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Nabari Ningaikyo Blog
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Posted by 中 相作 - 2011.06.27,Mon

 「RAMPO Up-To-Date」用のエントリはこちら。

 

 2011年6月26日:書籍:Writing the Love of Boys: Origins of Bishonen Culture in Modernist Japanese Literature

 

 アマゾンの書誌データでは発行日が「February 28, 2011」とされているのですが、「RAMPO Up-To-Date 2011」では「この年」というくくりにしておきました。2月28日といえば3・11の直前ということになり、そういえばエントリに引用した第三章の冒頭に関東大震災が登場してくることにも暗合めいたものをおぼえますが、かつて「the nation recovered from the devastating Kantô earthquake of 1923」であったこの国が東日本大震災から回復できるのかどうか、などとついつい鬱っぽいことを書き記してしまうのはなんとかならんものでしょうか。

 

 上のエントリに記したのは乱歩に関連のある章だけでしたので、ここではすべての章のタイトルをお知らせしておきます。

 

Writing the Love of Boys

Origins of Bishonen Culture in Modernist Japanese Literature

 

Introduction

 

1

Blow the Bloodstained Bugle

Murayama Kaita and the Language of Personal Sensation

 

2

Treading the Edges of the Known World

Homoerotic Fantasies in Murayama Kaita's Prose

 

3

The Appeal of the Strange

Same-Sex Desire in Edogawa Ranpo's Mystery Fiction

 

4

(Re)Discovering Same-Sex Love

Ranpo and the Creation of Queer History

 

5

Uninscribing the Adolescent Body

Aesthetic Resistance in Taruho's Writig

 

Conclusion

Postwar Legacies

 

 つづいて特別サービス、タイトルの邦訳を以下に記しておきます。

 

少年愛を書く

日本モダニズム文学における美少年文化の起源

 

 

1

血染めのラッパ吹き鳴らせ

村山槐多と感覚革命の言葉

 

2

知られている世界の端を踏む

村山槐多の散文におけるホモエロチックな幻想

 

3

奇怪なるものの魅力

江戸川乱歩のミステリー小説における男性同士の絆

 

4

同性愛の(再)発見

乱歩の同性愛文献蒐集とクィアの歴史の作成

 

5

少年の身体の精製

稲垣足穂の文学における美的な抵抗

 

結び

戦後の遺産

 

 こちらでたどたどしい日本語に訳したものをジェフさんにメールでお送りし、お忙しいところ強引にお願いして添削していただいたのがこの訳題です。いわば著者公認、ジェフさんからお墨付きをいただいたと表現してもいい内容となっております。

 

 ついでですから巻末の「Index」にあげられた乱歩作品のタイトルも引き写しておきましょう。むろん日本語の表記にして。

 

浅草趣味

僕は恋愛不能者

同性愛の理想と現実

D坂の殺人事件

ホイットマンの話

芋虫

陰獣

一寸法師

J・A・シモンズのひそかなる情熱

槐多「二少年図」

火星の運河

孤島の鬼

郷愁としてのグロテスク

吸血鬼

無駄話

人間豹

二銭銅貨

押絵と旅する男

乱歩打明け話

精神分析研究会

猟奇の果

青銅の魔人

書斎の旅

衆道歌仙

衆道もくず塚

わが青春記

私の蒐集癖

闇に蠢く

屋根裏の散歩者

 

 なんか凄いですけど、この索引やその前に配された「Bibliography」、つまり参考文献一覧を眺めているだけでジェフさんによる資料の博捜ぶりに圧倒されてしまいます。一例をあげるなら、ひらのあゆさんという漫画家の方がいらっしゃって、そのひらのさんに「ネガチブ孤島の鬼」という作品があることを私はこの『Writing the Love of Boys』に教えられました。ネット検索で調べてみるといわゆる同人誌として発行された作品で、一般の書店では絶対にお目にかかれないしろものなのですが、そんなマイナー作品をジェフさんはどこでどうやって発見されたのか。『Writing the Love of Boys』には「ネガチブ孤島の鬼」の書影まで収録されています。

 

 ネット上に転がっていた書影を無断転載しておきましょう。おそらくはネットオークション用にアップされたものだと思うのですが。

 

■20110627a.jpg

 

 『Writing the Love of Boys』から書影のキャプションを引用。

 

Cover of Hirano Ayu's Negachibu Kotô no oni (Negative damon of the lonely isle,1993), a parodIc reinterpretation of Ranpo's Kotô no oni as a romance between the handsome Moroto (pictured on top) and younger Minoura (pictured below). Collection of the author. 

 

 さりげなく「Collection of the author」なんですから、それだけでもなんだか凄いです。わが身の不勉強をあらためて実感させられます。

 

 ジェフさんにはここにあらためていろいろな意味で謝意を表する次第です。

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