こんなことがあったらしいね。
▼朝日新聞デジタル:入札無効業者と契約へ(2012年3月30日)
▼毎日jp:談合情報:名張市のごみ収集委託事業、入札無効 /三重(2012年3月30日)
なんやようわからんけど、これもやっぱり、不祥事、ということになるじゃろうな。
談合は業者の問題、ということではあるけれど、そういった業者がわらわら寄ってくる、というのは、いったいどういうことなんだろうね。
ぶーん、ぶーん、ぶーん、と、蝿がうんこに寄ってくるようなものではないのか。
もしかしたら、名張市名物なばり饅頭、ではなかった、名張市名物癒着結託の甘い香りが、おのずから談合系業者を招き寄せているのではないか。
甘い香り、といったって、甘く感じるのは関係者だけで、一般市民にとっては、そんなもん、ただのうんこのにおいなんだけどな。
あいやー。
うんこのにおいなんか、そこらじゅうにまき散らしてんじゃねーよ。
さて、きのう、思いがけないことがあった。
思いがけない、ということはないんだけど、やはり、思いがけないことであった。
順を追って説明すると、まず、これ。
▼2012年1月31日:どうよこの知の暗黒時代
名張市の公式サイトに「稲森宗太郎」というページがあって、窪田空穂の「『水枕』の刊行について」が全文掲載されておるわけ。
▼名張市公式サイト:稲森宗太郎
で、たぶん、名張市は窪田空穂の著作権継承者から許可を得ることなく、この「『水枕』の刊行について」を公式サイトに掲載しているのではないか、と思われた。
そのときは、まあ、思っただけであった。
しかし、翌日、むかっぱらの立つことがあったので、ついついぶち切れてしまった。
▼2012年2月1日:むかっぱら立てちゃいかんよな
名張市公式サイト「市長への手紙」を利用して、著作権のことを問題にした。
送信内容は、これ。
名張市公式サイトの掲載資料についてお訊きいたします。下記のページに窪田空穂の「『水枕』の刊行について」という文章が掲載されています。
http://www.city.nabari.lg.jp/hp/page000005200/hpg000005174.htm
これは、窪田空穂の著作権継承者の承諾を得て掲載されたものでしょうか。ちょっと気になりましたのでお訊きする次第です。よろしくお答えをいただきますよう、お願い申しあげます。
2012/02/01
で、こうなった。
▼2012年2月14日:幻影城プロジェクト始動、か? 財政再建篇
こんな回答があったわけ。
中 相作 様
このたびは「市長への手紙」をお寄せいただき、ありがとうございました。
名張市公式サイトに掲載されました郷土出身の詩人である稲森宗太郎の紹介記事におきまして、掲載されています窪田空穂の文章が著作権継承者の承諾を得ているかどうかのお尋ねですが、記事を作成した担当者ならびに関係書類について不明であり、著作権継承者の承諾を得たかどうかについては確認できておりません。
ただ、当該の掲載は著作権の利用制限の例外にあたる、引用にあたるものではないかと考えているところでございます。しかしながら引用については、その要件を満たしているかどうか判断が難しいところもありますので、お気づきの点がございましたらご教示賜りたいと存じます。
今後とも、貴重なご意見・ご提案をお寄せいただきますようお願いします。
平成24年2月13日
名張市長 亀井利克
ここまであほな回答も、めったにないのではないか。
「記事を作成した担当者ならびに関係書類について不明であり、著作権継承者の承諾を得たかどうかについては確認できておりません」とか、ここまであからさまな責任回避に、よくもしれっと走れたものだな、ということで、こんなことにした。
▼2012年2月15日:むかっぱら立ててはおらんけど
「市長への手紙」で、こげなこつばお願いした。
2月1日にお送りした「名張市公式サイトに掲載された窪田空穂の文章について」へのご回答ありがとうございました。
当該の「記事を作成した担当者ならびに関係書類について不明であり、著作権継承者の承諾を得たかどうかについては確認できておりません」との由、さぞやお困りのことと存じます。下記の手順で確認作業をお進めいただきますようお願いいたします。
