Nabari Ningaikyo Blog
Posted by 中 相作 - 2017.07.01,Sat
『貼雑乱歩 ① 世に出るまで(仮題、変更予定)』のための引用集、本日は「帝国少年新聞地方支部について」です。
これまでに引用した「帝国少年新聞の内容!! 内容!!!」「主意書」「推薦状」は、志と文才のある十八歳ならば書けなくはなかったでしょう。しかしこの「帝国少年新聞地方支部について」は、志と文才だけでは書けません。
きっちり算盤勘定ができる青年でなければ書けません。
で、当時、志と文才のある青年はたぶん、算盤勘定なんてものをばかにしていたのではないかと思われます。
しかし、平井太郎青年はそんなことはなくて、むしろ志や文才と商才とをつねに平衡させていました。
もとより乱歩もそうでした。
栴檀は双葉より芳し、といったことだと思います。
それでは、「帝国少年新聞地方支部について」。
支部とは如何なるものか
本社は主義を全国に広めたい為に種々其方法を考へた結果全国の雑誌に趣味を有する少年諸君に御相談して支部を作つて戴く事にした貴下も其一人と認めて別紙の推薦状を呈した訳である支部とは五名以上 の読者が一団となつて組織するので推薦状を受け取つた方は御学友等に勤めて支部を設立し自から支部長 となつて頂きたいのである。
支部申込手続は如何にする
先づ五名以上の読者を作つたら早速次にある申込書 を切り取り夫れ〳〵記入して一個月分 の購読料 と共に本社へ送ればよいのである。
(注意)購読料は一個月五銭(一個月
三回 発行)送料一個月一人につき一銭都合一人につき六銭 宛で五人なれば三十銭であるこの金は小為替で送るのだがその手数料として三 銭郵便局へ納めねばならぬこの三銭は前の三十銭の内から引き去つて二十七銭だけ本社へ送ればよいのである。(小為替の組み方は郵便局で教へて呉れる)
支部設立の利
一人別に本紙を取れば送料が一個月六銭であるが支部を作れば一銭ですむ訳である若し支部員が五十名以上 ある時は送料一切不用 である。
例へば五十名の支部なれば二円五十銭で本社へ送るのは手数料を引いた二円四十七銭でよいのである。
支部長の特権
支部長は本社の記者と同等の資格がある二十名以上 の支部員を有する支部長は本紙の料金を全免 する支部長上京の際等には本社は極力便宜 を計る心算である又支部長には支部委任状を送るから若し其地方で読者会 を開催する事があれば支部長はその幹事長 となるの権利がある。
支部長の任務
支部長は毎月前納の購読料が切れ次第次の一個月分を送る事 と新聞を受け取つて(新聞は支部長の宅へ一まとめにして送る)支部員に分配する だけの務をすれば充分である。
支部の地方に起つた出来事を報告 するのも支部長の務ではあるがこれは随意 でよい。
なんかもう、帝国少年相手に詐欺を働いてる感じで、「小為替の組み方は郵便局で教へて呉れる」なんてあたりは電話でATMのつかいかたを教える還付金詐欺師を連想させないでもありませんが、こうして少年を集める組織づくりに少年探偵団の原型を見ることも不可能ではないかもしれません。
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