台風は北に去りぬ。
しかし、雨はしつこく降りつづけておる。
なんのなんの。
雨にも負けず、風にも負けず、しかし公務員さまにはあっさり負けて、さあ、くさいものにふたをしつづけよう。
ばんッ。
ばんッ。
ばんッ。
きょうもばんばん行くぞ。
8月31日の人生ぼやき講座では、名張市立図書館が乱歩関連資料を収集する目的と、その目的を実現するための収集方針を決定した。
決定した、といったって、わしには決定権なんかないんじゃから、この決定は脳内妄想にすぎない。
ただまあ、いずれ名張市長の判断を仰ぎ、市長から鶴のひと声をいただければ、この決定は現実のものとして動きはじめるのじゃ。
動きはじめる、とかいってしまうと大げさだが、要するに、名張市立図書館が乱歩関連資料の収集を開始した時点で決まってなければならなかったことが、図書館の開館から四十二年もたってようやく決まった、ということになるだけの話だ。
しかし、市長判断を仰ぐ以前に、決めておかなければならないことが、まだある。
収集した資料をどう活用するか、ということだ。
まず必要なのは、収集資料を体系化することだ。
一般的には、目録を作成することになる。
しかし、名張市立図書館には、そんなことすら、わかっておらんかった。
わしが乱歩資料担当嘱託になる前の話じゃ。
乱歩生誕百年も近づいたから、これを機会に目録をつくろうか、などということはいっさい考えず、乱歩生誕百年が近づいたのになにもせんのはかっこわりーから、ということだったのかどうかはわからんが、市民を対象にした乱歩作品の読書会を開こうか、と思いついた。
ほんと、しっかりしろよな。
図書館として、少しはまともなことをしなくちゃまずかろうよ。
みたいなことで、わしは名張市立図書館から読書会の講師を依頼され、もちろん最初は速攻で逃げ、しかしつぎの年には逃げられず、なんやかんやあって、なにが読書会だ、そんなことよりほかにもっとするべきことがあるじゃろ、おまえらはどうして図書館本来のお仕事をしようとせんのじゃ、と名張市立図書館を叱り飛ばしたおかげで、乱歩資料担当嘱託を拝命することになり、目録三冊をつくった。
で、先述したとおり、目録をつくるのは、収集資料活用の第一ステップだ。
ここで説明を加えておくと、この三冊の目録をひもとけば、必ずしも明記はされていなくても、名張市立図書館が乱歩関連資料を収集している目的とか、収集の方針とか、そういったものは一目瞭然なわけ。
しかし、そんなことをすんなり理解できる人間は、どうやらここ名張市あたりには、ただのひとりもおらんみたいなのよね。
少なくとも、図書館だの教育委員会だの、あるいは市役所だの、そのあたりにゃまったくおらんのよ。
たとえば、公務中の発言にいっさい責任をもとうとしない元教育次長というのがおってな……
おっと。
いかんいかん。
くさいものにはふたをするのであったな。
ばんッ。
ばんッ。
ばんッ。
だからまあ、収集資料活用の第一ステップは、目録をつくって体系化に努める、ということであって、それはひとまず終わった。
とはいえ、あくまでも、ひとまず、ということであって、じつは作業には終わりはない。
いやいや、作業に終わりはない、というのは、むろん、名張市長から鶴のひと声で賢明なるご判断を頂戴できたならば、の話である。
つまりな、まったくややこしいことなのであるが、なにも考えようとしない、というか、なにも考えることができない名張市立図書館になりかわり、名張市立図書館が乱歩にかんしてなにをしたらいいのか、ということをいまこのとおりわしが考えて、こういうことでいかがでしょうか、と名張市長にお訊きする、というのが、市長判断を仰ぐ、ということなのである。
しかし、わしの考えなんて最初から決まっているのだし、その考えというのは、ごく当然のことなのであるが、名張市立図書館が発行した三冊の目録に一目瞭然で示されておる。
だから、少なくとも収集資料活用の第一ステップにかんして、名張市長がわしの考えを、よし、としてくださり、それをそのまま名張市立図書館における決定事項としていただける、というのであれば、目録三冊を増補する作業はこの先ともつづけられなければならない、という話だ。
逆に、名張市長が、くだんの教育次長と同様に、おめーの考えてるとおりにゃなんねーんだよ、などとおっしゃるのであれば、増補作業なんて必要なくなるわけであるが、市長がそんな愚かしい判断をお示しになるはずはないじゃろう。
