きょうも暑かったな。
きのうより暑かった。
やれやれ。
じつはもう、缶ビールをやっとるのな。
すでにして酔っ払いなわけ。
けけけ。
やれやれ。
さて、難しいんだったらやめたらどうよ、という考えかたは、はたしてありか、それともなしか。
残念ながら、ない。
なんの話か。
乱歩が書いた本を収集する、というのは比較的容易であるが、乱歩以外の人間が乱歩のことを書いた本、みたいなのを集めるのは比較的容易ではない、とはいうものの、容易ではないからやめてしまってもいいのではないか、なんて虫のいいことにはとてもできない、という話である。
近い例。
▼2011年5月20日:書籍:想い出の作家たち
▼2011年5月15日:書籍:文壇挽歌物語
▼2011年5日5日:書籍:暴いておやりよドルバッキー
▼2011年4月20日:書籍:探偵小説の室内
これらの本にはすべて、どこかに乱歩のことが書かれているのだが、書名や編著者名をみるだけでは、そんなことはまるでわからない。
ただまあ、これら四冊にかぎっていえば、目次に乱歩の名前が出てくるから、手に取りさえすれば、あ、この本には乱歩のことが書いてあるな、と簡単に察しをつけることができる。
たとえば、『想い出の作家たち』をひもとけば、乱歩令息、平井隆太郎先生の「江戸川乱歩」が収録されていて、先生からごらんになった乱歩の人物像や家庭生活などを知ることができる。
たとえば。
父はいろいろ仕事をやっていますが、結局のところ、朝九時に出社して、夜は六時に帰るというような時間にしばられた勤めは、自分には向かなかった、と言っていました。東京市の社会局、いまでいう福祉関係のお役人にもなってますが、すぐ辞めています。まわりを見ていると、朝来て、たばこ喫って、お茶飲んで、新聞読んで、何もしないで夕方になると帰っていく。こんなアホな商売があるものか、と怒ったという話です。
なるほど。
乱歩が若かったころの東京市のお役所も、現代における名張市のお役所も、本質的にはなんの変化もないようだな。
手前どもはなにも考えないことにしております、とか、手前どもはできるだけ働かないようにしております、とか、そんなのがごろっちゃらとぐろを巻いてるのがお役所というところであるらしい。
しかし、ちっとは考えてもらいたいものだよな。
とはいうものの、ものを考えたりなんかすることは、お役所的には犯罪行為なのかもしれんしなあ。
お役所のなかでへたにものを考えたりなんかした日には、周囲からたちまち、お役所という名の無能と怠慢の花園を踏み荒らしてんじゃねーよばーか、昔だったら縛り首だぞ、みたいな感じで村八分に遭ってしまうのかもしれんのだからなあ。
お役所ってのは、ほんと、どうしようもないところであって、だから乱歩も、こんなあほな商売があるものか、と怒ってたそうなんだけど、けけけ、やーい、あほ。
しかしほんと、ちっとは考えてくれてもいいと思うぞ。
なにもこちとら、難しいことを考えてくれとゆうとるわけではない。
ごく簡単なことである。
名張市立図書館に限定して述べるならば、乱歩にかんしてなにかする、乱歩に特化した運営を進める、乱歩を図書館運営の重要なコンテンツのひとつに位置づける、とかいう場合、具体的にいったいなにをどうすればいいのか、それを考えてみてくれ、というだけの話である。
ごくごく簡単ではないか。
図書館ってのはなにをするところなのか、まずそれをよく理解したうえで、あとは具体的になにをすればいいのか、それを考えればいいだけの話である。
この平熱教室で述べてきたとおり、図書館ってのはなによりも本を読むところであるのだから、乱歩の本が読めるようにしなければ話にならない。
そのためには、いったいなにが必要か。
乱歩の本を集めることである。
ここにおいてはじめて、資料収集の必要性というやつが生じてくる。
ところが、名張市立図書館には、それがなかった。
図書館がどういうところなのか、それを考えるということがなかった。
なにもわからないくせにいきなり、乱歩関連資料を収集しよう、ということにしてしまった。
開設当時の名張市立図書館関係者は、図書館は資料を収集するところらしい、ということは、どこかで聞きかじって知っていた、ということであろう。
しかし、それだけである。
本を読むことが好きだ、ということもなければ、乱歩という作家に関心がある、ということもなく、乱歩の関連資料を集めるのなら乱歩の本を読まなくちゃな、と思いつくことさえない。
したがって、乱歩関連資料の収集に目的というものが存在しない。
結局、資料収集そのものが自己目的化するしかない。
乱歩の作品を読むために、乱歩の本を収集いたします、ということではまるでなく、乱歩の本の収集することの目的は、すなわち乱歩の本を収集することなのでございます、といったことになってしまうのである。
そうなってしまったのである。
そうなるしかなかったのである。
だから、こんなあほなことになるのである。
中 相作 さま
このたびは「市長への手紙」をお寄せいただき、ありがとうございました。
名張市立図書館が所蔵する江戸川乱歩関連資料を活用するための具体的な方針につきましては、現在のところございませんが、今後、図書館活動の一環として、江戸川乱歩に関連する図書や雑誌などの資料を、収集・保存に努めてまいりたいと考えています。
今後とも、貴重なご意見・ご提案をお寄せいただきますようお願いします。
平成20年10月 9日
名張市長 亀井利克
収集資料の活用なんてことには、いっさい考えがおよばない。
それはそうであろう。
資料の収集そのものが目的なんだから、収集したあとにはなにもない。
やーい、あほ。
あまりにもあほらしくなったから、本日の平熱教室はここまでとして、本格的に飲むことにする。
やーい、あほ。
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