あいやー。
あいやーあいやー。
なんかもう、ばかみたいだな。
ばかなんだけどな。
きゃはは。
あいやー。
ぽこぺんぽこぺん。
3月28日に発行された宮本和歌子さんの『江戸川乱歩作品論 一人二役の世界』には、名張市立図書館の『江戸川乱歩執筆年譜』にわしが書いた解題も引用していただいてあって、ところが、書いた内容なんて、わしゃもうすっかり忘れておってな、へーえ、こんなこと書いてたんだ、とかびっくりしたりもして、だから解題を読み返してみたんじゃが、さーっとながめてみて、まず眼についたのは、なんつか、いいわけがましさであった。
つまり、ほんとはこういうことまでやるべきなんだけど、この目録ではそこまでできませんでした、みたいなことが、いいわけがましく記してあるのね。
たとえば、こんな感じである。
以上、長短篇に代作までこきまぜて総計百八十点の小説作品を本書に記載したが、いずれも初出のみを拾い、アンソロジー収録や雑誌への再録などは対象としていない。したがって本書では、ヴァリアントに関する配慮もまったくなされていないことになる。
いいわけ、というより、開き直り、というべきか。
ともあれ、そういうことであって、わしはこのころから、名張市立図書館としては、いずれ、ヴァリアントに関する配慮、みたいなこともかたちにしてゆく必要があるだろうな、と思っていたようである。
少し以前のエントリで、紀田順一郎さんの『乱歩彷徨』のことを記した。
▼2012年2月26日:幻影城プロジェクト始動、か? 作品データ篇
ヴァリアントに関する配慮のことを、こんなふうに記してある。
だから、雑誌と単行本では、つまり、初出と初刊では、おなじ「二銭銅貨」でもごくわずかながらも差があって、そのいずれもが乱歩の文業ということになる。
近い例でいうと、昨年秋、紀田順一郎さんの『乱歩彷徨』という本が出た。
▼春風社:乱歩彷徨―なぜ読み継がれるのか
以前にも記したことだけど、この本で紀田さんは、「怪人二十面相」の初出と初刊のテキストの異同を精査し、そこに作家の内面を探りあてようとするスリリングな試みに挑んでいらっしゃる。
つまり、「少年倶楽部」という雑誌に発表された「怪人二十面相」が、大日本雄弁会講談社から『怪人二十面相』という単行本として発行されたとき、乱歩がどんなふうに作品に手を加えていたかを調べることによって、乱歩がひそかになにを考えていたかを推察する、ということなんだけど、いかな紀田さんも「怪人二十面相」が連載された「少年倶楽部」を全冊ご所有ということはないだろうから、たぶんどこかに所蔵されてる「少年倶楽部」をお調べになったのだと思う。
で、そのどこかというのは、どういうところか。
ごくふつうに考えれば、やっぱ図書館だろうね。
ただし、一般的な図書館には、とても望めないことだ。
専門的な収集を進めている図書館、ということになる。
しかしまあ、実際のところ、乱歩関連資料を専門的に収集している名張市立図書館の実態は、しょ、しょ、しょしゅつてなんですのどな中さん、といったことなのであり、そりゃもう名張市役所のみなさんのレベルってやつが、
「これ二冊ありますけどさなあ、こっちとこっち、表紙は違いますわてなあ。せやけど、中身はほれ、どっちも字ィ書いてあって、二色刷で、ふたつともおんなじですねさ。これ、こっちとこっち、どこが違いますの」
といったことなのである。
ヴァリアントに関する配慮、なんてものは、それこそ、なんですのどなあッ、てなもんよ。
しかし、それはまちがいなく、図書館の役目なわけ。
無料貸本屋としてなら、そんな役目を担う必要はさらさらないんだけど、かりそめにも乱歩関連資料を収集します、と公言して、あっちこっちでお役に立ってる目録まで発行してんだから、そんな役目は知りません、とはいえないわけなんだけど、そんなこと平気でいってしまう、というのが田舎のお役人というものなのである。
なんなんだろうな。
ただまあ、『江戸川乱歩執筆年譜』をつくってたころには、ヴァリアントに関する配慮、なんてものは、名張市立図書館の役目ではあっても、わしの役目だという自覚はなかった。
なにしろ、名張市立図書館からは、乱歩資料担当嘱託をとりあえず三年だけ、やってくれ、といわれておったから、わしの役目は乱歩関連資料の収集と活用に基本的な方向づけを与えることだ、と思っておった。
