案の定、きのう記した懸念が現実のものになりそうだ。
「怪人二十面相」の作品データ、ちょっと試作してみた。
1936-01-01-b
怪人二十面相
タイトルよみ:カイジンニジュウメンソウ 備考:タイトルの上に〈探偵小説〉 挿画:小林秀恒
初出 誌名:少年倶楽部 巻号:新年特大号 第23巻第1号 刊行年月日:昭和11年1月1日 出版者:大日本雄弁会講談社 東京 ページ:268-287
再録 1936-12-29 怪人二十面相 大日本雄弁会講談社 昭和11年 1947-06-05 怪人二十面相 光文社 昭和22年 1961-12-10 怪人二十面相 少年探偵団全集1 光文社 昭和36年 1964-08-05 怪人二十面相 少年探偵江戸川乱歩全集1 ポプラ社 昭和39年 1966-12-17 少年倶楽部名作選2 長編・中編小説集 講談社 昭和41年 1970-06-28 怪人二十面相 愛蔵復刻版少年倶楽部名作全集 講談社 昭和45年 1972-07-12 怪人二十面相 講談社 昭和47年 1973-07-30 怪人二十面相 世界名探偵シリーズ2 ポプラ社 昭和48年 1975-10-16 怪人二十面相 少年倶楽部文庫9 講談社 昭和50年 1976-11-00 怪人二十面相 ポプラ社文庫1 ポプラ社 昭和51年 1979-04-20 少年探偵団 江戸川乱歩全集23 講談社 昭和54年 1983-12-10 怪人二十面相 講談社 昭和58年 1987-09-25 怪人二十面相/少年探偵団 江戸川乱歩推理文庫31 講談社 昭和62年 1998-10-00 怪人二十面相 少年探偵・江戸川乱歩1 ポプラ社 平成10年 1999-12-00 怪人二十面相 世界少年暢銷書 少年児童出版社 平成11年 2001-09-00 二十面相 乱歩驚険偵探小説集6 珠海出版社 平成13年 2003-08-20 大暗室 江戸川乱歩全集10 光文社 平成15年 2004-01-10 黒蜥蜴と怪人二十面相 角川書店 平成16年 2005-02-00 怪人二十面相 文庫版少年探偵・江戸川乱歩1 ポプラ社 平成17年 2008-11-20 怪人二十面相 ポプラ社 平成20年
二次作品 1954-12-08 怪人二十面相 第一部 人か魔か? 松竹 昭和29年 1954-12-15 怪人二十面相 第二部 巨人対怪人 松竹 昭和29年 1954-12-22 怪人二十面相 第三部 怪盗粉砕 松竹 昭和29年 |
「1936-01-01-b」としたのは、「緑衣の鬼」第一回が「1936-01-01-a」になるはずだからだ。
で、書籍への再録はともかくとして、二次作品がえらいことである。
初の映画化だった松竹の三部作を拾っただけで、早々にほっぽり出してしまう仕儀とはあいなった。
この松竹三部作は、江戸川乱歩推理文庫『乱歩年譜著作目録集成』にもとづいて記載したものだ。
それぞれ、「日本映画データベース」の作品データにリンクしておいた。
以下、『乱歩年譜著作目録集成』に記録された少年ものの二次作品を列記しておく。
昭和31年には、東映の「妖怪博士」と「二十面相の悪魔」が封切られた。
同年、「少年探偵団」のラジオドラマが放送されて、「ニッポン放送、四月十六日より、土日を除く毎夕十五分、翌三十二年十二月まで四百五十回程続いて、光文社から出ている私の少年もの全部を完結した」と乱歩は記している。
昭和32年には、東映が「かぶと虫の妖奇」「二十面相の復讐」「灰色の巨人」など少年探偵団もの六本を映画化。
昭和33年には、東映の「透明怪人」と「首なし男」が封切られた。
昭和34年には、東映スコープの少年探偵団シリーズ「敵は原子潜航艇」。
おなじく昭和34年、玩具というカテゴリで「怪人二十面相かるた」「絵合せ怪人二十面相」「怪人二十面相すごろく」が記録されている。
昭和35年には、フジテレビが「少年探偵団の連続放送をはじめる」。
以上は、乱歩の自伝『探偵小説四十年』巻末の目録に記されているところである。
以下は、中島河太郎先生が亡き乱歩のあとを継ぎ、『乱歩年譜著作目録集成』に増補したデータ、ということになる。
昭和37年、フジテレビで少年探偵団シリーズ、「三十五年より続映」。
翌38年も、フジテレビの少年探偵団シリーズ、「三十五年より続映」。
乱歩歿後の昭和43年には、フジテレビでアニメ「わんぱく少年団」が放映されている。
昭和48年、ニッポン放送で怪人二十面相シリーズ。
ちなみに同年、広告というカテゴリがあって、富士ゼロックスのテレビCFに「明智小五郎」とある。
昭和49年、ニッポン放送で「帰ってきた怪人二十面相」。
昭和50年、NTV系でドラマ「少年探偵団」。
昭和52年、フジテレビ系でドラマ「怪人二十面相」。
昭和54年、NHKでラジオドラマ「怪人二十面相」。
以上、『乱歩年譜著作目録集成』のデータはここで終わっている。
ちなみに、これこのとおり、乱歩が作成した目録を中島先生が増補した、ということがすなわち、乱歩の自己収集を継承する、ということなわけである。
したがって、名張市立図書館も、さ、乱歩関連資料を収集するぞ、と思いついたのであれば、乱歩の自伝をひもといて、乱歩関連資料の収集とは乱歩による自己収集の継承とみつけたり、みたいな流れになってなきゃおかしかったんだけど、そんなあたりまえのことに思いをいたす人間がひとりもおらんかった、というのだから、不思議な話ではあるのよね。
ま、名張市だもの。
そんなことはともかくとして、怪人二十面相が登場する二次的な派生作品は、きのうも書いたようにまったくオリジナルのストーリーもあるわけだから、昭和11年に執筆された「怪人二十面相」を原作とした作品がどれなのか、明確に示すことはかなり難しい、というか、ほぼ不可能だと思われる。
どうすりゃいいのか、じっくり考えてみよう。
Powered by "Samurai Factory"