁はニッカリンTを再製造し、最新機器で鑑定した。

 

 決定は、ニッカリンTなら含まれるはずの副生成物が「エーテル抽出」という工程の後には検出されなかった点を重視した。

 

 弁護側は、エーテル抽出の前段階では、副生成物が検出されたことから「毒物はニッカリンTではなく別の農薬だ。自白が根底から崩れた」と主張していた。しかし、下山裁判長は、飲み残しのぶどう酒から副生成物が出なかったのは、「(水と化学反応する)加水分解の結果、検出されなかった余地がある」とし、検察側の主張通り「毒物がニッカリンTでなかったとまでは言えない」と認めた。

 

 ただ「加水分解した」との理由は、検察側も主張していない。それでも下山裁判長は、当時の鑑定は事件から2日が過ぎ、出るはずの副生成物が加水分解してほとんど残らなかった、と推論した。

 

 奥西死刑囚は逮捕後、全面的に自白を翻したが、下山裁判長は「請求人以外に毒物を混入した者はいないとの判断はいささかも動かず、自白は十分信用できる」と判断した。

 

 刑事裁判の原則「疑わしきは被告人の利益に」が再審にも適用されるべきだとした最高裁「白鳥決定」(1975年)以降、死刑囚の再審が開始されたのは財田川、免田、松山、島田事件の4件。開始決定がいったん取り消された免田事件も含め、いずれも再審で無罪となっている。

 

 第7次再審請求は、05年に名古屋高裁刑事一部が「ニッカリンTを入れたとの自白の信用性に疑問が残る」として再審開始を決定したが、06年に高裁二部が取り消し。最高裁は10年に「毒物の審理が尽くされていない」として、高裁に審理を差し戻した。

 

(中日新聞)

 

…………………………………………………………………………………

 

 うーむ。

 

 こりゃやっぱ、不当決定というべきだろうな、とあたいも思う。

 

 2ちゃんねるの声はどうか。

 

 ▼【裁判】名張毒ぶどう酒事件、名古屋高裁が再審開始を取り消し:全部

 

 どうでもいいけど、こんなんがあった。

 

 ▼【裁判】名張毒ぶどう酒事件、名古屋高裁が再審開始を取り消し:368

 

 乱歩は、「毒ぶどう酒」「平井堅」「平家みちよ」と並ぶ「名張三大名物」とのことであるが、これじゃ三大じゃなくて四大だろうがよ。

 

 えーっと、それでまああたいは、名張の人間だからってんで、ごくたまに、よその土地のひとから、この事件のことを尋ねられることがあって、そんなこともあるからってんで、2006年の12月26日、名古屋高裁が前年4月に決定した再審開始を取り消すというわけのわかんない展開になったとき、この事件についていささかを記した。

 

 ▼名張人外境:人外境主人伝言 > 2006年12月下旬

 

 読み返してみると、ほかの話題もごちゃごちゃ混じっていて、あんまり読みやすくないから、関連箇所だけ、以下に引いてみる。

 

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 事件の発生は四十五年前、昭和36年3月28日のことであった。名張市内の葛尾公民館で三奈の会という生活改善クラブの総会が開かれ、女性用に出されたぶどう酒を飲んだ十七人のうち五人が死亡した。ぶどう酒には農薬が混入されていた。死者のなかには奥西さんの妻と愛人が含まれていた。

 

 3月29日。奥西さんは警察の取り調べを受けた。刑事が家にやってきて、参考人調書を取っていった。警察は惨劇の舞台となった総会の出席者全員から事情を聴取しており、この時点で奥西さんに疑いの眼が向けられていたわけではなかった。

 

 3月30日。警察での取り調べがはじまった。むろん任意によるものだが、断れるものではない。警察の車が毎朝奥西さんを迎えに来て、夜遅く自宅に送り届けた。警察は奥西さんと妻および愛人との関係に強い関心を抱いていた。三人の関係は集落内では周知の事実であり、事情聴取の段階で複数の住民がそれを証言していた。しかし奥西さんは当初、愛人との関係を否定していた。捜査本部はそのことに不審を抱いた。

 

 3月31日。奥西さんは犯人かもしれない人物として、集落内のある主婦の名前をあげた。捜査本部は奥西さんへの疑惑をさらに深め、愛人との関係を軸に追及すれば奥西さんを落とせると判断した。

 

 4月1日。捜査本部に三重県警のエースと呼ばれていた警部補が加わった。追及は厳しさを増した。愛人との関係も含め、知っていることを洗いざらい話さなければ家に帰さない。奥西さんは警部補からそういわれた。奥西さんには家に帰らなければならない理由がふたつあった。自宅の精米機に水を入れてすぐ動かせるように準備してあったのだが、そのままにしておくと錆びついてしまう。もうひとつの理由は盗電だった。奥西さんは自宅の電線に細工を施し、電気の使用量をごまかしていた。そろそろ電力会社がメーターの検針にやってくるころだから、その前に細工をもとどおりにしておかなければならない。奥西さんは供述をはじめた。愛人が原因で夫婦仲が悪くなり、口喧嘩が多くなっていたことや、事件直前に公民館で妻がしゃがみ込んで何かしている姿を目撃したことなどを話した。供述を終えて警察の車で自宅に帰ったが、刑事はそのまま家にあがってきて、徹夜で奥西さんを監視した。

