難しいかもしれんが、こんなふうに考えてみてはどうだろうか。
不肖サンデー、名張市内の蔵持地区というところに住まいしておる。
蔵持地区は、昭和17年に名張町と合併するまで、蔵持村という独立した地方自治体であった。
で、かつて存在したこの蔵持村について、知りたい、調べたい、というひとがあったとする。
そのひとは、どうすればいいのだろう。
なにかしら公的な施設を頼りにするとしたら、蔵持小学校でも、蔵持公民館でもなく、名張市立図書館を選択するはずだ。
このあたりのことは、名張市役所のみなさんにも、ちゃんとご理解いただけるのではないか。
いやいや、蔵持小学校だの、蔵持公民館だの、そんな施設をもちださなくても、名張市役所で考えてみればいいか。
つまり、みなさんがたまたま、なにかの都合で、名張市役所の一階にいたとしよう。
そこへ、ひとりの市民がやってくる。
べつに市民でなくたってかまわない。
とにかく、名張市役所を訪れたひとがあって、そのひとから、蔵持村のことを調べたいのだが、どこへ行けばいいでしょうか、と尋ねられたとする。
みなさんはたぶん、名張市立図書館へ行くことをお勧めになるのではないか。
なぜかというと、蔵持村について調べるということは、蔵持村について記された資料に眼を通し、必要な情報を手にする、ということにほかならず、だとすれば、そうした資料は名張市立図書館によって収集されているからである。
たしかに名張市立図書館は、名張について書かれた本、名張に関係がある本、そんな資料を専門的に収集している。
なぜそんなことをしているのか、というと、図書館とはそもそもそういうところだからだ、ということになる。
図書館法という法律がある。
▼法令データ提供システム:図書館法
第三条には「図書館は、図書館奉仕のため、土地の事情及び一般公衆の希望に沿い、更に学校教育を援助し、及び家庭教育の向上に資することとなるように留意し、おおむね次に掲げる事項の実施に努めなければならない」と定められていて、「次に掲げる事項」のトップがこれ。
一 郷土資料、地方行政資料、美術品、レコード及びフィルムの収集にも十分留意して、図書、記録、視聴覚教育の資料その他必要な資料(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られた記録をいう。)を含む。以下「図書館資料」という。)を収集し、一般公衆の利用に供すること。
な。
郷土資料を収集し、閲覧に供するのは、図書館の使命であり責務である、ということになる。
だから、名張市立図書館は郷土資料を収集しているわけである。
名張市立図書館がどんな郷土資料を収集しているのか、具体的な収集内容は知らなくたって、たとえば蔵持村のことを調べるのであれば、まず名張市立図書館に足を運ぶべきである、という程度のことは、名張市役所のみなさんも先刻ご承知のことと思う。
つまり、知識の宝庫というのは、そういうことだ。
名張市立図書館は、蔵持村にかんする知識の宝庫だ、ということになる。
もちろん、蔵持村のみならず、名張にかんする資料がたくさん集められてるわけだから、名張市立図書館は、名張にかんする知識の宝庫だ、ということになる。
名張にかんして知りたいこと、調べたいことがあれば、名張市立図書館へレッツゴー、ということになる。
以上、おわかりいただけたであろうか。
いちいち説明する必要もないほど基本的なことを、ことあらためてくだくだ説明していると、自分がいったいなにを説明しているんだか、ふと見失ってしまいそうになるんだけど、図書館ってのは知識の宝庫であり、いろんなことを知ったり調べたりできる場なんだから、乱歩関連資料を収集しています、という図書館があるとすれば、その図書館に要求されるのは、乱歩作品を読むための資料、つまりは乱歩が書いた本だけではなくて、乱歩以外の人間が乱歩のことを書いた本も収集して、乱歩について知ったり調べたりできる場になることだ、というわけである。
したがって、乱歩以外の人間が乱歩のことを書いた本、みたいなのを集めるのは比較的容易ではないけれど、容易ではないからといって、集めるのをやめてしまうわけにはいかない、ということになる。
ちゃんと収集しなければならない。
そのあたり、ちゃんとおわかりいただけたであろうか。
おわかりいただけたことと思う。
念のために確認しておくと、ごくおおざっぱに規定するとして、乱歩関連資料というやつには、乱歩が書いた本、乱歩以外の人間が乱歩のことを書いた本、この二種類があって、乱歩関連資料を収集するということになれば、まず集めるべきなのは乱歩が書いた本だけれど、乱歩以外の人間が乱歩のことを書いた本も、やはり集めなければならない、ということだ。
いやー、ここまであたりまえのことを、ここまでくどくどくどくど、まるでばかみたいにくどくどくどくど書き連ねてるとほんとにほんとにいやになってくるんだけど、ここまで懇切丁寧に書いたんだから、これまでのところは名張市役所のみなさんにもよーくご理解いただけたものと思う。
理解してもらえた、ということにして、先に進みたい。
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