「地下書庫に眠る寄贈図書4000冊」
うーむ。
新聞の見出しが眼に浮かぶようじゃの。
きゃはは。
謹賀新年。
サンデー先生じゃ。
きゃはは。
お正月はどうじゃな。
わしの場合、お餅とおせちはもう充分だから、お昼はサンドイッチにしよう、とか思って、マックスバリュ名張店へ徒歩で向かったんだけど、途中で、あ、ついでだから初もうでを済ませておこう、とか思いついて、蔵持春日神社におまいりしてみた。
いつもは無人のおやしろじゃが、元日にはさすがに神社役員と思われるひとが陣取っていて、参拝のあと、お神酒を飲ませてもらい、お箸まで授けていただいて、それから、マックスバリュ名張店をめざした。
曇りではあったが、きのうにひきつづき、風のないおだやかなお天気であった。
ふと顧みれば、去年の元日は雪だったものな。
▼2011年1月1日:謹賀新年
思い立って、いま撮ってきたんだけど、元日の小春ちゃんはこんなんじゃ。
去年の12月30日、つまりおとといがお誕生日で、芳紀まさに四歳ということになった。
とかいいながら、さっそくまいろう。
それでまあ、名張市ってのは、ほんとにひどい自治体なの。
わしなんかもう、ひどい目に遭わされてばっかだもんね。
なんかもう、これでもか、これでもか、なんだもんなあ。
昨年12月28日午後6時37分58秒に着信した「市長への手紙」の回答には、こんなことが書かれてあったあるよぽこぺん。
(5)寄贈図書は今後、どう活用されるのでしょうか。具体的な方針は决められているのでしょうか。
【回答】
慶應義塾大学推理小説同好会OB会のみなさんからのミステリー関係図書の寄贈は、市立図書館に乱歩資料嘱託をおいていた頃にも行われており、その活用方法についてはその当時からの懸案事項でありました。そのころにも成案を得られず、それ以降も具体的な活用方針を決定するに至っていません。
な。
ひどいものじゃろう。
お役所のみなさんっつーのは、ほんとにひどいもんじゃろう。
主体性の放棄。
思考の停止。
責任の回避。
ないしは、責任の転嫁。
きゃつら、そげなことばかりに明け暮れとるんぞ。
きゃつらはいったい、なんちゅーとるんか。
名張市立図書館への寄贈図書をどう活用するか、手前どもにはそんなことを考えるつもりはいっさいなく、市立図書館の乱歩資料担当嘱託として雇ってやった人間が考えるべきことだったのですが、まったく考えようとしませんでしたので、いまだになんにも決まっておりません、とかほざいちょるんよ。
この件にかんしては、新年最初の「市長への手紙」にいささかを述べるつもりではあるのじゃが、それにしても、こりゃまたいったい、なんつーいいぐさなんじゃろうな。
名張市立図書館の歴史のなかで、乱歩資料担当嘱託を拝命した人間は、ただひとり、わしだけなのね。
そのわしにたいする回答に、「市立図書館に乱歩資料嘱託をおいていた頃」とかしれっと書かれとるのは、はてさて、どういうことなんじゃろうなあ。
この回答を記した「市長への手紙」担当職員は、わしがかつて乱歩資料担当嘱託であったということをご存じなかったのかな。
そりゃまあたしかに、昨年12月16日付の「市長への手紙」には、手前はかつて名張市立図書館で乱歩資料担当嘱託を拝命していた者でございますが、と明記はしとらんじゃった。
しかしなあ、いやしくも市長名義の回答を作成するのであれば、少なくともその程度の周辺情報くらい、押さえとくべきだと思うぞ。
ていうか、この回答は名張市立図書館の意向を確認したものじゃから、名張市立図書館がみずからの無能と怠慢を棚にあげ、主体性の放棄、思考の停止、責任の回避、ないしは責任の転嫁を総動員して、以前に雇ってた乱歩資料担当嘱託がなーんにも仕事をしませんでしたので、なーんにも決まっとらんのでございます、と回答しとることになるわけなんじゃけど、なんなんだろうないったい。
これはいったい、なんなんだろうな。
喧嘩売っとるのか。
名張市立図書館は、わしに喧嘩売っとるのか。
よし。
わかった。
だったら買うちゃる。
なんぼでも買うちゃるき。
喧嘩売るっちゅうんなら、なんぼでも買うちゃるきのう。
とはいえ、じゃれる程度の喧嘩にとどめといてやるから、安心ばしとらんせ。
