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平成23・2011年10月19日 読売新聞社
谷崎・乱歩・横溝…ミステリーな交流を紹介
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子どもたちから大人気を得た「少年探偵団」のバッジやかるたなどのグッズ
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乱歩が愛用していた8ミリや双眼鏡、カメラ
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横溝愛用のすずりやキセル、直筆の色紙
兵庫県の芦屋市谷崎潤一郎記念館(同市伊勢町)で開催されている秋の特別展示「妖しの世界への誘いざない」(読売新聞大阪本社など後援)は、ミステリーを通じて交流していた谷崎、江戸川乱歩、横溝正史を紹介するという異色の企画だ。
来場者は、書簡や色紙、愛用品を見て、3人の巨匠の内面や人間関係にも思いをはせている。
「こんなのを読まされると、たしかに自分で創作するのがいやになります」。1925年(大正14年)7月、当時23歳の横溝は、乱歩にこんな手紙を送っている。その3か月前に乱歩と初めて出会い、若手小説家らで親睦団体「探偵趣味の会」を発足させた時期。乱歩の短編ミステリー「屋根裏の散歩者」を読んだ横溝が作品を称賛する一方で、自信喪失に陥っている様子がよくわかる。
展示では、谷崎の初期作品「金色の死」を読んで作家を志した乱歩や、中学生の頃から谷崎作品に親しんでミステリーを学んだ横溝など、3人の内面も垣間見ることもできる。「謎の骨格に論理の肉附づけをして浪漫の衣を着せましょう」(横溝)や「うつし世はゆめ よるの夢こそまこと」(乱歩)などの直筆の色紙、谷崎が乱歩に宛てたはがきなどを公開。乱歩の8ミリカメラや少年探偵団のグッズ、横溝のすずりなど展示品は約100点に上る。
同館学芸員の永井敦子さんは「谷崎の探偵小説に触発された乱歩や横溝の直筆原稿などを見てもらい、日本でミステリーが育った当時の雰囲気を感じ取ってほしい」と話している。
(2011年10月19日15時28分 読売新聞)
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