Nabari Ningaikyo Blog
Posted by 中 相作 - 2017.07.02,Sun
「帝国少年新聞」に関する印刷物は三種類、『貼雑年譜』にスクラップされ、こんな文章が書き添えられています。
コレヲ少年雑誌ノ投書家ナドニ送ッテ読者ヲ得ヨウトイフ虫ノヨイ考ヘデアッタ。今カラ考ヘレバ滑稽ノ至リ、少々低能ノ気味スラ感ジラレルガ、二十才トイフ若サノ無分別デアラウ。
これは謙遜ではなく、乱歩はほんとに「低能ノ気味」を感じていたと見受けられますが、むしろよくこれだけの文章が書けたものだと思います。
ちなみに平井隆太郎先生は、『乱歩の軌跡』にこうお書きでした。
中学三年の時、自製の雑誌の広告ビラを電柱に貼りつけてまわり、小学校の校門で子供達に売りつけた一種の事業家肌、アイデアマン的性格がここでも顔を出しているのである。これらの文章は、正直にいって到底二十歳の大学予科生の筆になるものとは信じ難いほど堂々たるもので、中学三年当時の日記帳の文章から見れば大した飛躍であった。一家の没落、アルバイトにつぐアルバイトの苦学生活の一体どこで勉強していたのであろうか。
それでは「帝国少年新聞の三特徴」をどうぞ。
夙に本社が各種の方面から現今少年新聞の欠点を観察して全く欠点なき新聞紙を発行せんものと熟考に熟考を重ねてなつたのが即ち本紙である本紙の特徴は沢山あるが中にもこの三個条は本社の独創にかゝるものでこの中一個条のみを以てするも優に他の少年新聞に勝るものと信ずる。
△本紙は少年諸君の機関新聞たる事を自任す。
本紙は帝国少年の意志を発表する機関たらんとするものである苟くも少年諸君の発達を妨害するが如きものあらば本社員は直ちに筆を提げて陣頭に立ち天下の少年諸君と共にこの敵の滅亡を計る啻に言論を以て戦ふのみに満足はしない本社員の生命の継く限りあらゆる手段を尽して奮闘する決心である。
△本紙は少年必知の事件を平易に報導す。
普通の新聞には頗る難解の文字が用ゐてある殊に外国通信などは少年諸君には到底分らないそこで本紙は趣味ある方法で面白く分りやすく世界の形勢から地方の出来事に至る迄精しく報導してこの欠陥を補ふのである。
△本紙は少年諸君唯一無二の娯楽機関なり。
本紙の半分を費して娯楽機関とし毎号継続して長い少年小説や冒険小説を掲載する其他お伽噺滑稽小説等山の如く少年諸君に清き楽しみを与へる。
三種類の印刷物というのは、「主意書」が一枚、「推薦状」が一枚、あとは「帝国少年新聞地方支部について」「帝国少年新聞の三特徴」「帝国少年新聞の内容!! 内容!!!」をいっしょくたにして一枚、ということになります。
企画倒れに終わった構想ではありましたが、平井先生は「父としても計画を立て夢をふくらませることだけでかなりの充足感を味わっていたのであろう」と推測していらっしゃいます。
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