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Posted by 中 相作 - 2018.01.03,Wed
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中日スポーツ
 平成29・2017年12月28日 中日新聞社

中谷美紀、2年半ぶり新作舞台 「黒蜥蜴」でグロテスクな美追求
 本庄雅之
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中谷美紀、2年半ぶり新作舞台 「黒蜥蜴」でグロテスクな美追求

2017年12月28日 紙面から



笑いもある「分かりやすいエンターテインメントを目指す」という中谷美紀(舞山秀一撮影)

 変幻自在な役作りで魅了し続ける女優、中谷美紀(41)が、2年半ぶりの新作舞台「黒蜥蜴」に挑戦する。何度も映画・舞台化されてきた江戸川乱歩原作、三島由紀夫脚本の名作。初めての大劇場体験となる東京・日生劇場で、どんな美貌の女盗賊を見せるのか。新年話題の作品になりそうだ。

 昭和初期。独特の美意識の持ち主で、「美しいもの」を手に入れるためには、手段は問わない盗賊を率いる黒蜥蜴(緑川夫人)。探偵・明智小五郎との対決に執念を燃やすが、互いにひかれ合う中、グロテスクな美の世界が展開する。

 「美に執着しているところに共感を覚えます」と言って表情を和らげた中谷。そして、「人をあやめるにしても、盗むにしても、そこに黒蜥蜴の美学がある。誰とも自分の美意識を分かち合えなかったのが、ようやく明智という名探偵に出会って、お互いに同じ価値観を共有できるっていう、その喜びを演じることが私にとっての喜びです」。

 宝石商の娘・早苗の誘拐をたくらむが、裏をかかれる。リベンジを誓うと同時に明智への思いも燃え上がる。

 「磁石のマイナスとプラスのようなひかれ合う存在なので、恐らく一瞬のうちに同じレベルの人間ということをかぎ分けて、初対面でも会話が弾んだんではないでしょうか」と2人の関係を読み解く。

 比喩を含んだ三島の美文調のセリフが、演じる側には泣きどころ。以前、三島の「近代能楽集」の映像作品で葵上を演じたことがある。「ただの言葉ではなくて、自分の魂といっしょに言葉を発することができるようにならないか、そのせめぎ合いが本当に辛いんですけど、そこに喜びを感じるんです。マゾの人ってこういう感覚なんじゃないかな」と笑みを浮かべた。

 そんな中谷自身は、「虚飾のないもの」に美を感じるという。古い陶器などがお気に入りで、各地の市にも出掛ける。書家で有名な近衛家煕(いえひろ)の字も「とても美しい」と評した。

 「ホントはダイヤモンドのように純粋で透き通っていて、濁りのないキレイな心を持っているにもかかわらず、あえて自らを悪党のようにみせているのかな」。素性が全く明かされない黒蜥蜴の心を想像してみせた。

 美を象徴する衣装などビジュアルでも楽しませそう。宝石商の邸宅、黒蜥蜴が持つ船、人間の剥製を飾った美術館などの装置も見ものだ。

 かつてTPT(シアタープロジェクト・東京)での仕事で日本の演劇界に旋風を巻き起こし、三島をこよなく愛する英国の演出家デヴィッド・ルヴォーが、腕をふるう。ほかに井上芳雄、相楽樹、成河ら。東京公演は来年1月9~28日、大阪公演は2月1~5日梅田芸術劇場メインホール。(本庄雅之)
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