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Nabari Ningaikyo Blog
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Posted by 中 相作 - 2012.05.06,Sun

 大型連休ももう終わりやけど、きょうのお天気はいったいなんなんだろうね。

 

 肌寒くて、風、雨、雷。

 

 きょうがきのうのつづきだとは、とても思えないようなお天気である。

 

 それで、きのうのきのうのきのう、5月3日に大阪でお酒を飲んだとき、乱歩の定義の話になりましてな、という話。

 

 乱歩は、探偵小説を定義するにあたって、本来であれば謎と書くべきところ、うっかり秘密と書いてしまいましてな、という話である。

 

 乱歩の定義には、どう考えたって不用意というしかない謎と秘密との混同があって、そこに乱歩の作家的本質がはしなくも露呈しているわけなんだけど、とあたいには思われるんだけど、そうしたうっかりにもとづく誤謬がまったく無批判に受け容れられて現在にいたっている、みたいな光景こそが、日本人には本格探偵小説なんて向いてないんじゃね? という乱歩の認識をなによりも雄弁に実証しているのではないか、みたいな話をしたわけね。

 

 でもって、けさ、犬と散歩しながら、ふと思ったのは、これが乱歩の釣りだったら死ぬほど面白いな、ということであった。

 

 いわゆる、壮大な釣り、ゆうやつやね。

 

 つまり、乱歩はわざと混同した、と考えてみるわけ。

 

 ほんとは謎なんだけど、釣りの仕掛けとして、あえて秘密ということばをつかった定義を発表し、あとは知らん顔をしていた。

 

 それで、いやいや、いやいやいやいや、おおそれながら乱歩先生、ここは秘密じゃなくてやっぱ謎でしょうが、と指摘する人間が現れてくるのを待ってたんだけど、いつまでたっても出てこない。

 

 それはまあ、乱歩の定義に異を唱える、なんてことは、当時の探偵小説関係者にはとてもできない相談だった、ということもあっただろうけど、それ以前に、乱歩の定義を吟味してみよう、という人間なんてひとりもいなかったのではないか、というか、乱歩の定義を検証してみる、みたいなことはとても失礼で、してはいけないことである、といったふうなあたりが探偵小説関係者の一般的な感覚だったのであろうと思われる。

 

 そういうのって、いうまでもなく、論理や合理からはほど遠い感覚であって、換言すれば、本格探偵小説には向かない心性、ということになると思う。

 

 だから、壮大な釣りを仕掛けた乱歩は、いつかだれかが指摘するだろう、と思っていた謎と秘密との混同が、いつまで待ってもだれにも気づかれず、それどころか、こっそりと釣り針を仕掛けた定義がそのまま金科玉条として拳々服膺されているのをまのあたりにして、やっぱりな、日本人ってのはな、ほんと、論理からも合理からも遠く隔たった民族なんだよな、そんなことだから本格探偵小説の面白さが理解できねーんだよ、ばーか、生の魚でも食ってろ、とか思っていた、みたいなことがあったんだったら、なんかもう死ぬほど面白いな、とか犬と散歩しながら思ったんだけど、そんなことあるわけないよね。

 

 ただまあ、敗戦直後には本格探偵小説至上主義を高らかに宣言してはいたものの、それは一時の気の迷いというやつで、たとえば昭和28年には、乱歩は「探偵小説あれこれ」という座談会で、「理屈や筋で読むのが日本では少いのだ。本格ものは発展しないよ」と述べているありさまであって、無理無理無理無理、とても無理、本格にはほんとに向かない民族なのね、というのが乱歩の日本人観であったことはまちがいない。

 

 ついでにいっとくと、先日も記したとおり、乱歩の定義にかんするあたいの難癖は、しごくまっとうで、それこそ論理や合理にしっかり裏打ちされたものであると自負もしているわけなんやけど、どうもミステリファンの心に響かない指摘であるらしく、それはなぜか、と思案をめぐらせてみた結果、はっはーん、と思いあたったのは、あたいの指摘を正当なものと認めてしまう、ということは、取りも直さず、自分がうかつな読み手であった、ということを認めてしまう、ということになるんだから、とてもすんなりとは受け容れがたいということなのかもしれないね、ということであって、けさ、大型連休最終日の朝、犬と散歩しながら、あたいはそんな結論にたどりついたのであった。

 

 ま、そのあたりのことはどうだっていいんだけど、そういえば、日本人は生の魚でも食ってろ、でおなじみのミック・ジャガーさんのこんなウェブニュース、あたいは感慨深く読んだんだけど、ご存じだった?

 

 ▼朝日新聞デジタル:ミック・ジャガー、米人気コメディー番組の司会に(2012年5月4日)

 

 いやー、あのミックも、もう六十八歳か。

 

 といったところで思い出したんだけど、おととい放映された沢田研二さんのライブ、ビートルズではじまって、ストーンズでおしまい、というあの構成には、いったいどういう意図があったんだろうね。

 

 ▼NHKネットクラブ:沢田研二LIVE2011~2012 ツアー・ファイナル 日本武道館

 

 もしかしたら、無理無理無理無理、とても無理、ロックには向かない民族なんだから、日本人は歌謡曲でも聴いてろよ、みたいな?

 

 ところで、おとといのジュリーの番組、さっそくYouTubeにアップされとったので、とりあえず、「シーサイド・バウンド」をばどうぞ。

 

 ▼YouTube:沢田研二LIVE 2011~2012 ツアー・ファイナル 日本武道館 11

 

 な。

 

 感涙もののステップじゃろうが。

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