Nabari Ningaikyo Blog
Posted by 中 相作 - 2018.01.03,Wed
新年も三日目です。
新年最初に買った本は、電子書籍のこれでした。▼小学館:江戸川乱歩 電子全集18 随筆・評論第3集
収録は昭和21年から25年までの五年間に発表された二百点以上の随筆評論とのことで、ああ、またこんな面倒なことやんなきゃなんないのか。
▼2017年12月31日:江戸川乱歩電子全集 第17巻 随筆・評論 第2集
それにしても、二百点以上ってか。
ほんとにうんざりしてしまいますけど、この全集、あんまり売れてないんだろうな、と案じつつツイッターを検索してみると──
Kindle版「江戸川乱歩 電子全集18 随筆・評論第3集 」が発売されたのですが、「ちくま文庫収録のドイル書誌1290」の江戸川乱歩筆「『ホームズは生きている』収録『DSニュース』」が抜けているようです。日本で初めて「ホームズ愛好者をホーメシアンとかシャーロッキアンとか云い」と記されています。
— 「ホームズの世界」サイト管理人 (@sh221_mittyon) 2017年12月28日
「ホームズは生きている」は、昭和21年8月に発表された随筆です。
▼名張人外境:江戸川乱歩執筆年譜 > 昭和21年●1946
お正月休みを利用して資料整理を進めておりますので、すぐに見つかるだろうと踏んで「ホームズは生きている」の初出コピーを探してみたんですけど、ありません。
おかしいな。
あったはずなんだけどな。
ずいぶん以前、某シャーロッキアンのかたからコピーを頂戴して、大切に保管してあったはずなんだけど、これはもしかしたら勘違い記憶違いなのかもしれません。
なにしろこの年になりますと勘違いだの記憶違いだのは日常茶飯事、1月1日のお昼ごはんは資料整理用の文房具を買いに行ったついでに名張市元町の大型商業施設リバーナ三階にあるSugakiya名張イオン店で食べたことはしっかり記憶しているんですけど、きのう2日のお昼は名張市鴻之台一番町の丸亀製麺名張店に行ったらお休みだったので名張市希央台三番町のCoCo壱番屋名張店にまわったところ同店と駐車場を共有しているユニクロ名張店がえらい人出で駐車場から道路に自動車があふれている状態、それでそのあとどこへ行ったのか、ということはしばらく考えなければ思い出せないようなありさまで、ことほどさように勘違い記憶違いや失念忘却は日常生活にふつうに転がっておりますから、この手の作業をいつまでも老境を迎えた善良な一個人にやらせてんじゃなくて名張市立図書館がまるごと担当する体制を整えればいいではないかと読者諸兄姉はお思いかもしれませんけど、名張市立図書館の関係者というか名張市のお役人というかあるいはもういっそ名張市の官民双方というか、とにかく死ぬほどあれですからまったくあてにできません。
しかし私も常住坐臥勘違い記憶違い日々是好日のおとしごろになりましたので、乱歩関連の蔵書や資料やなんか名張市立図書館に一括して寄贈することができれば、これはもう思わず落涙してしまうほどありがたい話なんですけど。
といったところで例のものです。
中 相作 様
市長への手紙をお寄せいただきありがとうございました。
お尋ねのありましたことについて以下のとおり回答させていただきます。
●私は10月9日付「市長への手紙」で、平成28年度に発行された書籍など十二点をあげ、それが名張市立図書館によって乱歩関連資料として収集されなかったのはなぜか、ということをお聞きいたしました。ですから、十二点それぞれについて、収集対象としなかった理由をお知らせいただかないと困ります。「そんな本が出ていることを知らなかったから、収集対象にできなかった」とか、「収集対象ではあったが、予算がないので購入できなかった」とか、「すでに所蔵している資料の新装版は収集対象としていない」とか、理由はいろいろあろうかと思います。
かりに「そんな本が出ていることを知らなかった」というケースがあるようでしたら、10月9日付「市長への手紙」で十二点それぞれの簡略なデータをお示ししたのですから、それにもとづいて十二点がそれぞれ収集対象であるのかどうか、その点のご判断をお示しください。念のために記しておきますと、あくまでも収集対象かどうかをお聞きしているだけですので、資料として購入するべきだが予算がない、といった問題からは切り離してご回答いただければと思います。
