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Posted by 中 相作 - 2017.06.09,Fri
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毎日新聞
 平成29・2017年6月7日 毎日新聞社

演劇|新派「黒蜥蜴」 乱歩の人気作、構成に工夫=評・小玉祥子
 小玉祥子
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演劇

新派「黒蜥蜴」 乱歩の人気作、構成に工夫=評・小玉祥子

毎日新聞2017年6月7日 東京夕刊

 喜多村緑郎、河合雪之丞らによる花形新派公演。過去にも舞台化、映画化された江戸川乱歩による名探偵、明智小五郎物の人気作品を斎藤雅文が脚色、演出した。

 昭和初期。明智(喜多村)は大阪の宝石商岩瀬(田口守)の依頼を受け、女盗賊黒蜥蜴(とかげ)に狙われる宝石「クレオパトラの涙」と娘早苗(春本由香)の警護にあたる。明智は岩瀬の顧客、緑川夫人(河合)と知り合うが、実は彼女こそ黒蜥蜴であった。黒蜥蜴は早苗を誘拐し、クレオパトラの涙も手に入れる。

 日比谷のホテルから芦屋の岩瀬邸、宝石の受け渡し場所になる通天閣、船上、黒蜥蜴のアジトである東京湾の島と場所を移しながら、追う明智と追われる黒蜥蜴の戦いが繰り広げられる。相反する立場でありながら、美を希求する思いに共通する2人の間には、恋愛感情が生まれる。

 早変わりや喜多村の京劇風の立ち回り、主だった登場人物が勢ぞろいしての「だんまり」など、構成に工夫がある。

 喜多村は長身ですっきりとし、絵から抜け出たような爽やかな探偵像を作り上げた。河合は美しく冷酷で、動じない盗賊ぶり。共に生活臭を感じさせないところが浮世離れした探偵物にかなっている。歌舞伎界から新派入りした2人の今後に期待を抱かせる息の合った舞台である。

 春本はセリフが明瞭で、わがままな令嬢の雰囲気がよく出ていた。田口、伊藤みどり、児玉真二が好演。【小玉祥子】

24日まで三越劇場
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