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Posted by 中 相作 - 2016.10.31,Mon
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信毎web
 平成28・2016年10月21日 信濃毎日新聞社

大下宇陀児の世界触れて 箕輪町郷土博物館で特別展
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大下宇陀児の世界触れて 箕輪町郷土博物館で特別展



大下宇陀児の作品が並んだ会場

 作家の江戸川乱歩らと探偵小説界をけん引した上伊那郡箕輪町出身の作家、大下宇陀児(うだる)(本名・木下龍夫、1896~1966年)の生誕120年を記念する特別展が、同町郷土博物館で開かれている。大下は、乱歩や松本清張らと交流があり、戦後発足した「日本探偵作家クラブ」の会長も乱歩から引き継いだ作家だが、知る人が少なくなっているため、同博物館は「郷土が生んだ大下の世界に触れて」と来場を呼び掛けている。

 大下は現在の箕輪町木下で生まれ、旧制松本中学校(現松本深志高校)や旧制高校を卒業後、九州帝国大工学部(現九州大)で学んだ。しばらく化学系の研究所に勤務し、知人が小説を執筆していたことから「自分でも書けるのではないか」と創作を始めた。1925(大正14)年、「金口(きんぐち)の巻煙草(たばこ)」が雑誌「新青年」に掲載されてデビューした。

 同博物館によると、生涯の作品数は370点以上で、箕輪町箕輪中部小学校の校歌も作詞。会場には小説が掲載された雑誌、直筆原稿など町民が寄贈した160点が並ぶ。

 大下の作風は、トリックにこだわらず、犯行の動機や結末といった登場人物の内面を掘り下げるストーリー展開が特徴。戦中にも子ども向けの小説など創作に打ち込んだといい、同博物館の柴秀毅さん(45)は「太平洋戦争が始まった高揚感など、当時の雰囲気を小説に反映している作品もある」としている。

 戦後は、敗戦を機に新しい価値観で行動する若者らを取り上げた。柴さんによると、探偵作家クラブ賞を受けた大下の代表作「石の下の記録」の登場人物が「若い人たちは、生きることの目的がわからなくなったのじゃないでしょうか」と語るように、大下の考えが作品中の言葉ににじみ出ているという。

 柴さんは「没後に作品をPRする人がいなかったためか、大下の知名度は高くないが、知れば知るほど大物。多くの人に知ってほしい」と話している。

 11月13日までの午前9時~午後5時(月曜休館)。入場無料。23日午前10時から、同博物館職員が展示解説する。11月3日は子ども向けのミステリークイズもある。問い合わせは同博物館(電話0265・79・4860)へ。

(10月21日)
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