ほんと、どうすりゃいいんだろうな、とかぼやきつつ、きょうもくどくど行ってみる。
しかし、わかりきってるはずのことからひとつひとつ、かくもくどくどと考えを積み重ねてみるのもときには必要なことらしく、不肖サンデー、この平熱教室を手がけてみて、自分の足りなかったところにひとつ、気がついた。
どういう点か。
乱歩関連資料を収集する目的、というやつである。
たとえば、おとといのエントリに、名張市立図書館は「乱歩関連資料を収集しますといいながら、なにを目的として収集するのか、どんな資料をどうやって収集するのか、収集した資料をどう活用するのか、そういったことを考えることができない」と記した。
しかし、つらつら顧みてみたら不肖サンデーもまた、「なにを目的として収集するのか」といった点をつきつめて考えてみたことはなかった。
すまんなどうも。
どうしてこんなことになったのかというと、目的ではなくて活用のほうに気を取られがちだったからだろう。
つまり不肖サンデー、名張市立図書館から、乱歩にかんしてなにをすればいいかわからない、と相談を受け、というか泣きつかれ、知らねーよばーか、とは思いつつも、義をみてせざるは勇なきなり、休みの風呂屋は湯うなきなり、とかベタなギャグにも走ったあげく、ならばちょいと力になって進ぜようか、と考えたのがやんぬるかな、いまにつづく不幸の発端になったわけであった。
なにをすればいいかわからない、というのは図書館としてなんともおそまつな話であり、乱歩関連資料を収集してるんだから、なにをおいてもその活用を考えなくてどうするよ、というしかない話でもあった。
収集資料の活用といってもいろいろあるけど、第一歩と呼ぶべきは目録をつくることである。
こんなのはごくあたりまえのことなんだけど、名張市立図書館においては、なぜかあたりまえではなかった。
どうせつくるのであれば、消化試合みたいな目録ではなくて、手にした人におおいに重宝してもらえるような目録をつくるべきだろう、と不肖サンデーは考え、そうすると作業量が膨大になり、身銭を切らねばならぬこともたくさん出てきて、なんやかんやと大変だったのであるが、まあなんとかできあがった。
おかげさまで、完成した三冊の目録は、たぶんそこそこ重宝していただけ、ことのついでに名張市立図書館の名を高からしめ、さらにそのうえ名張市という自治体の信用度アップにも多少はつながったのではなったか、と不肖サンデー、おこがましくも自負しておる。
たとえば、つい先日も、恥ずかしながらお褒めの言葉をいただいた。
このエントリのスキャン画像をお読みいただくと、名張市立図書館の『江戸川乱歩著書目録』の名が出てくる。
▼2011年6月1日:雑誌:とりとめのない話
名を出していただいたうえ、「さすがで」とお書きいただいてある。
要するに、名張市立図書館のつくった目録はさすがによくできていて、「あまり知られていない」ような情報もちゃんと記されている、とお褒めにあずかっている次第である。
とてもうれしい。
こんな細かいところまでちゃんとごらんいただいて、書誌作成者としては冥利に尽きる、という気がする。
あるいは、最近、こんな本が出た。
▼Amazon.com:Writing the Love of Boys: Origins of Bishonen Culture in Modernist Japanese Literature [Paperback]
著者のジェフリー・アングルスさんは米国のウェスタンミシガン大学で准教授をお務めのかただが、以前、京都にある国際日本文化研究センターで研究員をしていらっしゃったころ、名張市立図書館においでくださったことがある。
そのジェフさんが乱歩をはじめとした日本人作家を題材に少年愛を深く鋭く考察したのがこの本なのだが、巻末のBibliography、つまり参考文献の一覧にはちゃんと名張市立図書館の目録三冊もリストアップしていただいてあって、いやー、これもまた冥利に尽きることである、と不肖サンデー、大喜びした。
こうやってわざわざ名前をあげていただけるのも、名張市立図書館が図書館としてちゃんとしたお仕事をしたからである。
うわっつらとりつくろってかっこつける、みたいな愚かしいことに眼の色を変える必要はない。
図書館としてなにをすればいいのか、ちゃんと考えて、ちゃんと決めて、そのあとは地道にこつこつ本分を尽くせばいいのである。
名張市役所のみなさん、そうは思わんか。
いやいや、このところどうも説教じみたことばかり書きつけている気もするけれど、とにかく不肖サンデー、名張市立図書館は収集した乱歩関連資料をいかに活用すればいいのか、みたいなことをずーっと重点的に考えてきたから、ふと振り返ってみたところ、「なにを目的として収集するのか」といった点をうっかり閑却してしまっていた、ということであったらしい。
偉そうな口を叩いておきながら、どうもすまんな。
まことに面目ない。
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