著作権がらみで、こんなニュースが報じられたぞ。
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毎日新聞の記事がこれ。
▼毎日jp:著作権侵害:「坂の上の雲」のムック本、出版差し止め仮処分(2012年2月16日)
著作権を侵害して、堂々の無断転載。
作家の故司馬遼太郎さんの代表作「坂の上の雲」の記述を無断で複製したとして、司馬遼太郎記念財団(東大阪市)などが出版社「洋泉社」(東京都千代田区)が刊行した書籍「『坂の上の雲』大事典」の出版差し止めを求めた仮処分申請に対し、東京地裁(小川卓逸裁判官)は15日、申し立てを認め、出版の差し止めと書籍の差し押さえを命じる仮処分決定を出した。
写真を多用した「ムック」と呼ばれる雑誌風の書籍で、昨秋に出版されたが、財団は秋山好古、真之兄弟が学んだ「明教館」の描写など7カ所を財団の許諾を得ることなく小説から複製して掲載したとして著作権侵害を訴えていた。9000部が印刷された。決定を受け財団は「著作権侵害への裁判所の明確な姿勢が示された。今後も断固たる措置をとる」とコメント。洋泉社編集部の担当者は「弁護士と相談して抗告するかどうか決める」とした。【野口由紀】
毎日新聞 2012年2月16日 東京朝刊
なんとも厳しい裁定だ、という気がする。
というより、ずいぶんおかしな裁定だよね。
わずか七か所の引用に、いちいち著作権者の許諾が必要なのかよ、とびっくりする。
そんなばかな話、あっていいのかよ、と憤慨する。
その程度のことが著作権の侵害として咎められ、出版差し止めまでくらってしまうというのであれば、うかうか本も出せなくなってしまうではないか。
ほんと、ずいぶんけったいじゃな。
出版社サイドは、「弁護士と相談して抗告するかどうか決める」としてるそうだけど、こりゃ絶対に抗告すべきじゃろうな。
いっぽうの著作権者側は、たぶん、テレビドラマがらみの便乗商法にかちんときて、それでこんな訴えを起こしたはずであって、それはそれでわからんでもないんだけど、引用にいちゃもんつけるのは、方向性としてちょっとおかしいのではないかしら。
引用はあくまでも引用であって、いくらでも無断でOK、なのである。
引用という行為が、はたして「無断で複製」ということになるのかどうか。
どうも、ようわからん話じゃな。
それはそれとして、わずか七か所の引用が著作権の侵害だということになるのなら、名張市公式サイトにおけるくだんの窪田空穂案件、完全にアウトだよね。
ま、名張市の顧問弁護士による裁定を待つことにして、著作権がらみの話題はここまで。
でもって、幻影城プロジェクトのことなんだけど、名張市立図書館としては、今後の衰退や縮小を前提として、乱歩関連資料の収集と活用を進めなければならないであろう。
そういう時代がやってきたわけよ。
「夜は若く、彼も若かった」みたいな日々は、とうに去ってしまった、ということだ。
なんかもう、老いつつあるわけね。
日本も、名張市も、わしたちもな。
ま、このブログ記事をご一読あれ。
▼とつぜんブログ:とつぜんコラム126 もう若くない(2012年2月7日)
まさしく、「初老なら初老なりの生き方がある。その生き方を探っていく必要がある」ということであって、わしはこの雫石鉄也さんと同世代なので、それがしみじみと実感される。
でもって、つまりは、そういうことなわけね。
これが以前であれば、名張市立図書館は比較的高価な古書もすいすい購入しておった。
というか、乱歩関連資料の購入においてもっとも勢いがあったのは、おそらく、名張市立図書館がオープンする以前、開館を控えて神田あたりで乱歩がらみの古書をばんばん買ってたころだと思う。
そういえば、さる古本屋さんから、図書館相手の商いは開館準備の段階が勝負だ、みたいな話を聞いたこともあるしね。
しかし、ときが過ぎ、時代は変わった。
現在ただいま、名張市立図書館にはもう、古書をばんばん購入する、なんてことは望めないのではないか。
図書購入費の乱歩枠がなくなって、とくに2012年度の名張市は徹底的な緊縮財政ということになるのであれば、とても古書にまでは手がまわらないはずだ。
むろん、だからといって、乱歩の文業の全容を明らかにする、という目的を放棄することはできない。
だとすれば、いま現在の身のたけ身のほどの範囲内で、地道にこつこつ、なにができるのか、なにをなすべきなのか、それを探ってゆけばいいのである。
だから、こういうときこそ、頭をつかい、手足を動かす必要があるんだけど、ま、お役人さまにはとても無理だろうな。
手前どもはなにも考えないことにしております、とか、手前どもはできるだけ働かないようにしております、とか、好きなこと好きなだけゆうとれやこのすっとこどっこい。
以下、あした。
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