わーっはっはっは。
わーっはっはっは。
とかばか笑いしてるうちに、9・11から十年、3・11から半年が経過した。
月日のたつのは早いものじゃ。
少年老い易く学成り難し。
一寸の光陰軽んず可からず。
未だ覚めず池塘春草の夢。
階前の梧葉已に秋声。
なんつってな。
とっとと先に進もう。
第二ステップのことを、がんがん決めてゆこう。
それにしても、長い時間がかかったものじゃな。
名張市立図書館が開館した時点で決められていなければならなかったことが、開館から四十二年もたってから、市長判断を仰ぐという異例の手続きを踏んでのことではあるが、ようよう正式に決まるのである。
感無量である。
こんな日がほんとに来ようとはな。
とにかく、ちゃんと考えて、ちゃんと決める、ということが、ここらのひとにゃ全然できない。
まず、考える、っつーことができない。
なーんにも考えない。
いつもいってるとおり、というか、くさいものにはふたをしたんだから、いまや大きな声ではいえないことだけど、考え、なんてものはない。
思いつき。
それしかない。
だから、名張市立図書館の場合も、乱歩関連資料を収集する、という思いつきだけがあって、あとの考えなんてのは、なんにもなかった。
ほんとに、なんにもなかった。
名張市立図書館だけではない。
名張市教育委員会にもなかった。
名張市立図書館の嘱託を拝命した時点で、図書館サイドにはなんの考えもない、ということは知れておった。
乱歩にかんしてなにをすればいいのかわからない、と図書館から泣きつかれて、わしは乱歩資料担当嘱託を引き受けたのだからな。
しかし、教育委員会の意向や方針まではわからないから、当時の教育長に文書を提出して、教育委員会の考えを質問した。
みたいなことは、以前にも書いた。
引用しとこう。
さて、嘱託になった私は、名張市や名張市教育委員会が乱歩についてどう考えているのかを知りたいと思った。私は私なりに、名張市立図書館が乱歩に関して何をすればいいのか、そのプランはもっていた。しかし、それが名張市や名張市教育委員会の考えと整合性をもったものかどうかは判らない。早い話が、名張市は昭和四十年代のなかばに乱歩記念館の建設構想を打ち出しているのだが、その構想が生きているのか死んでしまったのか、生きているとすればどういう形で残っているのか、そしてその構想と図書館との関係はどうあるべきなのか、そのあたりを確認しておかなければ動きようがないのである。そこで私は、教育委員会のしかるべき地位にある方に文書で質問を提出した。図書館が乱歩に関して何をすればいいとお考えか、教育委員会としての見解なり方向づけを示してほしい、といった内容の文書である。
教育委員会のしかるべき地位にある方、といちいち書いていてはまどろっこしい。かりにX氏としておくが、X氏からは、しかし何の返事もなかった。やっぱりな、と私は思った。教育委員会には何の見解もないのだ。それは充分に予想されていたことなので、私は驚きもしなかった。そして、とりあえず自分なりのプランを実行するべく、『乱歩文献データブック』の予算を要求するよう手配した。平成七年十一月のことである。つまりお役所では、毎年十一月に次年度予算獲得のための動きが始まる。来年はこういう事業を進めますからこれだけの予算をいただきたいという折衝が始まるのであって、市立図書館は教育委員会に対し、『乱歩文献データブック』刊行という事業を行いたいと申し出たのである。図書館長がことあるごとに事業の必要性を説いてくれたこともあって、ゴーサインが出た。一昨年三月の市議会で、予算が正式に認められたのである。
