きのうのつづき。
切々と訴える。
ひたすらに訴える。
声涙ともにくだらんばかりに訴える。
わしがいったいなにを訴えておるのかというと、判断や決定の撤回である。
いったん否定されたことを白紙に戻し、新たに判断し、決定する。
それを求め、訴えておるわけね。
ただまあ、ここ名張市においては、判断とか決定といったものが、ずいぶん無茶苦茶で、ないがしろにされておる。
たとえば1月6日付「市長への手紙」に記した桝田医院第二病棟の件なんてのは、その端的な一例じゃな。
なお、ご回答には、
「当時、江戸川乱歩の著作や関連文献、ゆかりの遺品など、寄贈図書を含む江戸川乱歩に関わる資料の展示につきましては、名張まちなか再生委員会に設けられた歴史拠点整備プロジェクトの中で、寄付を受けた桝田病院第2病棟の利活用として、江戸川乱歩の生家を模した(仮称)江戸川乱歩文学館を整備し、そこに名張市立図書館の江戸川乱歩コーナーを移設・分設することなどが検討され、平成18年6月18日開催の名張まちなか再生委員会総会で、その整備に向けた施設計画や維持管理、運営方針を検討していくことが承認されました」
と記されていますが、ここに列記された一連の検討を行うべきだったのは、名張まちなか再生委員会ではなく、名張地区既成市街地再生計画策定委員会でした。
名張まちなか再生委員会はプラン策定のための組織ではなく、決定されたプランを具体化するための組織でした。
まちなか再生事業の指針として策定された名張まちなか再生プランは、名張地区既成市街地再生計画策定委員会によって素案がまとめられ、その素案が市議会重要施策調査特別委員会の審議に付され、そのあと市民から素案にたいするパブリックコメントを募ったうえで、名張市が正式なプランとして素案どおりに決定したものです。
プランの素案では、名張市が寄贈を受けた桝田医院第二病棟のことがいっさい触れられていませんでしたから、重要施策調査特別委員会でも、パブリックコメントでも、桝田医院第二病棟の活用をブランに盛り込むよう要請がなされたのですが、名張市は盛り込もうとしませんでした。
要請を受けながらプランに盛り込まなかった以上、桝田医院第二病棟の整備はまちなか再生事業の対象外であるということになります。
にもかかわらず、なんの権限も決定権も与えられていない名張まちなか再生委員会が、桝田医院第二病棟を「(仮称)江戸川乱歩文学館」として整備するための検討を始めてしまったのですが、委員会にはまともな検討ができなかったため、名張市がすべてを白紙に戻し、桝田医院第二病棟の跡地を広場にすることを決定してしまいました。
こうした一連の意思決定プロセスは正当なものではないということを、私は市当局にたいして何度も指摘したのですが、市当局には理解していただけなかったようでした。
「市長への手紙」担当職員のかたは、そのあたりの事情をよくご存じないようなので、ここにあらためて指摘しておく次第です。
な。
無茶苦茶じゃろ?
まちなか再生の核になったかもしれない乱歩ゆかりのスポット、桝田医院第二病棟を寄贈していただいたというのに、それをどうすりゃいいのか、判断することができなかったんじゃ。
なんか、せっかくミステリ関連図書を寄贈していただいたのに、それをどうすりゃいいのか、判断することができない、っていう話とおんなじだね。
ま、それが名張市のレベルってやつさ。
だから、提出された名張まちなか再生プランの素案には、桝田医院第二病棟のことがいっさい出てこなかった。
名張市はその素案を、プランとして正式決定した。
決定した、ということは、桝田医院第二病棟にはタッチしない、ということを決定した、ということだ。
本来なら、そうなる。
「市長への手紙」にも書いたけど、市議会からも、市民からも、桝田医院第二病棟の活用策を盛り込むようにといわれとったのに、それでも盛り込まなかった、ということは、そういうことなんよ。
決定ってのは、それだけ重いものなんよ。
ところが、プラン策定のための組織ではない名張まちなか再生委員会が、さあ桝田医院第二病棟をどうすっぺや、みたいなことの検討を始めた。
しかし、そもそも検討能力がなく、検討のための知識も皆無なんだから、なんにも考えられなかった。
しかも、名張市ってのはほんとに無茶苦茶で、名張まちなか再生委員会が発足した直後、わしは名張市役所にあった委員会の事務局に足を運び、市立図書館の嘱託として協力することを申し出たのよね。
それというのも、名張まちなか再生プランでは、旧細川邸を歴史資料館として整備することが决められており、乱歩関連資料も展示されることになっていたからじゃ。
しかし、委員会事務局からの返答は、というか、この返答は事務局の職員が独断で口走ったものだったことが、あとになってわかったんじゃが、驚くべし、こんなものじゃったんよ。
