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平成23・2011年12月3日 朝日新聞社
横溝ワールド、コスプレで案内
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2011年12月03日
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■「文庫本手に、ぜひ真備へ」/ファン歴40年、笠岡在住の網本さん
倉敷市真備町で開催中の横溝正史没後30年イベントで案内役を務める「岡山の金田一耕助」がいる。笠岡市職員の網本善光さん(51)。金田一のコスプレ姿で登場し、「40年来のファン」を自負する横溝作品の魅力を伝えている。
「私、金田一が皆さんをご案内します」
イベントの初日、全国から金田一のコスプレをして集まった横溝ファン約50人の先頭に立ち、金田一が初登場した「本陣殺人事件」のモデルになった真備町内を案内した。11月26日のトークショーでは、推理作家の有栖川有栖さんらと作品世界について語り合った。
映画「獄門島」(1977年)の冒頭シーンで、石坂浩二演じる金田一が船に乗り込む笠岡港。自宅はその倉庫街の一角にある。9年前、このロケ地が売り出されたことを知り、妻を説得して買い求めた。
金田一に夢中になったのは中学1年の時。最初に手にした「八つ墓村」でサスペンスに引き込まれ、寝るのも忘れて一気に読んだ。出る本を次々に読破し、探偵・由利麟太郎シリーズなども含めて全巻を高校卒業までに読み終えた。その後も古書店で初版本などを求め、横溝作品の蔵書は約200冊になる。
小学3年で江戸川乱歩の少年探偵団シリーズに魅せられて以来のミステリーファン。国内外約3千冊のミステリーを読んできた。
「中盤がだれる作品は、エラリー・クイーンやアガサ・クリスティら大家にもあるが、横溝には一作もない。無数のドラマで読者をあきさせない横溝の手法は、昔の紙芝居と同じ。稀有(け・う)のストーリーテラー」
笠岡市では総務課参事として条例づくりなどを担当する。一方で、旧真備町時代から金田一を活用した町おこしに協力。作品のモデルとなった場所をたどるルート作成などにかかわり、これまでも折にふれ、金田一のコスプレ姿で案内役を務めてきた。
金田一が活躍する小説は77作あり、うち13作の舞台が岡山だという。
「岡山は金田一ファンの憧れの地。中でも、横溝が戦時中に疎開し、金田一を生み出した真備町は、当時と変わらぬ風景と人情が残り、小説の世界に浸れる。ぜひ文庫本を手に訪れてほしい」(鈴木裕)
■作品の舞台紹介/網本さんの紀行文、出版
網本さんの「岡山ぶらりスケッチ紀行」(岡山文庫、860円)が出版された。「悪魔の手毬唄(て・まり・うた)」や「獄門島」などの横溝作品を読んでモデルとなった場所を推定。漫画家の南一平さん=笠岡市=とともに訪れ、その紀行文などをまとめている。
「八つ墓村」の映画ロケ地なども訪問。思い入れたっぷりの網本さんの文と、南さんの風景画が楽しい。
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