「まさかこの年でこんなことになるとは思てませんでしたけど」
「どないしました」
「シューカツですよシューカツ」
「シューカツゆうたら就職活動のことですか」
いやいや。
いかんいかん。
漫才なんか、書いとる場合やないぞ。
ほんとーに、冗談ではないんだぞ。
浮かれた気持ちになんか、なってらんないあるよ。
浮かれるどころか、不安と緊張で、胃に鈍痛をおぼえる。
飲み過ぎじゃなかけんね。
わが就活、成就か、否か。
それを考えると、わしゃもう……
いやいや。
いかんいかん。
実際に就活戦線で苦労してるお若い衆が、ちょっとびっくりするくらいたくさん存在しているというのに、わしが就活なんてことばをつかっては、不謹慎のそしりを免れないのではないか。
とは思うものの、それでも、なんか、イエスかノーか、の発表を待つ不安と緊張は半端ねーぞほんとに。
それに、お若い衆だけじゃなくて、たとえばわしと同世代でも、リストラされました、だの、事情あって辞表を提出しました、だの、そんな話がふつうに転がっとって、そういうひともやっぱ、就活に直面してる、ってことになるんだからなあ。
なんか、ほんと、暗い年明けだよなあ。
いやまあ、だからこそわしは、ふと思いついて、漫才なんか書き始めようとしたんだろうけどね。
しっかし、よく考えたら、一般的な就活作戦は、お役所には通用しないかもしれないね。
つまり、就活を成就させるべく、就活者がみずからをPRするとなると、ええ仕事しまっせ、とか、死ぬほど働きまっせ、とか、そういうことをアピールするのがふつうなんだけど、お役所でそんなことしたら、速攻でアウトかもしれないね。
公務員がええ仕事して、どうする。
公務員が死ぬほど働いて、どうする。
お役所ってのは、無能と怠慢の楽園じゃなきゃだめなんだぞ。
結局は、そういうことなんだもんなあ。
じゃから、わしなんか、死ぬほど働いてええ仕事したのに、このざまだもんなあ。
わしのええ仕事なんて、もう完全に、なかったことにされてしまったもんなあ。
お役所ってのは、ほんとに、なんなんだろうなあ。
なんてったって、話が通じねーんだもんなあ。
なんか、ほんと、わけわかんないもんなあ。
わけがわかんないから、わしの就活も、いったいどう転ぶのか、予想なんてまったくできないもんなあ。
こんな不安と緊張が長くつづいたあと、結局、就活、成就せず、みたいなことになったら、わしゃもう、すごいことになるじゃろうなあ。
手がつけられないほどのことに、たぶん、なってしまうだろうなあ。
そうなったら、なんか、えらいことだぞ。
もしもそんなことになって、わしが阿修羅のごとく荒れまくったら、なにがどうなってしまうのか、わし自身にも予測がつかんぞ。
いやいや、こんなことゆうのは、就活じゃのうて、恫喝かのう。
うわーっはっはっは。
ほんにお茶目な就活最前線じゃのう。
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