──段階では乱歩にかんして外部の人間の話を聞く考えはない。
な。
無茶苦茶じゃろう。
外部を拒絶し、うすらばかがうすらばかを集めただけの委員会の内部でぴーちくぱーちくやったって、どんな判断も、どんな決定も、いっさいできるわけがねーんだよこのすっとこどっこい。
だから、名張市が、病棟跡地を広場にするというこれまたばかな結論を出して、決着をつけてしまった。
ひでーもんだろ。
ほんとにひどい話だけど、名張市ってのは、こんなとこなのね。
と、なぜわざわざこんなことを書いてるのかというと、新年に入ってたてつづけにおふたり、最近この名張人外境ブログを読み始めました、とメールで知らせてくださったかたがあり、うちおひとりは、じつは四十年来の知己、といえなくもないんだけど、いまだお会いしたこともなく、手紙をやりとりしたこともなかったかたで、なんかずいぶん、へんてこりんな気分を味わったんだけど、そういったいわば新来のみなさんにも、名張市ってのがどんなとこなんだか、心ゆくまで理解していただくために、わざわざ記した次第である。
だからまあ、名張市じゃ判断も決定も無茶苦茶なんだから、そんなのどうだっていいんじゃね? とおっしゃる向きもおありじゃろうけど、だからこそ、判断や決定をちゃんとしておきたい、重んじておきたい、とわしは思うのよね。
だから、切々と、訴えとるわけ。
私が図書館嘱託として提案したこと、つまり、インターネットを利用してデータベースを公開することと、目録三冊に明確に示した方針にもとづいて資料収集をつづけることは、ともに名張市教育委員会によって否定されたかたちとなってしまいましたが、私はどちらも否定されるべきものではないと思っております。
つまり、名張市教育委員会の判断というやつが過去にあって、図書館の嘱託としてはそれを受け入れるしかなかったんだけど、わしはわしの判断がまちがっていたとは思うておらん、ということなのよね。
乱歩関連資料のデータベースをネット展開することも、乱歩関連資料の収集にあたって乱歩の自己収集を踏襲することも、ごくふつうで自然であたりまえのことである、と思う。
ただまあ、名張市役所のみなさんにとっては、ふつうでも自然でもあたりまえのことでもない、ということになる。
このあたりが、つらいところなのね。
世間一般では、ごくごくふつうに通用することが、名張市役所のみなさんの手にかかったら、え? どうしてそんなことしなきゃなんないの? ということになってしまう。
嘱託を辞任する以前、いったいなぜ否定されたのか、その点を名張市教育委員会に確認しても、ただの一度も回答をいただけませんでしたから、明確な理由はなかったものと思われますし、そうした事実から判断すると、教育委員会に乱歩関連資料の収集と活用にかんする明確な方針はないと断じていいようにも思われます。
いってみれば根拠なき否定だったわけですから、その否定をくつがえし、私が示した方向性のもとに、名張市立図書館が乱歩関連資料の収集と活用に向き合うことは、私自身が強く望むところであり、乱歩のファンや関係者からも賛同を集めるところであるとともに、回りまわって名張市という自治体への信頼を高めることにもつながるものと期待されます。
少なくとも、寄贈図書を活用する気がない旨を明記した文書を図書寄贈者のみなさんに送付することよりは、収集資料や寄贈図書の活用をわずかずつながらでも着実に前進させることを、名張市は選ぶべきだと思います。
しかし、実際のところ、名張市立図書館にはそうした作業を進めることができません。
くれぐれもゆうとくけど、これは事実じゃ。
寄贈図書をどうすりゃいいのか、そんなことすらわからん図書館なんじゃが、わしは寄贈図書の一件がもちあがる以前から、つまり、名張市乱歩関連事業アドバイザーを拝命していた当時から、あ、だめだこりゃ、ということは見切っておった。
ですから、市長判断を仰ぎたいというのはここからなのですが、名張市立図書館における乱歩関連資料の収集と活用の一環として、インターネット上に乱歩のデータベースなりアーカイブなりを構築することを、近い将来の目的としてお認めいただけないでしょうか。
つまり、名張市教育委員会には否定されたけど、そして、名張市立図書館にはとてもできないことだけど、世間一般からみれば、ごくごくふつうで自然であたりまえのことであるデータベースのネット展開を、市長判断でお認めいただけないでしょうか、ということじゃ。
なんかほんとにめんどくさい話だけど、判断や決定という行為を重んじたら、いやべつに重んじてるってほどでもないんだけど、こういう話の進めかたになってしもうたわけなんよね。
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