▽『花森安治』河出書房新社
出版時には気づきませんでしたが、収集対象ですので今年度中に購入します。
▽『電話ミステリー倶楽部』光文社
出版時には気づきませんでしたが、収集対象ですので今年度中に購入します。
▽『乱歩アナザー 1』講談社
出版時には気づきませんでしたが、コミックですので収集していません。
▽『文豪聖地さんぽ』一迅社
図書館流通センターのデータベースで調べましたが、江戸川乱歩との関連はわかりませんでした。
▽『キミこそ名探偵!』ナツメ社
出版時には気づきませんでしたが、収集対象ですので今年度中に購入します。
▽『ハヤカワミステリマガジン』9月号
定期購読で購入しています。バックナンバーとしては収集していません。
▽『Dの殺人 まことに恐ろしきは』KADOKAWA
出版時には気づきませんでしたが、収集対象ですので今年度中に購入します。
▽『屋根裏の散歩者』キングレコード
視聴覚資料ですので収集していません。
▽『検閲と発禁』森話社
出版時には気づきませんでしたが、収集対象ですので今年度中に購入します。
▽『TRICKSTER 1』バンダイビジュアル
視聴覚資料ですので収集していません。
▽『全員少年探偵団』ポプラ社
出版時には気づきませんでしたが、収集対象ですので今年度中に購入します。
▽『悲劇喜劇』3月号
雑誌のバックナンバーですので収集していません。
●「(2)の回答にありますように、出版案内などを見て選書していたため一部見落としがあったと思います」とのご回答をたまわりましたが、新たに株式会社図書館流通センターが運営するデータベースを利用していただいているそうですから、お手数をおかけして恐縮ですが、そのデータベースで平成28年度の収集対象をチェックし、リストアップしてお知らせいただきますようお願い申しあげます。また、リストアップしていただいた資料の合計金額もお教えください。
データベースでチェックした乱歩関係資料は以下のとおりです。
『明智小五郎事件簿』11(集英社文庫)/集英社
『怪人二十面相』上(大活字名作シリーズ)/ゴマブックス
『怪人二十面相』下(大活字名作シリーズ)/ゴマブックス
『妖怪博士』(新潮文庫nex)/新潮社
『乱歩の猟奇』(光文社文庫)/光文社
『明智小五郎』(はじめてのミステリー名探偵登場!)/汐文社
『明智小五郎事件簿』10(集英社文庫)/集英社
『〈異界〉文学を読む』/鼎書房
『全員少年探偵団』/ポプラ社
『おじいさんと熊 短篇小説集』/たちばな出版
『新編・日本幻想文学集成』5/国書刊行会
『東京少年D団 明智小五郎の帰還』/PHP研究所
『〈都市〉文学を読む』/鼎書房
『文豪ノ怪談ジュニア・セレクション』恋/汐文社
『明智小五郎事件簿』9(集英社文庫)/集英社
『少年探偵団』(新潮文庫nex)/新潮社
『まんが日本の歴史と偉人伝』(ブティック・ムック)/ブティック社
『明智小五郎事件簿』8(集英社文庫)/集英社
『検閲と発禁 近代日本の言論統制』/森話社
『みんなの少年探偵団』/ポプラ社
『明智小五郎事件簿』7(集英社文庫)/集英社
『江戸川乱歩傑作選』蟲(文春文庫)/文藝春秋
『私の酒』(中公文庫)/中央公論社
『明智小五郎事件簿』6(集英社文庫)/集英社
『怪人二十面相』(新潮文庫nex)/新潮社
『コーヒーと小説』/mille books
『Dの殺人事件、まことに恐ろしきは』/KADOKAWA
『パノラマ・ジオラマ・グロテスク』/萩原朔太郎記念水と緑と詩のまち前橋文学館
『明智小五郎事件簿』5(集英社文庫)/集英社
『英語で読む江戸川乱歩短篇集』(IBC対訳ライブラリー)/IBCパブリッシング
『〆切本』1/左右社
『〈変態〉二十面相』/六花出版
『乱歩随筆』/青蛙房
『明智小五郎事件簿』4(集英社文庫)/集英社
『キミこそ名探偵!名作ミステリー』/ナツメ社
『竹中英太郎』2(挿絵叢書)/晧星社
『明智小五郎事件簿』3(集英社文庫)/集英社
