Nabari Ningaikyo Blog
Posted by 中 相作 - 2016.09.14,Wed
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週刊実話
平成28・2016年9月10日 日本ジャーナル出版
本好きリビドー(120)
中辻理夫、おおこしたかのぶ
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平成28・2016年9月10日 日本ジャーナル出版
本好きリビドー(120)
中辻理夫、おおこしたかのぶ
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本好きリビドー(120)
掲載日時 2016年09月10日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2016年9月15日号
◎快楽の1冊
『QJKJQ』 佐藤究(きわむ) 講談社 1500円(本体価格)
第六十二回江戸川乱歩賞受賞作である。多くの方がご存じの通り、この賞は公募の賞だ。すでに出版や雑誌掲載されている小説から選ばれるわけではない。まだデビューしていない人、あるいはデビューはしているもののやはりこの賞を得たいと思う人たちが、未発表のミステリー小説で応募する。
ただし、全くの無名の人と、すでにデビューしている人とは心構えが違うだろう。前者は名前を出すこと自体を目指しているが、後者はすでに出している実績をパワーアップしたい、と思っている。
本書の作者は全くの新人とはいえない立場の人だ。2004年に別名義で書いた小説が群像新人文学賞優秀作とされた。これは純文学の賞である。ところが、今回は純文学ではない大衆小説、つまりはエンターテインメントの賞に応募し受賞したのだった。
この経緯を特に重要視しない評論家、読者はいるかもしれないけれど、私は重視したい。なぜなら本作は単純に謎解きミステリーとは言い難い、文章の詩情と人間の心に対する深い追求にこそ魅力があるからだ。
主人公・市野亜李亜は高校生だ。彼女の家庭は異常のかたまりと言っていい。父、母、兄はみな猟奇殺人者で、亜李亜自身も殺人をすることに快楽を感じている。それぞれが殺人を楽しんでいる。ところがある日、兄は何者かに殺され、母は失踪する。彼女はこれを機に今までの半生を見つめ直し、ぼんやりと街を徘徊するようになる。自分は何者なのか、と深く悩みつつ。
そもそも家族全員が猟奇殺人者、という発想が突飛だ。しかし、ここが斬新なのだ。どのような人間でも他人に殺意を持ったことはあるだろう。本作は突飛な設定で人の殺人願望、という心の秘奥を探っていく小説なのだ。哲学さえ感じられるストーリー展開がこの作者の個性なのだろう。
(中辻理夫/文芸評論家)
【昇天の1冊】
若者のエロ劇画離れが進んでいる。いや、若者どころか、かつてエロ劇画で性に目覚めたはずの中高年からも敬遠される始末。現存する数少ないエロ劇画誌も、旧作品の再録で埋めて何とか存続しているというのが現実なのだ。そんな厳しい状況で、書き下ろし新作が約8割を占め、笠間しろう、三条友美という超ベテラン作家が健筆を振るい、マニアから熱い支持を受けているエロ劇画誌が「完熟ものがたり」(茜新社)だ。その中で読者からの単行本化リクエストトップに輝き、めでたく出版されたのが、今回ご紹介する『肉欲母子のよろめき』(下山ギルコ 茜新社/1500円+税)だ。
内容は近親相姦4編を含む熟女ファン限定の内容だが、特筆すべきは、脂肪がついた熟女のだらしない体のラインの描写。若い頃のピチピチとした弾力のある肌ではなく、年齢と共に弾力を失い、重力に逆らえずに垂れてきてしまった40~50歳代の、フニャッとしたあの独特の脂肪の感触を実に見事に表現しているのだ! 他の作家が美的に表現しようと苦労してきた微妙な部分をあえてキチッと描くことで、新たな熟女の魅力を表現することに成功したと言っていい。
登場する熟女もみなのほほんとして、あっけらかんとSEXしているのがまたよい。ギルコ氏の作品には、春の陽だまりのようなぬくもりを感じるのだ。
作者は熟女AVを見まくって脂肪の動きを観察し、厳しい修練の末に現在の表現をマスターしたという。百聞は一見にしかず…熟女の魅力をご堪能あれ。
(おおこしたかのぶ/編集・ライター)
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