かつての大阪府立国際児童文学館はどうなったのか、というと、大阪府立中央図書館国際児童文学館、ということになって、場所は東大阪市とのことである。
わしが世話になったのは、まだ万博公園内にあった当時、勝新太郎が死去した1997年ごろのことであった。
乱歩の少年もののことを調べたくて、最初はたぶん、問い合わせの電話を入れたのだと思う。
で、これもたぶん、ということになるのだが、国際児童文学館が所蔵している乱歩関連資料のリストを送ってもらった。
つまり、所蔵資料のデータが整理されていて、そのなかから乱歩関連のものを検索し、その一覧をプリントアウトして送ってもらった、ということだったと思う。
で、実際に足を運ぶときには、事前に、たとえば「少年倶楽部」のこれこれの年度からこれこれの年度までを閲覧したい、と依頼しておくと、ちゃんと書庫から出して準備しておく、みたいな手配もしてもらった。
しかし、それがふつうなわけ。
文学館であれ、図書館であれ、サービスとして、それがあたりまえなわけ。
国際児童文学館は、児童書に特化した資料収集を進めているわけであって、資料のリストも当然、作成されている。
そのなかから、たとえば乱歩に関連のある資料をピックアップする、ということも、パソコンをつかえば簡単にできる。
つまり、所蔵資料をデータベース化して、サービスに活用する、というのは、ごくごくあたりまえのことなんよ。
ところが、乱歩関連資料を専門的に収集している名張市立図書館は、そんな基本的なことすらしようとしない。
できない。
収集資料は陳列や展示のためのものだ、という勘違いをつづけているかぎり、永遠にできない。
しかし、しつこくも述べておるとおり、図書館の収集資料は、読むためのものであり、知るためのものであり、調べるためのものである。
しかも、勝新太郎が死去したころとは比較にならんほど、インターネットが普及してきたから、早い話、大阪府立中央図書館国際児童文学館の公式サイトにアクセスするだけで、いながらにして、所蔵資料のデータを知ることができる。
うそだと思ったら、このページで、「著者」に「江戸川乱歩」と入力して、検索してごらんなさい。
▼大阪府立中央図書館国際児童文学館:国際児童文学館蔵書検索 検索条件入力
あっというまに、三百十三件がヒットする。
おッ。
No.24は『江戸川乱歩執筆年譜』ではないか。
書名をクリックしてみる。
▼大阪府立中央図書館国際児童文学館:国際児童文学館蔵書検索 書誌詳細表示 > 江戸川乱歩執筆年譜
万博公園の大阪府立国際児童文学館で調べた「少年倶楽部」なんかのデータは、まさしくこの『江戸川乱歩執筆年譜』に反映されたのであった。
みたいなことはまあいいとして、要するに、ふつう、この程度のことまでやっとるわけよね、世間の図書館は。
だから、名張市立図書館も、本来であれば、とっくの昔に、インターネットを利用してデータを公開する、みたいなサービスができてなくちゃおかしいわけであったのだが、それがようよう、着手の運びとなった。
でまあ、一般の図書館みたいに、所蔵資料の書誌データなんかも、むろんデータベース化してゆく必要がある。
たとえば、国際児童文学館の『怪人二十面相』の場合、こんなふうな書誌データが公開されている。
▼大阪国際児童文学館:日本の子どもの本100選 > 怪人二十面相
こんなぐあいに、所蔵資料の書誌データをまとめてゆくのも、いうまでもなく大事なことだ。
だが、それよりもまず、作品データを優先させるべきだ、とわしは思う。
なぜかというと、乱歩の文業の全容を明らかにする、というのが、名張市立図書館における乱歩関連資料収集の大目的のひとつなんだから、乱歩の文業全体を俯瞰しながら、作品個々のデータを体系的にまとめてゆく作業が、どうしても要求される。
『江戸川乱歩執筆年譜』から漏れてる文業、なんてのもまだまだあって、たとえば作家デビュー以前の作品や、対談や座談会のたぐいも拾ってゆくことが必要だし、雑誌の再録の調査もほとんど手つかずの状態だ。
まずは作品個々のデータをこつこつ整理してゆくことが、幻影城プロジェクトの第一段階だ、ということになる。
で、その作業を、4月1日からわしにさせてやっていただけませんか、と市長にお願いして、OKを頂戴した、ということになっとる。
そのはずである。
そのはずなんだけど。
だよね?
Powered by "Samurai Factory"