おとといのつづき。
乱歩の名前は、みつかったかな?
乱歩の本名は平井太郎だから、正解はこれ。
■20110713a.jpg
平井太郎くんの名前の下の下に、早川孝太郎くんの名がある。
これは、愛知県新城市出身のあの民俗学者だろうか。
▼新城市:早川孝太郎
明治22年12月生まれだから、「日本少年」の明治39年9月号が出たときには、満十六歳だったことになる。
少年雑誌を購読していた、と考えることには、ちょっと無理があるかもしれないね。
ところで、新城市は大阪圭吉の出身地でもあるという。
▼新城市:大坂圭吉
しかし、お役所のやることってのはどこも似たり寄ったり、というわけなのか、この大阪圭吉の紹介文もずいぶん杜撰だよね。
大阪が大坂になってるし、なぜか一か所、常体がまぎれこんでるし、歿年が記されていない、っつーのもひどい。
生歿くらい、ちゃんと年月日を押さえて書いといてやれよ。
いやいや、よその自治体にツッコミ入れとる場合ではない。
くだんの当選者名簿に戻って、早川孝太郎くんの名前の右には、丹下高福くんの名がみえる。
これは、乱歩が五、六歳のころから仲良くしていた親友の名前だ。
ただし、中学校を卒業してまもなく、高福くんは死んでしまった。
子供時代の乱歩は、この高福くんといっしょに、「中央少年」という雑誌を発行していた。
「中央少年」は乱歩のもとに第二巻第一号が一冊だけ残されていて、現在は立教大学の管理下にあり、立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センターの手で内容も紹介されている。
でもって、「中央少年」はそれだけだろう、と思われていた。
この世にたった一冊、残っているだけだろう、と思われていた。
それはそうだろう。
愛知県在住の子供がつくった手書き手刷り非売品の雑誌なんて、当の乱歩が保存してあったからこそわずか一冊とはいえ現存していたわけであり、それ以外にゃ一冊も残っとりゃせんじゃろうが、と思われていた、というか、勝手に決めつけられていたのであったが、じつはほかにも残っていた。
第二巻第四号が某図書館に所蔵されていた。
発見秘話がこちら。
▼平山歯科医院日記@三鷹市上連雀:新青年研究会(2010年6月3日)
まさに盗まれた手紙みたいな話であり、やっぱ図書館ってそこそこすごいよね、という話でもある。
不肖サンデー、その「中央少年」のコピーもごく最近、関係各位のご協力のおかげで入手することを得た。
さっそく眼を通してみると、おお、乱歩が絵探しを出題している。
それがどったの? とおっしゃる向きも多いかもしれんけど、それはまあそれとして、この絵になにが隠されているか、わかるかな?
■20110713b.jpg
おさかな、かな?
それにしても、乱歩は絵探しを自作していたのか、やっぱりな、それはそうだろうな、という納得は納得として、とにかく乱歩というのはえらいもので、作家デビュー以降のことだけでなく、こうやって少年時代のことまできっちり調べていらっしゃるかたがあるわけ。
ただし、それは点にすぎない。
たとえば、Aというひとは、乱歩が少年雑誌の懸賞に応募していたという事実を発見した。
Bというひとは、乱歩が友人と発行した少年雑誌が某図書館に所蔵されているという事実を発見した。
しかし、いまのままでは、それらの発見はそれぞれが孤立した点として存在しているにすぎない。
必要なのは、そうした点を集めて線にしてゆく場、とでもいおうか。
あるいは、孤立した情報を集積して体系化してゆく場、とでもいおうか。
名張市立図書館がそうした場になっても、べつにおかしくはない。
というか、手前ども名張市立図書館は乱歩関連資料を収集しています、というのであれば、Aさんからも、Bさんからも、こんなのを発見しました、と気軽に情報提供していただける場になってなくちゃおかしいわけ。
それはまあ、名張市立図書館としては、手前どもはなにも考えないことにしております、とか、手前どもはできるだけ働かないようにしております、とか、いろいろいいわけは並べるかもしれないけど、そんなのはほんと、勝手な都合というしかないものだ。
そんな勝手な都合にもとづいて、乱歩関連資料の収集と申しましても、手前どもはうわっつらだけとりつくろってかっこつけてればそれで満足でございます、とかばかなことほざいてんじゃねーぞ低能。
てめーらの小つまらぬ自己顕示欲を満足させるためにいちいち税金つかってんじゃねーよ、っつー話だよなこのすっとこどっこい。
な。
お役所のみなさんの都合にはかかわりなく、公共図書館には公共図書館の使命や責務というのがあって、かりに乱歩関連資料を収集している公共図書館、なんてのがあったら、世間のひとはそれなりの期待をしてしまう。
名張市立図書館に乱歩の関係者やファンのみなさんからどんな期待が寄せられているか、それをいちどよく考えてみようね、というおはなしであったわけなのじゃが、なんか、名張市役所のみなさんには、そんなことはとても無理かもしれないね。
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