まず、名張市立図書館へ行く。開架から日本文藝家協会編『文藝年鑑』の最新版を取り出す。窪田空穂の著作権継承者を調べる。その著作権継承者に手紙を出して、名張市公式サイトに窪田空穂の文章を掲載するにあたり、名張市が許諾を求めたかどうかを確認する。
上記の手順を踏めば、簡単に確認できるはずです。
また、「当該の掲載は著作権の利用制限の例外にあたる、引用にあたるものではないか」との点にかんしては、名張市の顧問弁護士にご確認いただけば、やはり簡単に確認できるはずです。
以上二点をご確認のうえ、その結果をお知らせいただきますよう、よろしくお願い申しあげます。
2012/02/15
窪田空穂の著作権継承者に連絡すること、それから、名張市の顧問弁護士に確認すること、以上二点、お願いば申しあげたつよ。
しかし、その日のうちに、思い直した。
▼2012年2月15日:ほんとにむかっぱら立ててはおらんのやけど
わしゃべつに、無理無体な要求をしたわけではない。
しかし、ちょっと酷か、と思うた。
名張市の「市長への手紙」担当スタッフには、著作権継承者を調べて連絡し、じつはかくかくしかじかで、と用件を伝えて返事を得る、みたいな作業は、いささか荷が重いか、と思われたゆえ、夕方になってから、こんなふうに依頼を変更した。
お世話さまです。本日お送りした「再度、名張市公式サイトに掲載された窪田空穂の文章について」でお願いした件ですが、窪田空穂の著作権所有者を調べて連絡するのは、もしかしたら名張市職員のかたの手にあまる作業かもしれません。もしもそうでしたら、確認していただかなくても結構です。ただ、今後の参考ともなりますので、名張市公式サイトの窪田空穂「『水枕』の刊行について」が、もしも著作権所有者の許諾を得ずに掲載されていた場合、それが著作権の侵害にあたるのかどうか、名張市の顧問弁護士にご確認いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
2012/02/15
つまり、著作権継承者の件はもういいから、とりあえず、顧問弁護士に確認してほしーの、ということにした。
それが、2月15日のこと。
回答がなかなか寄せられないので、もしかしたらガン無視かな、とも思われたのだが、わざわざ催促するのも、なんか、「市長への手紙」担当スタッフに気の毒な感じがして、そのままにしておった。
で、思いがけないことに、きのうになって、回答が届けられた。
眼を通して、驚いた。
いや、でかした、ようやった、みたいな内容で、わしゃすっかりびっくりした。
回答は、こんなんである。
中 相作 様
再度のお手紙ありがとうございます。
返事が遅くなりましたこと、お詫び申し上げます。
さて、名張市公式サイトに掲載されました郷土出身の詩人である稲森宗太郎の紹介記事中の窪田空穂の文章につきまして、著作権継承者の承諾を得ているかどうかでございますが、改めて、著作権継承者にお尋ねをいたしました。ホームページ作成当初に承諾を得た(承諾をした)かどうかについては確認できないが、「どうぞこのままお使い下さい」と、改めてご承諾をいただきました。
当該の掲載が、著作権承諾の例外にあたる引用にあたるかどうかにつきましては、「引用」の明示、「主従」関係による文章量の大小等において、疑念を挟むものであるとの弁護士の見解を得ています。
今回、改めてご承諾をいただきましたので、読者の皆さまに誤解無きようページ内容の修正を行いたいと存じます。
今後とも、お気づきの点がございましたらご教示よろしくお願い申し上げます。
今後とも、貴重なご意見・ご提案をお寄せいただきますようお願いします。
平成24年3月29日
名張市長 亀井利克
まず驚いたのは、「市長への手紙」担当スタッフが、窪田空穂の著作権継承者にちゃんと連絡をとっていた、ということである。
わしゃ、もういいから、とゆうといたのじゃが、それでも、担当スタッフはちゃんと連絡をとってくれていたわけね。
いやー、ようやってくれた。
やればできる子、ということか。
とにかくこれは、掛け値なしのGJじゃ。
もちろん、わしが、もういいから、とゆうたからとて、そんなことは関係なく、課せられた責務を果たすのは、あたりまえのことじゃ。
そもそも、窪田空穂の文章を名張市公式サイトの「稲森宗太郎」に掲載する段階で、著作権継承者に連絡して承諾を得る、という作業が必要であった。
