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Posted by 中 相作 - 2016.06.02,Thu
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Book Bang
平成28・2016年5月26日 新潮社
ホームズ、マーロウ、金田一…「名探偵」で遊ぶ3冊
若林踏
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平成28・2016年5月26日 新潮社
ホームズ、マーロウ、金田一…「名探偵」で遊ぶ3冊
若林踏
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名探偵登場!
金田一耕助、パノラマ島へ行く
ジョン、全裸連盟へ行く
書籍情報:版元ドットコム
ホームズ、マーロウ、金田一…「名探偵」で遊ぶ3冊
[レビュアー] 若林踏(書評家)
謎解きミステリに欠かせないもの、それは名探偵。シャーロック・ホームズから名探偵コナンまで古今東西、様々な創作者の手によって個性的な名探偵達が生み出されてきた。
今回ご紹介する『名探偵登場!』は名探偵をテーマにした、ちょっと風変わりなアンソロジーだ。総勢一三名の作家に「名探偵」を題材にした短編を書かせる、というコンセプトは単純だが、注目すべきは執筆陣の名前。町田康、津村記久子、藤野可織、木内昇、海猫沢めろんなどなど、ミステリと縁が遠そうな作家ばかり。だがそれ故にミステリのお約束やルールに縛られない独創的な物語が誕生した。
町田の「文久二年閏八月の怪異」にはフィリップ・マーロウのような口調で話す半七親分が登場し、海猫沢の「三毛猫は電氣鼠の夢を見るか」では「ホームズ」と名付けられた猫探偵が主役を張る。このような愉快な名探偵パロディがある一方で、鬼平の捕物譚になぜか銭形平次やドラマ版「鬼平犯科帳」の話題まで飛び出す奇妙な味わいの青木淳悟「捕まえて、鬼平!~鬼平『風説』犯科帳~」、犯人・被害者・刑事を記号的に綴り、形式化したミステリへのアイロニーを突き付ける藤野の「わたしとVと刑事C」など、文学的な遊びも満載。ジャンル外の才能が、ミステリ小説をより豊かなものに変えてくれる。
反対にミステリ作家が名探偵へのディープな愛を炸裂させたパスティーシュが芦辺拓『金田一耕助、パノラマ島へ行く』(角川文庫)。横溝正史と江戸川乱歩、日本を代表する二大探偵小説家が描いた物語を合体させるという、ミステリファンにとって桃源郷のような世界が広がっている作品だ。同じく深い名探偵愛を感じる一冊として北原尚彦『ジョン、全裸連盟へ行く』(ハヤカワ文庫JA)もお薦め。名探偵の代名詞、シャーロック・ホームズを現代化したドラマ「シャーロック」のパスティーシュ集である本作は、ドラマ・原作双方のファンが楽しめる気配りに溢れている。表題作はワトソンの全裸姿というサービスショット付き。
新潮社 週刊新潮 2016年5月26日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです
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