『江戸川乱歩名作選』(新潮文庫)/新潮社
『怪談入門』(平凡社ライブラリー)/平凡社
『孤島の鬼』(海王社文庫)/海王社
『明智小五郎事件簿』2(集英社文庫)/集英社
『日本推理作家協会賞受賞作家傑作短編集』3(双葉文庫)/双葉社
『ベスト本格ミステリ』2016(講談社ノベルス)/講談社
『明智小五郎事件簿』1(集英社文庫)/集英社
『電話ミステリー倶楽部』(光文社文庫)/光文社
『わが推理小説零年』(ちくま文庫)/筑摩書房
『江戸川乱歩名作ベストセレクション』2-3/ゴマブックス
『触感の文学史』/勉誠出版
『花森安治』(KAWADE夢ムック)/河出書房新社
『光の曼荼羅』(講談社文芸文庫)/講談社
『名探偵の謎解き推理!世界の名作ミステリー』/西東社
合計金額 76,879円
●平成28年度の名張市の当初予算に乱歩関連資料の購入費が独立した費目として計上されていたのかどうか、その点もお教えいただければと思います。
独立した費目としては計上されていません。
●もうひとつ、「視聴覚資料、コミック及び定期購読以外の雑誌は購入していません」とのご説明をいただきましたが、こうした資料を除外している根拠をお示しください。
乱歩関係資料に限らず、一般の書籍の購入を優先しており、雑誌は年間の定期購読としているためです。なお、前回の回答で説明不足がありました。図書館の主催講座で使用する等の理由で、例外的に視聴覚資料を購入することもあります。
●それから、ご回答に「なお、図書館資料の収集にあたっては、乱歩関連資料の他にも利用者の求める資料、調べものに必要となる資料等にも留意する必要があります。名張市は、今、厳しい財政状況の中にあります。その中で、限られた予算の中で多くの市民の皆さんに図書館を利用していただけるよう資料の収集に努めています。したがって、視聴覚資料、コミック、雑誌を含めた乱歩関連資料の網羅的な収集やデータベース構築については、困難な状況にあります」とありますところ、「乱歩関連資料の網羅的な収集」と「データベース構築」に関して、それぞれどのような事業を想定し、どの程度の経費を見込んだうえで、その実現が「困難な状況」にあるとおっしゃっているのか、できるだけ具体的にご説明いただきたいと思います。
「乱歩関連資料の網羅的な収集」とは、江戸川乱歩の著作物、江戸川乱歩に関する著作物、江戸川乱歩の著作物が二次利用された著作物、江戸川乱歩の著作物が収録された全集などの著作物、江戸川乱歩に関する記事が収録された雑誌等を収集することと考えています。これに係る経費の見込みは具体的にはできませんが、先の回答にもありますように一般の書籍を優先して購入するため、網羅的な収集は困難です。
「データベースの構築」については、まず、現状の図書館情報システムとは切り離したデータベースが必要となります。そこに、江戸川乱歩の著作物等の書誌事項やテキストをデータベース化し、全文検索ができるようにすることで、あるキーワードから特定の検索結果を返すようなことが考えられます。以前、このことを検討しかけた際、具体的な金額は出なかったものの、構築や構築後のメンテナンスにかなりの経費が必要となることが予想されたため困難と判断しました。
平成29年12月28日
名張市長 亀井利克
結論からいってしまうと、名張市立図書館には乱歩関連資料の収集なんてとてもできてないわけです。
まず、集書ができない。
平成28年度に発行された十二点の資料について、なぜ収集対象としなかったのかを質問したところ、こういった答えが返ってきました。
「出版時には気づきませんでしたが、収集対象ですので今年度中に購入します」が六点。
「雑誌のバックナンバーですので収集していません」が二点。
「視聴覚資料ですので収集していません」が二点。
「コミックですので収集していません」が一点。
「江戸川乱歩との関連はわかりません」が一点。
以上、十二点です。
また、資料収集のため新たに利用するという株式会社図書館流通センターが運営しているデータベースでチェックしてもらったところ、平成28年度における収集対象資料の合計金額は七万六千八百七十九円だったとのことです。
