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Nabari Ningaikyo Blog
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Posted by 中 相作 - 2011.10.05,Wed

 サンデー先生の人生ぼやき講座。

 

 またあした、とかいいながら、またしても間があいてしまった。

 

 なんかほんと、頭が痛いというか、気が重いというか、考えはじめると胃が痛くなるというか。

 

 しかしまあ、とにかく、このエントリのつづきである。

 

 ▼2011年9月30日:なかったことになってるみたいじゃ

 

 写真、再掲。

■20110930a.jpg

 

 この箱には、なにが入っているのか。

 

 乱歩作品の初出のコピーが入っている。

 

 初出のほかにも、初刊、再刊、その他もろもろ、いろいろなコピーが入っておる。

 

 もちろん、コピーではなくて現物、つまり乱歩作品が掲載された雑誌や新聞のたぐいの現物を収集する、というのが本来の資料収集じゃ。

 

 名張市立図書館における乱歩関連資料収集の目的のひとつは、乱歩の文業の全容を明らかにして後世に継承する、ということなんだから、初出誌紙の収集はもとより避けて通れない。

 

 先日も記したとおり、図書館はときに初出を求められるから、そういった意味からも避けて通ることはできない。

 

 しかし、初出誌紙の収集なんて、実際にはほぼ無理である。

 

 初出誌紙の現物が古書業界にごろごろしている、なんてことはまったくない。

 

 コピーを取ることすら容易ではない。

 

 古書業界だけではなく、図書館だってあてにはならない。

 

 乱歩が戦前、活躍の舞台にしていた娯楽雑誌は、この国の図書館業界では長くネグレクトされていた。

 

 国立国会図書館の蔵書にだって、欠号がぼろぼろある。

 

 かりに現物が所蔵されていても、乱歩作品のページだけが切り取られている、なんてケースもあった。

 

 名張市立図書館の目録『江戸川乱歩執筆年譜』のための調査では、国立国会図書館が頼りにならない場合は、たとえば講談社の資料室に潜り込ませてもらって、戦前の雑誌を確認する作業を進めたものじゃった。

 

 ほんとならそのとき、初出のコピーをだーっと取らせてもらえばよかったのである。

 

 資料室スタッフのかたからも、いくらでもただでコピー取ってくださいね、とありがたいおことばを頂戴していたのだが、あいにく時間がなくて、コピーまではとても手がまわらなかった。

 

 要するに、初出のコピーを集めるだけでも、とんでもない労力と時間が必要になる、というわけじゃ。

 

 しかし、乱歩作品のデータベースをつくるためには、たとえコピーでもいいから、初出のデータやテキストを確認することが必要となる。

 

 そこで、昨年の秋、名張市乱歩関連事業アドバイザーを拝命する前後のことであったと記憶するが、ふと思いついてさる関係筋にお願いしてみたところ、ありがたいことに初出その他のコピーを拝借できることになり、上の写真でごらんいただいたとおり、箱に詰めてぼちぼちお送りいただいているところである。

 

 つまり、まだ途中であって、写真の箱がすべてではない、ということである。

 

 さて、この箱のなかの初出その他のコピー、乱歩作品のデータベースをつくるにあたっては、のどから手が出るほど欲しい資料なわけだから、名張市乱歩関連事業アドバイザーとして、名張市立図書館にたいし、これをさらにコピーするか、あるいはスキャンするかして、閲覧に供することはしないまでも、図書館として所蔵しといたらどうよ、ともちかけた。

 

 しかし、これはこちらがうかつであったというか、無知であったというか、とにかくまったく気がつかなかったのだが、図書館ではそういうことはできない、とのことであった。

 

 つまり、初出コピーのコピーを取ってそれを所蔵する、みたいなことは図書館としてはできない、というわけである。

 

 どうもようわからんのじゃが、なんらかの法規に抵触するのかもしれない。

 

 ならばしかたがない、ということにはなるのだが、せっかくの初出コピーを所蔵しない、というのであれば、乱歩作品のデータベースづくりはおおきに停滞してしまうかもしれない。

 

 いやいや、初出を確認する作業なんかべつにしても、名張市立図書館には乱歩作品のデータベースづくりなんて、とてもできない。

 

 それはようわかっておるのだが、だからといって、名張市立図書館はやっぱ乱歩から手を引くべきじゃろうな、ということにはならない。

 

 これが以前であれば、しょっちゅうそう考えていたのであるが、くり返し述べているとおり、3・11を経験して、わしはそういった考えを全面的にあらためた、というか、完全に捨ててしまった。

 

 名張市立図書館は全国でただひとつ、乱歩関連資料を四十年あまりにわたって収集してきた図書館として、その使命と責務を自覚し、まじめにこつこつと本分を尽くすべきなのである。

 

 それは、名張市立図書館が期待されているところでもあるのであって、つい先日もこんなコメントを頂戴した。

 

 ▼2011年10月3日:講座ならびにラジオ > 配信でリアルタイムに聴けますか?

 

 この古畑拓三郎さんも、「実際、名張市立図書館の乱歩関係図書とかホントウに死蔵したままにどうなっちゃうんですかね(泣)」とご心配である。

 

 ほかにも同様の心配をしてくださってるかたが、全国には少なからずいらっしゃるのではないか。

 

 オンリーワンの図書館として収集した乱歩関連資料を、名張市立図書館はいったいどう活用するのか、という期待が、名張市立図書館にはたぶん全国から寄せられているのである。

 

 永遠に死蔵せよ、なんてこと思ってるひとはひとりもいないと思うけど、名張市立図書館にまかせといたら、永遠に死蔵してしまいそうじゃけのう。

 

 だから、わしがこうやって、名張市立図書館になりかわって、ちゃんと考えて、ちゃんと決める、という作業を進めておるわけなのじゃが、なんかほんとね、頭が痛いというか、気が重いというか、考えはじめると胃が痛くなるというか。

 

 やれやれ。

 

 やれやれ。

 

 えーい、またあしたじゃ。

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