ところが、二年つづけて目録二冊、『乱歩文献データブック』と『江戸川乱歩執筆年譜』を発行して、これじゃもう過労死寸前の滅私奉公じゃね? と思われたので、三冊目の『江戸川乱歩著書目録』はかなりゆっくり編纂して、それでずるずるしてしまったんだけど、時代の流れとしては、印刷物の目録をつくる以外に、インターネットを利用してサービスを提供することも必要だな、ということに当然なってきたわけなんやけど、そこから先には一歩も進めなかった。
なんなんだろうな。
紙からウェブへ、というのは、高校生にも理解してもらえるほどの当然の流れなんだけど、それが通らない。
で、いろいろあって、最終的には、このブログで逐一お伝えしてきたとおり、名張市公式サイト「市長への手紙」を利用して、名張市長に直接お願いして、なんとか首の皮一枚、名張市立図書館がネット上で乱歩にかんしてあれこれする可能性をつないでいただいた、ということになった。
それでまあ、さらにいろいろあって、つい先日、3月29日のことだけど、きのうもご閲覧諸兄姉にお示ししたこの文書にたどりついた。
市長の命を受けた関係セクションのお骨折りで、なんとかここまでたどりついた。
この文書、いまだ案の段階だけど、名張市の関係セクションに用意してもらったものだ。
こういう文書は、わしのほうから提出すべきではないか、とおっしゃる向きもあるかもしれん。
げんに、名張市の関係セクションからも、おめーがなにやりたいのか、簡単にまとめて提出してくんねーかなー、と要請があった。
そりゃまあ、当然のことじゃろう。
しかし、わしゃ、適当なことをゆうて、提出せんかったんよ。
名張市立図書館がなにをなすべきなのか、自分の考えを文章にまとめ、関係セクションに提示する、ということを、向こうから求められたのに、あえてせんかったわけよ。
なーんにも提出することなく、いえいえ、べつに新しいことをやろうっていうんじゃなくて、名張市立図書館が開館当初から進めてきた乱歩関連資料の収集と活用という事業を継続するわけなんだから、みたいなことをいって、なんとなくとぼけてたら、年度末ぎりぎりになって、上掲の文書を向こうからお出しいただいた、ということになったわけ。
むろん、このブログでは、わしはずーっと自分の考えを述べつづけておったし、関係セクションとの面談の場においても、このブログに記したようなことをお伝えしておった。
しかし、こちらからかたちのあるものを提出する、ゆうことはせんやったわけよ。
なぜか。
名張市の関係セクションに、もうちょっと主体性というものを発揮していただきたかったからよ。
もちろん、主体性なんて徹底的に放棄するのが、公務員のお仕事の第一歩じゃ。
主体性を放棄し、責任を回避する。
それこそが、公務員の進むべき王道である。
あるいは、手前どもはなにも考えないことにしております、だの、手前どもはできるだけ働かないようにしております、だの、そういった姿勢こそ公務員の鑑である。
そんなことはこちとら、百も承知の二百も合点なのである。
しかしなあ、乱歩をどうするかってのは、結局のところ、名張市立図書館が、あるいは名張市教育委員会が、てゆーか、要するに名張市が、主体的に判断しなきゃならんことじゃろうが。
それをまあお役所のみなさんと来た日には、自分たちではなにも考えようとせず、のみならず、よりにもよってわしのことをクレーマー扱いしやがるんだからなあ、それはいったい、どうゆうことあるよぽこぺん、と思わざるをえないことがいろいろあって、あんたらもちっとは主体性ってやつにめざめてくれんかね、とか考えたわけあるよぽこぺん。
それで、ぎりぎりまで粘って、ちょいと芝居がかりすぎたかな、とも思わんでもないんだけど、あれこれやってみた結果、お役所のみなさんに上掲の文書をまとめていただくことができたわけなんだから、いやー、関係セクションのみなさんや、お骨折りどうもご苦労さまであったが、そういう骨折りを重ねることは、名張市職員としてのスキルアップにつながるはずじゃから、わるく思うてくれるな。
しかし、中心になってお骨折りいただいたかたは、3月30日の金曜をもって定年退職してしまわれたから、職員としてのスキルアップはもう必要ないのだが、どうもありがとうございました、と心から申しあげておきたい。
あいやー。
ぽこぺんぽこぺん。
ところで、幻影城プロジェクトってのは、いったいなんなんだろうね。
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