冊子
甦る江戸川乱歩の世界展
A5判 12ページ
会期:平成22・2010年7月22日ー8月4日
会場:東武百貨店池袋店6階美術画廊
p2ー3
江戸川乱歩と少年探偵団
藤井淑禎
乱歩年譜
p4
貸本屋の時代と少年探偵団
藤井淑禎
p5
少年探偵手帳
山前譲
p6ー7
少年探偵団と東京
p8ー11
江戸川乱歩とクリエイター
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江戸川乱歩と少年探偵団
藤井淑禎
江戸川乱歩のデビュー作は大正12年の「二銭銅貨」である。以後、「D坂の殺人事件」などの傑作ミステリーを立て続けに発表し、ミステリー作家として不動の地位を築いた。昭和4年、初めて娯楽雑誌に通俗ミステリー「蜘蛛男」を連載し、大衆読者の喝采を博した。「吸血鬼」、「人間豹」などの通俗ものは関東大震災後の都市生活のモダン化と大衆社会状況とを背景として、トリックや謎解きの面白さだけにとどまらない大衆小説としての奥行きを示した。
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貸本屋の時代と少年探偵団
藤井淑禎
戦後、乱歩は昭和24年に少年探偵団シリーズの「青銅の魔人」で復活を果たし、以後はもっぱらこの少年探偵団ものを中心に、膨大な量の作品を残した。そしてそれらの作品群は戦後のメディア状況の拡大とも噛み合って、爆発的に支持を拡げていった。少年雑誌や貸本屋から出発して、映画、ラジオ、歌、そしてテレビ、さらにはおもちゃや雑誌付録にと、活躍の範囲を拡げていったのである。
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少年探偵手帳
山前譲
小林少年をリーダーとする少年探偵団の必携品といえば、BDバッジなどの「少年探偵七つ道具」だが、少年探偵手帳もそのひとつである。
じつは作中ではあまり触れられていないその手帳、昭和30年代に入って、少年探偵団シリーズを連載していた雑誌「少年」が、懸賞クイズの賞品や付録にしたことで、憧れのアイテムとなった。ラジオやテレビでも少年探偵団が活躍していたから、「探偵ごっこ」が大流行である。BDバッジと少年探偵手帳を手にすれば、みんなヒーローの仲間入りなのだ(後には通信販売もされた)。
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江戸川乱歩とクリエイター
──うつし世はゆめ よるの夢こそまこと──
乱歩小説の多様な魅力は、没後も様々なクリエイターたちの脳細胞を刺激し続けている。今なお乱歩の小説が読み続けられているのは、ミステリー小説界への影響は当然のことながら、舞台、映画、漫画、絵画などの身近なメディアに何度も登場しているからと言えるかもしれない。乱歩の残した「うつし世はゆめ よるの夢こそまこと」の言葉に誘われたクリエイターたちの手で、変幻自在の世界が繰り広げられる。
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