昨年11月のことであった。
あるかたから名張市立図書館に、乱歩関連資料にかんする問い合わせの電話が入った。
ところが、名張市立図書館には、その乱歩関連資料を所蔵しているのかどうか、それがわからない。
そこで、図書館からわしに連絡が入った。
問い合わせのあった資料は、わしの知るかぎりでは、名張市立図書館には所蔵されとらん。
ただまあ、話がどうも不得要領じゃったから、問い合わせをいただいたかた、かりにAさんということにしておくが、わしからAさんに直接、問い合わせ内容その他を確認してみることにした。
Aさんがお探しだった乱歩関連資料は、「樽」という探偵小説同人誌であった。
と書いておけば、「樽」についてなにかご存じのかたから情報提供をいただけるかもしれないと考えて、誌名を明記しておく次第であるが、これは昭和30年3月の第十七号を最後に廃刊となった雑誌で、再録ではあるが乱歩の随筆が掲載された号もある。
しかし、前述のとおり、名張市立図書館は一冊も所蔵していない。
Aさんはある必要から、創刊から終刊まで、「樽」のすべての号に眼を通すことをご希望であった。
で、Aさんとメールでやりとりしてみたところ、名張市立図書館が「樽」を所蔵している、という誤情報がひとり歩きしていたことが判明した。
名張市立図書館が長きにわたって乱歩関連資料を収集している、ということは、一部では周知の事実だから、そうした誤情報がひとり歩きしていたとしても、ふしぎではない。
だが、実際は、名張市立図書館は「樽」を所蔵していないし、なんとも嘆かわしいことに、所蔵しているかどうかさえ、よくわからない状態であった。
Aさんによれば、名張市立図書館に問い合わせたとき、Aさんの意図するところが図書館側に伝わっていないような感じだった、とのことであった。
要するに、名張市立図書館には、問い合わせの内容がようわからん、なにを問い合わせられているのか、それがわからん、という状態だったことになる。
ずいぶんひどい話だけど、これはしかたのないことじゃ。
名張市立図書館に乱歩のことを尋ねても、なーんにもわからん。
それが現状だっちゃ。
名張市立図書館のことはべつにして、こんな場合、ふつうの図書館なら、いったいどうするか。
お問い合わせの資料は当館にはございません、というだけでは、たぶん終わらないと思う。
まっとうなライブラリアンが勤務している図書館なら、当館にはございませんが、どこにあるのか探してみます、ということになるはずだと思うぞ。
図書館には図書館のネットワークというものがあるから、そのネットワークを利用して探すことができる。
しかし、ものがものだよね。
探偵小説の同人誌、しかも六十年ほど前に出ていた同人誌なんて、ふつうの図書館にはまず所蔵されていない。
国立国会図書館にだって、たぶんない。
「樽」を所蔵している可能性がもっとも高いのは、さっき記したような誤情報がひとり歩きしているくらいなんだから、もしかしたら名張市立図書館だということになるかもしれないね。
つまり、特殊なうえにも特殊な資料だから、一般的な図書館のネットワークはまったく機能しない、ということになる。
しかし、名張市立図書館には独自のネットワークがある、といいたいとこだけど、残念ながら、なんにもなくって、しかし、あってしかるべきではある。
なにしろ、四十年以上にわたって乱歩関連資料を収集してきた図書館なんだから、本来であれば、乱歩関係やミステリ関係のコレクターを結ぶネットワークが構築されてなければおかしい。
これはべつに、難しいことでもなんでもなくて、乱歩関連資料をまじめにこつこつ収集してさえいれば、いつかしらどこかしらでコレクターと名のつくひとと接する機会があって、資料にかんする情報交換を重ねたり、ときに資料の寄贈をいただいたり、そんなことをつづけてるうち、名張市立図書館を拠点とした乱歩関連資料ネットワークがおのずから構築されるはずなんだけど、名張市立図書館ではそんなことにはなってない。
で、名張市立図書館はなんのお役にも立てなんだのじゃが、わしにはわしのネットワークがあるから、それを頼りに「樽」のことを調べてみることにした。