かりにご快諾の意をお示しいただけたとして、いやいや、お示しいただけるに決まっておるのじゃが、まだ現実のものとはなっておらんのじゃから、かりに、ということで話を進めるが、かりにそうなった場合、第一ステップの作業はどのように継続すればいいのか、ということを記しておこう。
まず、『乱歩文献データブック』について。
乱歩文献、というのは、乱歩について記された文献のことだ。
乱歩が時代にどう受容されたかを記録してゆくには、乱歩文献を収集し、体系化してゆく作業が不可欠だ。
近い例をひとつだけあげると、こういう文献をこまめに拾ってゆく、ということになる。
▼2011年8月21日:雑誌:江戸川乱歩『陰獣』
むろん、現在ただいまの文献をリアルタイムでフォローしてゆくことも必要だが、見落としている過去の文献も少なからずあるはずだから、それを地道に拾ってゆくことも必要だ。
つづいて、『江戸川乱歩執筆年譜』の増補。
これは、乱歩の文業を明らかにすることを目的にした目録だ。
しかし、まったく手をつけていない分野がある。
ひとつは、作家としてデビューする以前の作品が、まったくの手つかず。
だから、たとえばこのエントリに出てくる「中央少年」みたいな関連資料も、ちゃんと調査して体系化する作業を新たにはじめなければならない。
▼2011年7月13日:とても無理かもしれないね
それから、談話もいまだ、まったくの手つかずだ。
談話というのは、対談、鼎談、座談会、講演などのことで、ほんといえば新聞記事の談話も、すべからく収集対象とすべきであろう。
そういえば、つい先日、8月下旬のことであったが、あるかたから座談会のコピーをお送りいただいた。
昭和27年の報知新聞に二回にわたって分載されたもので、タイトルは「探偵小説あれこれ」、出席者は乱歩、朝山蜻一、大河内常平。
別件で古い新聞記事を調べていたら、乱歩が出ている座談会を発見したので、とわざわざお送りくださったのだが、上下二回分載のうち下のほうは国立国会図書館でも欠号となっているらしく、野球体育博物館でコピーを入手されたとのことであった。
いくたびもおなじことをいうけれど、名張市立図書館が名張市名物の隠蔽体質を全開にして、手前どもは乱歩関連資料を収集しております、という事実をひた隠しにしているのは、やはりよろしくない。
先日、小樽文学館を例にあげて述べたごとく、手前どもは乱歩関連資料を収集しておりますゆえ、どうぞ情報をお寄せくださいな、とインターネットを利用してひろく呼びかけることが必要じゃろう。
そうすれば、たとえばこの「探偵小説あれこれ」みたいな感じで、少しずつでも情報をお寄せいただけるはずである。
乱歩関連資料を持続的に収集してるとこなんて、ほかにはまったくないんだから、こそこそこそこそ隠蔽ばかりかましてないで、乱歩関連資料収集のオンリーワンの拠点として、それなりのことをやるべきなんじゃね? とぞ思う。
ついで、『江戸川乱歩著書目録』について。
乱歩の本が出たら、それを入手して、必要なデータを記録してゆけば、この目録の増補は進んでゆく。
が、名張市立図書館には、それすらできていない。
やる気がないのである。
さすが公務員さま、というしかない。
少し以前、こんなコメントをいただいた。
▼2011年5月30日:雑誌:意表をつく展開、巧みな語り口 > 台湾での乱歩作品の刊行について
台湾、韓国、さらにはタイで刊行された乱歩作品にかんして、貴重なご教示をいただいたわけであるが、乱歩の著書を集めるとなれば、こういった海外の動向にも眼を配らなければならない。
しかし、海外のことなんてまずわかんないから、たとえばこのコメントをお寄せくださったDokutaさんのように、その道に明るいかたから指導協力を仰ぐことが必要になる。
その意味でも、インターネットを活用して、乱歩関連資料の情報を受発信することが要請されるわけである。
細かいことをいいだせばきりがないのじゃが、第一ステップとして日々、一年三百六十五日、意を用い、気を配って、ルーティンとしてつづけなければならない作業は、だいたいがいま述べたようなことである。
以上、決定。
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