さあ、どうであろうか。
おわかりいただけたであろうか。
名張市立図書館が、乱歩に特化した図書館運営を進める、とか、乱歩を図書館運営の重要なコンテンツとして位置づける、とか、いやいや、そんなことばをつかうのはやめておこう。
要するに、名張市立図書館が、乱歩に力を入れたいな、と思いついたのであれば、とりあえず、名張市立図書館は、乱歩のことを知ろうとするべきであった、ということである。
おわかりいただけるであろうか。
乱歩に力を入れまーす、とか宣言しておきながら、ろくに乱歩作品を読もうともせんのよ、なんてのは、ちょっとありえない話だぞ、ということである。
だが、実際にはそのとおりだったのである。
なんでなんだろう。
名張市立図書館が開館した当時というのは、講談社版歿後第一次乱歩全集が人気を呼んで乱歩再評価の気運が高まり、新聞にも乱歩全集の広告がでかでかと掲載されたりしていた時期だったんだから、めでたくオープンを迎えた名張市立図書館においても乱歩がらみでおおいに士気があがった、ということになったはずだと思いきや、なじかは知らねどそんなことにはならなんだようである。
なんか、うれしいな、とか、思わなかったんだろうか。
朝、新聞を開いたら、乱歩の顔写真入りで、乱歩全集の広告が出ている。
それをみて、ああ、名張市立図書館はこのひとにかんする資料を収集しているのだ、と感慨めいたものをおぼえ、さあ、きょうも一生懸命お仕事をしなくっちゃ、と職業意識を烈々と燃えさからせる、みたいなことは、全然なかったのであろうか。
なかったみたいである。
ならば、そもそも、オンリーワンだ、という自覚はあったのであろうか。
日本ひろしといえども、乱歩関連資料を専門的に収集しているのは、名張市立図書館だけなんだから、それなりのことをしなくっちゃな、という自覚はなかったのであろうか。
なかったのかもしれんな。
いやいや、あったわけねーじゃねーかそんなもん、というべきか。
いずれにせよ、オンリーワンとしての道をみずから望んで選択したのだッ、みたいな明晰で力強い自覚は、残念ながらなーんもなかったのであろうな。
オンリーワンの道を選んだ、ということは、オンリーワンとして当然はたすべき責務や使命といったものを、がっちりとみずからの手に握り、しっかりとみずからの肩に背負った、ということなのである、みたいなことには、やっぱ、まったく、気がつきもせんかったのであろうな。
それはまあ、お役所の辞書に、責務や使命なんてことば、いっさい存在しておらんのだから、気がつけというほうが無理なのであろうな。
なんか、ほんと、ばかみたいな話だよな。
ところで、オンリーワンって、わかる?
ちなみに、蓮舫行政刷新相は、こんなことをおっしゃってる。
▼YOMIURI ONLINE:蓮舫氏「オンリーワン目指す努力を」と注文(2011年6月21日)
ようわからん。
蓮舫大臣は「ナンバーワンになることだけを自己目的化するのではなく、国民の皆様の税金を活用させていただいているので、オンリーワンを目指す努力を期待したい」と述べていらっしゃるのであるが、なんかようわからんご発言である。
オンリーワンなんて、べつに努力しなくたって、すぐなれるではないか。
早い話が、まさしく名張市立図書館である。
乱歩関連資料を収集する図書館、というオンリーワンの図書館に、ただの思いつきでなってしまった。
オンリーワンを目指す努力なんて、なーんもしとらんぞあんなもん。
てゆーか、オンリーワンであるという自覚すらねーんだぞあんなもん。
ただまあ、蓮舫大臣の意味不明なご発言を、名張市立図書館のためにあえてアレンジしてみると、こんなふうになると思う。
「オンリーワンであることだけを自己目的化するのではなく、市民の皆様の税金を活用させていただいているので、ナンバーワンを目指す努力を期待したい」
名張市役所のみなさん、そんなふうにはお思いにならんか。
オンリーワンであること、つまり乱歩関連資料を収集するたったひとつの図書館であるということを自己目的化するのではなく、四十年もかかって市民の税金で乱歩関連資料の収集をつづけてきたんだから、それを活用するための地道な努力を重ねることで、オンリーワンにしてナンバーワンになることを目指してはどうじゃろうか、というわけなんだけど、名張市役所のみなさんはどうお思いであろうか。
てゆーか、近く市長判断を仰ぐにあたっては、そのあたりのことが大きなポイントになってくると思う。
てゆーか、名張市立図書館は乱歩関連資料の収集と活用ではオンリーワンにしてナンバーワンの図書館である、という定評を頂戴しておったこともあったのである。
ごくごく短いあいだのことであったけれど、たしかにオンリーワンのナンバーワンであったのである。
それがどうして、こんななさけないことになってしまったのであろうな。
くどくどくどくど、さらに考えてみような。
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