著作権法の問題もあるけど、それ以前に、ま、ものの道理、とか、ひとの道、とか、そういうものに照らして判断してみても、著作権継承者に連絡するのは当然のことなわけね。
ただ、「稲森宗太郎」のページを作成したスタッフは、たぶん、なんの連絡もしなかったものと推察される。
もしかしたら、世に著作権なるものが存在することを知らなかったのかもしれず、てゆーか、おそらくは、このページからコピー&ペーストしただけの話だったのではないか。
▼ようこそ稲森宗太郎のホームページへ:歌集 水枕
するってえと、名張市の公式サイトってのは、もしかしたら完全なノーチェックで運営されているのか、という問題になってくるわけだけど、きょうのところは、それにはふれないでおく。
それで、「市長への手紙」担当スタッフが窪田空穂の著作権者のかたにお訊きしてみたところ、「どうぞこのままお使い下さい」とのおことばを頂戴した、という寸法である。
いやー、担当スタッフ、ようやったようやった。
敬意を表する次第である。
それから、これが著作権の侵害にあたるものかどうか、という点では、弁護士から「疑念を挟むものである」との見解が示されたというが、こりゃいったいどこの三百代言だろうな、みたいなことはいいとして、ふつうに考えれば、これは立派な著作権侵害だと思うぞ。
つまり名張市は、ひとの知的財産権を平気で踏みにじっていたわけであって、そんなことしてたらほんと、三重県名張市は日本の中国あるよぽこぺん、みたいなことになてしまうあるよぽこぺん。
あいやー。
ぬすっとあるぬすっとある。
三重県名張市、ひとの財産権を盗んだあるよぽこぺん。
あいやー、ぬすっとあるぬすっとある、あの泥棒がうらやましい、とかゆうとる場合ないあるよぽこぺん。
しかしまあ、これで一件落着となったわけだから、よかったよかった。
なんともすがすがしい気分である。
いやー、「市長への手紙」でまともな回答を頂戴したのは、はじめてのことである。
どうしてまともな回答が返ってきたのか、というと、わしが問題を指摘したうえで、具体的な対処法を示しておいたことも、あずかって大きかったのではないかしら。
そりゃまあ、「市長への手紙」で名張市の考えをただしたりしても、そもそも考えなんてものがなかったら、まともな回答はとてもできんわな。
たとえば、名張市立図書館はどうよ、みたいなことを質問しても、こんなんだったんだもんよ。
中 相作 さま
このたびは「市長への手紙」をお寄せいただき、ありがとうございました。
名張市立図書館が所蔵する江戸川乱歩関連資料を活用するための具体的な方針につきましては、現在のところございませんが、今後、図書館活動の一環として、江戸川乱歩に関連する図書や雑誌などの資料を、収集・保存に努めてまいりたいと考えています。
今後とも、貴重なご意見・ご提案をお寄せいただきますようお願いします。
平成20年10月 9日
名張市長 亀井利克
収集した乱歩関連資料をどう活用するか、なんてこと、名張市立図書館はただのいちども考えたことがないのである。
むろん、本来であれば、乱歩関連資料を収集する、と決めた段階で、活用のこともちゃーんと考えられておってしかるべきなんだけど、そんなことは全然なかった。
てゆーか、活用どころか、そもそもなにを収集すりゃいいのか、そんなことさえ、ただのいちども考えられたことがなかった。
まったく、名張市立図書館なんてろくなもんじゃねーんだけど、そんな図書館の無策無能を糊塗せにゃならんのやから、「市長への手紙」担当スタッフも大変である。
なにも考えてないのであれば、なんの考えもございません、あしからずご了承ください、と正直に答えればいいものを、やっぱ、そんなわけにはいかんのであろうな、「現在のところ」とか小ずるい先送りかまして、その場しのぎに走ろうとするから、わしゃいちいちぶち切れてしまうわけよ。
しかし、きのう届いた回答は、そうしたその場しのぎとは明確に一線を画する内容で、わしゃおおいに感心した。
というか、ほとんど感動した。
担当スタッフも、わしにいやな役目を押しつけられて、あれこれやって、最終的に、著作権継承者のかたから「どうぞこのままお使い下さい」とのおことばを頂戴したときには、やっぱ、うれしかったんじゃね?
