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Nabari Ningaikyo Blog
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Posted by 中 相作 - 2016.06.16,Thu

 「二銭銅貨」の九十九円電書に乱歩による自註自解を収録するとなると、そんなテキストは青空文庫には転がっていませんから、ひとつひとつキーボードを叩いて入力しなければなりません。

 ただし、「二銭銅貨」への直接的な言及だけを拾えばいいわけですから、それほど難儀な作業ではないものと思われます。

 自註自解を入れるとなると、「二銭銅貨」に寄せられた批評感想のたぐい、つまり小酒井不木の「『二銭銅貨』を読む」をはじめとした同時代評も収めたほうがいいのではないか。

 じつは昔、『乱歩文献データブック』をつくったとき、記載した乱歩文献の附随データとして、

 「♥は、その文献で言及されている乱歩作品のタイトル。小説のほか随筆、評論、著書も含み、著書のタイトルが小説のタイトルと重複している場合は『  』で括った」

 とか正気の沙汰とは思えない小細工を弄しており、ただしこれ、乱歩没後の文献は対象としてないんですけど、とにかくこうしたデータをすでに拾ってあるわけですから、このうちの「二銭銅貨」をチェックしてけばいいだけの話だということになります。

 恥ずかしながら『乱歩文献データブック』では見落としていた乱歩文献、というのも当然あるわけで、刊行後に判明したものも含めて簡単に調べてみましたところ、昭和13年の中島親「日本探偵小説史」あたりが戦前の探偵文壇における「二銭銅貨」への最後の言及ということになるようです。

 同時代評、というくくりで収録するのであれば、まずそのへんまでで充分だろうと思われます。

 ちなみに、昭和13年というのは戦前最後の探偵雑誌「シュピオ」が終焉を迎えた年であり、その前身たる「探偵文学」が乱歩特集を組んだのは昭和10年のこと。

 そのころには乱歩の登場を文学史に位置づける試みも始められていて、昭和10年の『日本文学大辞典』では木村毅が、翌11年の『世界文芸大辞典』では森下雨村が乱歩の項を担当していますから、そこに見える「二銭銅貨」関連の記述を抜粋しておくことにもいくらかの意義はあろうと判断されます。

 というか、この試みは平凡社版乱歩全集の巻末に配された「批評集」の「二銭銅貨」版とも呼ぶべきもので、天国の乱歩の意にも必ずや沿うものであろうと確信する次第です。

 しかし、自註自解と同時代評の合わせ技一本だけで、はたして九十九円分の価値があるのかどうか、ということになりますと、はっきりゆうて無理でっしゃろな。

 ところで、「週刊現代」最新号には、映画「屋根裏の散歩者」のこんな写真が掲載されてますのんえ。


 まあいやらし。

 てゆーか、「週刊現代」一冊で四百三十円しましたけど、それに比べれば九十九円なんて屁でもねーだろ、という気がしないでもないんですけど。
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