幻影城ブロジェクトが具体化するかもしれない可能性が、少しではあるが、みえてきた。
みたいなこと書いてたら、3・11被災地にお住まいの乱歩ファンのかたから、おめでとうございます、とのメールを頂戴した。
いやー、ちょっと早すぎじゃね? とも思ったけど、ありがたいことだ。
実際のところ、幻影城プロジェクトがどんなものなのか、わしにももうひとつ、よくわかっておらんのだが、とにかく、首の皮一枚で希望をつなぐことができた、という気はしておる。
昨年末あたり、じつは、かなりの危機感があった。
どういう状況であったのか。
このブログでつぶさに報告しておったことだが、名張市が日本推理作家協会の協力を得て定期開催していたミステリ講演会「なぞがたりなばり」が、いつのまにか終了していた。
いつのまにか、といってしまうのも、ちょっとおかしな感じか。
一昨年11月13日の第二十回を最後に終了していたのだが、終了したということがいっさい公表されていないため、いつのまにか終了していた、という印象になってしまうわけだ。
で、いつのまにか終了していた、ということが判明して、というか、終了していたということがうやむやにされていた、ということが判明して、もしかしたら、とわしは思うた。
もしかしたら、名張市立図書館における乱歩関連資料の収集も、いつのまにか終了して、終了したということがうやむやにされて、それでほんとに終わってしまった、ということになるのではないかいな。
それに気がついて、わしはちょっと、焦った。
なにしろ、二十年にわたって定期開催していた講演会がおしまいになっても、つまり、毎年毎年、これこれの日にこれこれの場所でミステリ講演会を開催します、講師はこういう先生です、とひろく名張市内外に呼びかけて開催していたイベントの終了すら公表しないというのであれば、乱歩関連資料の収集なんてのは、そもそも報告や公表なんてことにまったく関係がなかったんだから、すなわち、乱歩関連資料としてこんな本を購入いたしました、みたいなことを報告したり公表したり、といったことはいっさいしてなかったんだから、それがいつおしまいになっても、おしまいになったということすらわからない、ということになるのではないか、と気がついた、というわけだ。
のみならず、寄贈図書の問題もあった。
名張市立図書館には、ミステリ愛好家から寄贈されたおよそ四千冊のミステリ関連図書が死蔵されていて、寄贈者のみなさんから、いつまでも眠らせておかずに活用せよ、とこのわしがお叱りを受けたものだから、さあ、どうよ、と名張市公式サイト「市長への手紙」を利用してただしたところ、名張市立図書館には、寄贈図書をどう活用するか、なんてことを考えるつもりは全然ありませーん、みたいな回答が届いたのは去年の仕事納めの日、すなわち12月28日のことであった。
あ、こりゃ、もう、だめだな、とわしは思うた。
ミステリ関連の寄贈図書はもちろん、長きにわたって収集されてきた乱歩関連資料も、いつかしらこっそりと地べたに埋められたまま、いつとはなしにうやむやにされて、はい、おしまい、ということにならざるをえないであろうな、と思うた。
だから、わしは焦り、危機感をおぼえ、逆上し、嵐のような年末年始を過ごしたあと、名張市公式サイトの「市長への手紙」を利用して市長におすがり申しあげたのは、明けて1月6日のことであった。
その懇願をお聞き届けいただいたらしく、なんとか首の皮一枚、希望をつなぐことができたのじゃから、ほんとにありがたい話である。
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