人事
北杜夫
平成23・2011年10月24日午前6時2分死去 腸閉塞 84歳
きた・もりお 本名=斎藤宗吉(さいとう・そうきち)
作家
昭和2年5月1日-平成23年10月24日(1927-2011)
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北杜夫さん=東京都世田谷区の自宅で2008年11月、平田明浩撮影
毎日出版文化賞を受賞した長編小説「楡家(にれけ)の人びと」(64年)や上品なユーモアあふれるエッセー「どくとるマンボウ」シリーズで知られる作家の北杜夫(きた・もりお、本名・斎藤宗吉=さいとう・そうきち)さんが24日午前6時2分、腸閉塞(へいそく)のため東京都内の病院で亡くなった。84歳だった。葬儀は親族のみで営む。喪主は妻喜美子(きみこ)さん。
アララギ派を代表する歌人、斎藤茂吉の次男として東京に生まれ、旧制松本高校を経て東北大医学部卒、医学博士。水産庁のマグロ調査船での船医としての体験をつづった「どくとるマンボウ航海記」(60年)が大ベストセラーになり、ナチス政権下の精神病患者をめぐる医師の苦悩を描いた「夜と霧の隅で」(同)で芥川賞を受賞した。
その後も「昆虫記」「青春記」などの“マンボウ”ものが爆発的な人気を集め、「船乗りクプクプの冒険」(62年)や「さびしい王様」(69年)など、大人も楽しめる童話でも親しまれた。カラコルム遠征隊を扱った「白きたおやかな峰」(66年)や、日系ブラジル移民を描いた「輝ける碧(あお)き空の下で」(82年)などの純文学作品も精力的に発表。98年、「青年茂吉」など父の人生を描いた評伝4部作で大仏次郎賞を受賞した。
兄は精神科医で著述家の斎藤茂太、長女はエッセイストの斎藤由香さん。作家の遠藤周作や辻邦生、佐藤愛子さん、なだいなださんらとの交友でも知られた。
毎日新聞 2011年10月26日 9時05分(最終更新 10月26日 12時43分)
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