AさんはAさんで、乱歩が所蔵していた「樽」が立教大学に保管されていて、閲覧もコピーも可能だということをつきとめていらっしゃった。
で、Aさんは実際に立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センターに足をお運びになり、所蔵されていた「樽」をチェックされたのじゃが、残念ながら、全号が揃っているわけではなかった。
つまり、欠号があるわけ。
いっぽう、わしはわしで、いつもお世話になってるコレクターのかたに、「樽」はご所蔵でしょうか、と尋ねてみたり、あるいは、「樽」のことが書かれた本の著者のかたに、もとより面識はないのじゃけれど、じつはかくかくしかじかで、と手紙で問い合わせてみたり、みたいなリサーチを進めた。
そのリサーチ結果が昨年末に集まりはじめ、Aさんによる乱歩所蔵分の調査結果とも照合して、未調査の欠号は残りわずか、ということになった。
いまだこちらからの問い合わせすべてにお答えをいただいたわけではないのだが、チェック済みの号の編集後記に書かれたことや、コレクターのかたから教えていただいたことなどを総合すると、かりに残りの欠号をチェックすることができなかったとしても、Aさんが必要としていらっしゃる情報は完璧に把握できる、ということになるのではないか、と思われる。
でもって、名張市役所のみなさんにはおわかりいただけないことかもしれんけど、こういうのも図書館のお仕事なのね。
図書館というのは、読んだり、知ったり、調べたり、そういうことをする場所なの。
本を読みたい、というひとだけでなくて、ものを調べたい、というひとのニーズにもちゃんと応え、質の高いサービスを提供できるように、ライブラリアンは日々、知識を身につけ、情報を収集し、スキルに磨きをかけているわけなの。
ふつうは、そうなの。
だから、日本でただひとつ、乱歩関連資料を専門的に集めてる図書館があると聞けば、ふつうのひとは、その図書館へ行けば、一般の図書館とは比較にならないほどたくさんの乱歩作品を読むことができて、乱歩のことを知ったり調べたりできるはずだ、と思ってしまうわけな。
あるいは、きょうびのことじゃから、その図書館の公式サイトにアクセスすれば、乱歩のことを知ったり調べたりできるのだろうな、と思ってしまうわけなのね。
ふつうは、そうなの。
ところが、名張市立図書館に乱歩関連資料のことで電話をかけてみたところ、当該資料を所蔵しているのか、所蔵していないのか、それすらわからない。
それどころか、こっちの意図を理解することさえ、できていないらしい。
なんか知らんが、ただうろたえとるだけ、みたいなことじゃまずかろうよ、とわしは思うぞ。
名張市立図書館の公式サイトにアクセスしてみたって、乱歩のことなんかなんにもわかんない。
乱歩関連資料を収集している、ということすらわかんない。
そんなことじゃほんとにまずかろうがよ、とわしは思うぞ。
乱歩作品を読まなくたって、乱歩のことを知らなくたって、乱歩関連資料を収集することは可能です、なんてのは完全な世迷い言だ。
身勝手な屁理屈、というやつだ。
そんな屁理屈、いくら並べたところで、世間じゃとても通用せんと思うぞ。
乱歩関連事業はずーっと継続いたしますので、ミステリ講演会「なぞがたりなばり」の終了を公表する必要は認めません、というのとおんなじじゃねーか。
ミステリ講演会のことはともかくとしても、乱歩関連資料を専門的に収集しているオンリーワンの図書館となれば、世間からそれなりのことは期待されるわけであって、図書館として資料の収集と活用に最善を尽くすのは当然のことなんだけど、手前どもはなにも考えないことにしております、とか、手前どもはできるだけ働かないことにしております、とか、あげくのはては……
いやいや、ま、きょうはこれくらいにしとこうか。
元日だもんな。
元日の小春ちゃん、もう一枚。
「名張市立図書館の地下書庫に全国のミステリー愛好家から寄贈された約4000冊の本と雑誌が死蔵されていることがわかった」
うーむ。
新聞記事の書き出しが眼に浮かぶようじゃの。
きゃはは。
ま、いいお正月を過ごしてくんな。
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