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平成24・2012年2月6日 毎日新聞社
狂言:乱歩原作、名張市が制作・上演 東京・豊島、宮城・塩釜でも 「夏能」休み事業費で /三重
花牟礼紀仁
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狂言:乱歩原作、名張市が制作・上演 東京・豊島、宮城・塩釜でも 「夏能」休み事業費で /三重
◇笑いで震災復興応援--幻想小説「押絵と旅する男」
名張市は9月、名張生まれの探偵作家、江戸川乱歩原作の狂言を制作・上演する。同市の働きかけで、交流都市協定を結ぶ東京都豊島区が上演するほか、東日本大震災後の支援で、職員を派遣して交流が生まれた宮城県塩釜市も、上演に向け準備を進めている。名張市の担当者は「狂言は笑いの芸。被災地の心の復興でも、お手伝いがしたい」としている。【花牟礼紀仁】
名張市は新年度当初予算案に、制作費を含め550万円を計上する。恒例の「名張夏能」を今年は休止し、その事業費を活用。豊島区と塩釜市はそれぞれの上演費用を負担する。
原作は「押絵と旅する男」(1929年)。「押し絵の女に恋した男」を巡る幻想的な小説で、乱歩の代表作に位置づけられる。04年にも新作狂言として名張で上演しているが、今回は脚本を一新。セリフにそれぞれ上演場所の言葉を織り交ぜ、ユーモアあふれる作品に仕立てる。出演は、04年にも演じた大蔵流狂言師、茂山七五三(しめ)さんと一門の狂言師。
名張市は震災後の約半年間、塩釜市に職員を派遣。避難所運営などを支援した。塩釜市教委によると、上演場所となる市民交流センターでのイベント開催状況は、震災前の水準を回復しているという。担当者は「震災が縁で、他自治体からこうした申し出を受けたのは初めて。今後も一緒にできる企画があれば実現したい」。同市は、今秋の上演を計画している。
豊島区は乱歩終焉の地。今年の区制80年を記念し12月、区立舞台芸術交流センターで上演する。3年前の名張市制55年の際、同区が制作に関わった演劇「池袋わが町」を名張で上演しており、今回は返礼の意味もある。
名張市教委は「乱歩の作品世界を通じて、東京や東北の人に名張の文化を知ってもらいたい」と言う。上演は9月1日、同市松崎町のADSホールで。
〔伊賀版〕
毎日新聞 2012年2月6日 地方版
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