これを受けて四月、私は乱歩令息、平井隆太郎先生にお会いするため上京することになった。書状のやりとりで『乱歩文献データブック』のご監修はお引き受けいただいていたのだが、一度お邪魔してご挨拶申しあげる必要があった。上京の前、私は図書館長に、市長にお会いしたいのだが、と申し出た。さきほども記したごとく、名張市が乱歩のことをどう考えているのか、それが知りたかったのである。『乱歩文献データブック』の刊行は、名張市が過去に手がけてきた乱歩関連事業や名張市の将来構想のなかに位置づけられた乱歩関連事業と無縁ではあり得ない。私は平井先生に、名張市は乱歩先生に関してこれだけのことを考えております、このたび図書館が刊行する本もその一環であります、というふうにご説明申しあげ、ご協力をお願いしたかったのである。それが筋というものであろう。やがて図書館長を通じて、市長ではなくX氏から返事があった。
「おまえが市長に会うのは無理である。教育委員会のしかるべき地位にある私をさしおいて市長に会うことなど市役所のシステム上とうてい認められぬ。不可能である。会いたいというなら私が会ってやろう」
全文はこちら。
▼名張人外境:乱歩文献打明け話 > 第四回 ああ人生の大師匠
それにしても、名張市教育委員会は、質問には答えない、ってことに決めとるのじゃろうか。
当時の教育長といい、くだんの教育次長といい、わしがなにを尋ねても、なーんにも答えてくれんかったぞ。
答えの内容がどうのこうの、という以前に、まったく答えようとせんのじゃから、ほんとに困ったものではないか。
教育長とか、教育次長とか、ほんと、ろくでもないよね。
ま、もう、どうだっていいけど。
それでまあ、名張市立図書館も、名張市教育委員会も、なにも考えず、なにも決めず、すがすがしいほどの無能と怠慢を決め込んでおったわけなんじゃが、そんなことをわざわざ吹聴する必要もないじゃろう。
名張市立図書館は開館準備の段階から、ちゃんとした目的のもとに、ちゃんとした方針を掲げ、乱歩関連資料をちゃんと収集してまいりましたが、乱歩生誕百年を迎えたのを機に目録を発行いたします、ということにして、『乱歩文献データブック』を世に問うたわけ。
だから、『乱歩文献データブック』を開いたひとはみんな、というか、ま、ばかはべつだけど、名張市立図書館は開館以来一貫して、乱歩の自己収集をちゃんと継承してきたんだな、と理解してくれたはずである。
しかし、そんなものは、うそといえば、うそである。
名張市立図書館にゃ、乱歩の自己収集なんてまったく理解できておらんかったのだし、そもそも資料収集というのがどういうことなのか、それさえわかっとらんかった。
しかし、わしが必死になって乱歩のことをお勉強し、乱歩の自己収集をいわば内面化して、三冊の目録で王道とも呼ぶべき方向性を示したのじゃから、あとはその方向性に従って、迷わず行けよ、行けばわかるさ、っつーことになってりゃね、名張市立図書館は最初から、ちゃんと考えて、ちゃんと決めていた、ということで話はまるく収まってたわけで、とりあえず目録三冊の増補をつづけてれば最低限のことはできてたはずなんだけど、世の中そんな甘くはない、っつーことなのか、名張市立図書館はなんにもしようとせんわけな。
ばかりか、名張市教育委員会にいたっては、なにを血迷ったのか教育次長ともあろうおかたが、おめーの考えてるとおりにゃなんねーんだよ、などとおっしゃるのである。
じゃ、名張市教育委員会はどうお考えなのか、それをお聞かせくださいな、と質問しても、くだんの教育次長から、答えはまったく返ってこんかったのじゃ。
そーりゃまずかろうよ。
正当な批判の応酬はぜひとも必要なことじゃが、ひとのこと否定するだけ否定して、自分の意見はいっさい口にしない、ってのはいただけねーなー。
どうしてそうなんだろうな。
なんだったらあすにでも、天下り先の……
おっとっと。
ふただふた。
くさいものにふただ。
ばんッ。
ばんッ。
ばんッ。
さ。
これでいいだろ。
とにかくな。
ちゃんと考えて、ちゃんと決める、ということが、ようようできるようになったのじゃ。
うわーっはっはっは。
これが喜ばずにいられるか。
感無量のこんこんちきだいべらぼうめ。
うわーっはっはっは。
うわーっはっはっは。
うわーっはっはっは。
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