忍者ブログ
Nabari Ningaikyo Blog
Posted by - 2024.11.26,Tue
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

Posted by 中 相作 - 2012.01.05,Thu

書籍

 

乱歩彷徨

 紀田順一郎

 平成23・2011年11月3日初版 春風社

 B6判 カバー 266ページ 本体1905円

 

第Ⅰ部 乱歩低迷

 1 深夜の瞑想

 2 「探偵小説」の曲がり角

 3 「眼高手低」の自覚

 4 新時代の探偵小説を開拓

 5 エログロ・ナンセンス時代の旗手へ

 6 二重世界願望と郷愁と

 7 休筆宣言と放浪

 8 低迷の上に弾圧

 9 本格探偵小説の復活を信じて

 10 評論集の隠された意図

 11 第一人者の再生演出

 12 再コード化への道

第Ⅱ部 乱歩彷徨

 1 少年雑誌という舞台

 2 『怪人二十面相』における心理洞察

 3 『怪人二十面相』の読者像

 4 休載の謎をめぐって

 5 『怪人二十面相』の基調変化

 6 「誘拐」という記号

 7 乱歩作品の異質性

 8 なぜ「少年倶楽部」に起用されたか

 9 二十面相はいかにして教育的となったか

 10 「国民精神総動員」下の探偵もの

第Ⅲ部 乱歩変容

 1 「じつにおどろくべき変化」

 2 戦中体制への「協力」

 3 追い詰められた戦争末期

 4 劇的な性格変化とその意味

 5 少年ものと旧作再録

 6 再起への苦闘

 7 推理小説界の振興に向けて

 8 戦後も持続した「社会活動」

 9 第二の創作『幻影城』

 10 全集という名の評価

 11 松本清張という名のライバル

 12 乱歩は清張をどう評価したか

 13 清張は乱歩をどう評価したか

 14 乱歩復活と幻想怪奇ブームの実態

 15 激動の時代をこえて殿堂入り

第Ⅳ部 乱歩復活

 1 《創造者》の自覚

 2 「私を怖わがらせた批評家」

 3 「文芸球場」の「ピンチ・バッタア」

 4 「一本の藁」と「新しき神」

 5 居心地のよくない「大衆文学」

 6 《もう一つの可能性》を夢見て

 7 「エログロ」からの距離

 8 精神分析と同性愛への関心

 9 《第二の創作》への情熱

 10 『幻影城』、自己回復と再生の企て

 11 『探偵小説四十年』の隠された意味

 12 ライバル松本清張と《一人の芭蕉》

あとがき

参考文献

乱歩主要作品一覧

乱歩略年譜

 

…………………………………………………………………………………

 

第Ⅰ部 乱歩低迷

 

 1 深夜の瞑想

 

 日本の近代的な推理小説の礎を据えた江戸川乱歩は、生涯に約百三十篇の作品、十数冊の随筆、回想を残したが、多くの作家同様、海外の作家から大きな影響を被っている。

 では、乱歩はどのような作家を最高の存在と考えていたのだろうか。私は、彼自身による次の感想が、一つの明快な回答になっていると思う。

 「深夜、純粋な気持になって、探偵小説史上最も優れた作家は誰かと考えて見ると、私にはポーとチェスタートンの姿が浮かんでくる。この二人の作品が、あらゆる作家と作品を超えて、最高のものと感じられるのである。この二人のほかの作家はいずれも、どこかに不満がある。突飛なことを書いても根底が平俗であるか、気取っていても薄っぺらであるか、滋味はあっても廉っぽいか、文学的に優れていても探偵小説味が稀薄であるか、なにかしら満足しないものがある」(光文社版『江戸川乱歩全集』第三十巻)

 私にとって、乱歩のこの文章はきわめて印象的なものだった。高校三年の一九五三年(昭和二十八)夏、「別冊宝石」中の『世界探偵小説全集』(ビーストン篇・チェスタートン篇)に付された解題として一読したもので、乱歩自らもよほど気に入ったらしく、後に同じフレーズを何度も繰り返している(翌年の「ハヤカワ・ポケットミステリ」版『木曜日の男』と、四年後の『海外探偵小説作家と作品』のチェスタートンの項など)。

 

…………………………………………………………………………………

 

 ▼春風社:乱歩彷徨-なぜ読み継がれるのか

PR
TrackBack URL
TrackBacks
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
開設者
 中 相作:Naka Shosaku
ブログ内検索
バーコード
カウンター
Template by mavericyard*
Powered by "Samurai Factory"
忍者ブログ [PR]