さらに、平成28年度の名張市の予算には乱歩関連資料の購入費が独立した費目としては計上されていなかったそうですけど、これ、以前は独立した費目として立てられていたと記憶いたしますが、なにしろ天下晴れての財政難ですから、乱歩関連資料どころか一般の図書購入費もいいように削られているのではないかと思われます。
やれやれ。
では、新年のご挨拶。
新年あけましておめでとうございます。旧年中はなにかとお世話になり、お礼を申しあげます。本年もなにとぞよろしくお願いいたします。
お役所名物責任回避の一番の要諦は主体性をあいまいにすることであるといわれますが、それはまことにそのとおりで、この「市長への手紙」のご回答もいったいどなたからいただいたものやら、わからなくなってくることがよくあります。ですから、名張市立図書館にかんする質問へのお答えをいただいた場合、図書館長によるお答えなのか、市長によるお答えなのか、それを適宜こちらで判断して少しでも主体性が明らかになるよう努めたいと思います。
さて、12月22日付「市長への手紙」への12月28日付ご回答、どうもありがとうございました。頂戴したご回答にもとづき、平成28年度の名張市立図書館による乱歩関連資料の収集実績について、さらに簡単にお聞きいたします。
平成28年4月に河出書房新社から発行された『花森安治』は、「出版時には気づきませんでしたが、収集対象ですので今年度中に購入します」とのことですが、昨年12月18日付ご回答に「ご指摘のあった『花森安治』は増補新版ですが、当館では平成23年刊行の資料を所蔵しています」とのお知らせいただいております。名張市の場合、市民は何かにつけて財政難ということばを耳にたこができるほど聞かされている状況であり、また、同書に収録された乱歩関連記事はわずか十四ページの対談だけですから、旧版を所蔵しているのであればわざわざ血税つかってリニューアル版を収集対象とする必要はないのではないか、という考えかたもあるものと思われます。どうして旧版のほかにリニューアル版まで収集対象とするのか、ご説明ください。頂戴するお答えは図書館長によるご回答と判断いたします。
それから、「視聴覚資料、コミック及び定期購読以外の雑誌は購入していません」という点のご説明にかんしてですが、私がお聞きしたのはこうした資料を除外している根拠であって、資料収集の原則やルールではありません。視聴覚資料、コミック、定期購読以外の雑誌を除外するという原則ないしはルールはどういった根拠にもとづいて設定されているのか、ということです。図書館長のお答えをお願いいたします。
なお、乱歩関連資料の収集にあたって、視聴覚資料やコミックを対象外とすることには大きな問題があると思われます。名張市立図書館の資料収集における原則やルールはどうあれ、映像化や漫画化を無視して乱歩関連資料の収集は成り立たないのではないかと判断される次第ですが、いかがなものでしょうか。この点に関しては、市長のご見解をお聞かせいただきたいと思います。なお、財政難の問題は無視してお答えいただきますようお願い申しあげます。名張市であれどこであれ、公共図書館が乱歩関連資料を収集するにあたって、という前提でお答えいただければと思います。
さらに、「乱歩関連資料の網羅的な収集」にかんしてですが、いつもいつもお願いしていることですが、もう少しまともなお答えをいただけないでしょうか。網羅的な収集というのはどういうことでしょうか。また、財政難その他の理由で網羅的な収集ができないのであれば、どういったレベルの収集が可能なのでしょうか。具体的にお答えいただきたいと思います。もうひとつ、「データベースの構築」についても、どういうレベルのデータベースなら構築できるのか、もう少し具体的なお答えをお願いいたします。図書館長のお答えをお待ちいたします。
以上、よろしくお願い申しあげます。
みたいなところをいま、名張市公式サイト「市長への手紙」を利用して送信いたしました。
件名は「謹賀新年」といたしました。
新年早々、不幸の手紙みたいなメールですけど、こんなもんじゃとても終わんないんじゃないかしら。
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