 

 4月2日。秘密にされていたはずの前日の供述内容が、毎日新聞にスクープされた。社会面トップに「三重毒酒事件“妻が農薬入れた”/奥西元会長が供述/「やったな」と瞬間思った/シットから無理心中か」との見出しが躍った。奥西さんの妻が愛人を殺して自分も死ぬために、総会でふるまわれるぶどう酒に農薬を混入したとする捜査本部の推定も記されていた。報道合戦に拍車がかかり、奥西さんの家には早朝から記者が詰めかけた。午前8時、奥西さんは警察から来た迎えの車に乗り込んだ。眼の周囲には疲労と苦悩を物語る黒いくまが浮かんでいた。

 

 以上、江川紹子さんの『名張毒ブドウ酒殺人事件 六人目の犠牲者』(2005年7月、新風舎文庫)にもとづいて奥西勝さんの取り調べ状況を要約しました。江川さんの記述は奥西さんの手記と弁護人への手紙、公判での証言などをもとに再現されたものです。

 

 以下、原文を引用いたしましょう。文中の千鶴子は奥西さんの妻、ユキ子は愛人、辻井は警部補の名前なのですが、登場する人名は奥西勝さん以外いずれも仮名となっております。

 

 「千鶴子が犯人なら、お前も同罪だ。千鶴子が犯罪を犯したのは、お前の女関係のせいだ。お前も責任を取らなくてはならない」

 

 勝は黙ったまま、心の中で辻井の言葉を反芻した。

 

 (そうかもしれない。もし妻がこんなことをやったとすれば、ユキ子に対する嫉妬心だ。その原因を作ったのは自分だ。妻に農薬の置き場所を教えたのも自分だ。どっちみち責任は取らなくちゃならないのかもしれない……)

 

 辻井はさらに勝を揺さぶった。

 

 「お前が犯人は千鶴子だと言うから、部落の人がお前の家に押し掛けている。お前の親父やお袋は、もう自殺すると泣いてるぞ。今、現地から帰った警察官が言ってるんだから、間違いない。お前どう思ってるのか」「早く謝らんと、家族がどうなるかわからんぞ」

 

 繰り返し述べ立てる家族の状況を、勝はすっかり信じ込んだ。

 

 実際、前夜の供述が新聞に報道されて、家族はかなり動揺していた。千鶴子の母は血相変えて、勝を責め立てた。

 

 (自分がやったと言った方が、家族のためになるかもしれない)

 

 ふっとそう思った。

 

 盗電や精米機のことも頭をよぎった。

 

 勝が黙ったままでいると、辻井が部屋を出ていった。もう一人の取り調べ官山川巡査部長と二人で差し向かいになり、取り調べも中断された。勝は、比較的穏やかな山川には相談してもいいかもしれないという気になり、盗電と精米機の話をした。

 

 「こういうわけで、早く調べを終えて帰して下さい」

 

 山川は、盗電の方法について詳しく聞き取った後、六法全書らしい分厚い本をパラパラとめくった。

 

 「お前さん、この事件に関係してなくても、電気工事のことだけで、逮捕できるんだよ」

 

 「ええっ、どういうことですか」

 

 もちろん悪いこととは知っていたが、逮捕されると聞いて、勝はすっかり動揺した。

 

 「これからの調べにちゃんと答えれば電気工事の件と精米機のことは、お前さんが望んでいるようにしてやってもいいが……」

 

 山川はそんなことを呟いてから、「ちょっと待ってて」と部屋を出た。勝が一人、残された。

 

 〈それで私は、一人考えぬいた上、電気工事でタイホされるか、ブドウ酒事件のために取〔調べ〕官の強要する偽った供述をするかに迫られた状態でした〉(勝の弁護士宛て手紙)

 

 彼の記憶では、事件当日、大石松男宅に寄ってブドウ酒を預かった時には猪口寿美子や松男の母カツヨがいた。大石宅を出たところで桜井時子に会ったし、彼女は途中で岩村藤子と合流して勝のすぐ後ろを歩いて、公民館に来た。

 

 勝は部落の人たちの顔を思い浮かべた。

 

 (ここで自分がやったと嘘を言っても、後でみんなが本当のことを話してくれるだろう。そうすれば真実は分かることだ)

 

 辻井と山川が部屋に戻ってきた。

 

 「どうだ。本当のことを話す気になったか」

 

 「はい」

 

 「やったのはお前か」

 

 「そうです」

 

 すぐに調書が取られた。

 

 〈前回、私はまったく嘘を言っておりましたことを先ず最初に心からおわび致します。それでただ今から本当のことを申しますから、これまでのことは一部取り消して欲しいと思います。私は、今回世間を騒がした毒ブドウ酒事件の犯人でありますから、ただ今からそのことについて申します〉

 

 調書の日付は四月二日になっていたが、すでに時計は十二時を回り、三日未明に入っていた。

 

 午前四時に逮捕状が執行された。続いて作成された弁解録取書の時間は四時五分である。

 

 〈私に対して逮捕状に書いてあります犯罪事実の内容を読んで聞かせて貰いましたが、その事実の通り相違ありません。私は妻千鶴子と木田ユキ子の両名を殺すつもりでいたところ、このような大それた結果となってしまったものであります〉

 

 【註】(下)につづく。

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