ま、今回の経験は、むろん無駄ではない、というか、職員としてのスキルアップに確実につながったはずだと思う。
こうして考えてみると、職員のポテンシャルを高め、開花させるのは、やはりわしのような優秀な人間だ、ということになるじゃろうな。
ひとつの問題を指摘し、それにどう対処すべきかを示して、あとは職員個々の裁量にゆだねる、みたいなことができる人間が、名張市役所の上層部に、たとえ数人でも存在してればいいんだけど、きゃはは、いねーよなーただのひとりも。
こんなことなら、やっぱ、わしが名張市長になっとくべきだったかな、というのは、きゃはは、冗談だけど、わしのように優秀な人間が上層部にひとりもおらん、というのも、名張市の悲劇じゃな。
けどまあ、しゃーないか。
しゃーないしゃーない。
名張市だもの。
しかし、ほんとにな、このところ行政運営のクオリティをえらい勢いで劣化させ、そればかりか、いまやうんこのにおいさえまき散らしつつあるのがここ名張市という自治体なのであるが、つか、そんなもんまき散らしてんじゃねーよ、きったねーなーこのうんこたれがよー、とか思うけど、そんな名張市においてもだな、この「市長への手紙」担当スタッフみたいに、みずからの職務に誠実に精励してくれる職員が存在している、ということを知ったのは、市民のひとりとしてまことにうれしく、ありがたく、すがすがしさをおぼえることであった。
うんこたれなのに、すがすがしい。
すがすがしきうんこたれ。
なんか、ずいぶん、珍しいよね。
さて、うんこたれのことはここまでとして、名張市立図書館のことだけど、宮本和歌子さんの『江戸川乱歩作品論 一人二役の世界』であれ、紀田順一郎さんの『乱歩彷徨』であれ、参考資料として名張市立図書館の目録をおつかいいただいている、ということは、やっぱ、名張市立図書館が図書館としてきわめてクオリティの高いお仕事をした、ということなんだけど、いまやもう、そんなクオリティの高さは求めようもないわけね。
つか、クオリティなんて、もともと死ぬほど低かったわけで、だからわしゃ、いったいなにやってんだよ、図書館なら図書館らしく、ちっとは図書館らしいことやってみろよ、とか叱り飛ばしてやったら、なにしていいのかわかりません、とか泣きついてきたもんだから、過労死寸前の滅私奉公、いまや乱歩研究に欠かせないと定評を得ている『乱歩文献データブック』を、つづいて『江戸川乱歩執筆年譜』を発行したところが、その二冊を両手に携えて、
「これ二冊ありますけどさなあ、こっちとこっち、表紙は違いますわてなあ。せやけど、中身はほれ、どっちも字ィ書いてあって、二色刷で、ふたつともおんなじですねさ。これ、こっちとこっち、どこが違いますの」
と尋ねてきてくれるのが、われらが名張市立図書館のレベルなのであった。
なんかもう、やだ。
しかし、やだ、やだやだ、とか、そんなことばかりもいってらんないわけあるよぽこぺん。
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