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Posted by 中 相作 - 2016.04.21,Thu
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 平成28・2016年4月19日 オリコン

スペイン映画に登場する日本のアニメ『魔法少女ユキコ』とは?
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2016-04-19 12:00

スペイン映画に登場する日本のアニメ『魔法少女ユキコ』とは?



ロングラン上映中の映画『マジカル・ガール』Una produccion de Aqui y Alli Films, Espana. Todos los derechos reservados(C)



心に闇を抱える女性バルバラ Una produccion de Aqui y Alli Films, Espana. Todos los derechos reservados(C)



魔法少女ユキコのコスチュームに憧れる少女アリシア Una produccion de Aqui y Alli Films, Espana. Todos los derechos reservados(C)

 「魔法少女ユキコは悲劇のはじまり。」そんなキャッチコピーで観客を誘い、東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほかでロングラン上映されている映画がある。『マジカル・ガール』。スペインの新鋭カルロス・ベルムト監督の劇場デビュー作、とのことだ。

 ポスターには、コスプレにしてはかなりクオリティの高いコスチュームドレスを着て、キラッキラッに輝くステッキを手にした少女が立っている。彼女が「魔法少女ユキコ」なのか?

 「魔法少女ユキコ」は劇中に登場する架空のアニメのタイトルだ。映画は男性教師が「2+2はいつも4なのだ。どんなことがあろうとも」と語る言葉から始まる。スペイン語のせりふを聴きながら、字幕の文字を追い始めると、まもなく暗転して、日本語の歌が耳に飛び込んでくる。

 1984年にアイドルとしてデビューした長山洋子の「春はSA-RA SA-RA」。『魔法少女ユキコ』は日本のアニメで「春はSA-RA SA-RA」はその主題歌。少女の名前はアリシアといい、白血病で余命わずからしい。そんな彼女のささやかな願いが、13歳になることと、『魔法少女ユキコ』のコスチュームを着て踊ることであることが淡々と描かれる。

 そして、アリシアの父ルイスは失業中にもかかわらず、娘の最後の願いをかなえるため、高額のコスチュームを手に入れることを決意する。そこから始まる一連の彼の行動が、心に闇を抱えるバルバラという名の女性と、彼女と因縁のある元教師のダミアンを巻き込み、予想もしない悲劇的な結末へと加速していく。

 「はじめは、よくある日本カルチャーを取り入れただけの映画か、と思っていたけれど、いざ観てみるとまるっきり違う。ダークでシリアスで謎めいていて、こりゃ面白い!と引き込まれました」と語るのは、朝日新聞デジタルにアニメ・マンガ・ゲームのコラム『アニマゲ丼』を連載している小原篤氏。

 また、『機動戦艦ナデシコ』『鋼の錬金術師』といったアニメ、『烈車戦隊トッキュウジャー』などの特撮テレビシリーズで筆を揮う脚本家・會川昇氏も「日本カルチャーを土台にしつつ、オリジナリティを持った世界観が素晴らしい」とベルムト監督を絶讃している。

 ベルムト監督は、1980年3月6日生まれの36歳。子どもの頃、『聖闘士星矢』に心奪われ、そこから日本の文化に興味を持つようになった。『魔法少女まどか☆マギカ』や『美少女戦士セーラームーン』、『ドラゴンボール』に『パーフェクトブルー』、そして水木しげる作品まで…とにかく日本の漫画やアニメが大好き。

 日本の映画や音楽にも造詣が深い。小津安二郎や黒澤明の時代から、新藤兼人、今村昌平、最近の園子温まで、お気に入りの映画監督の名前が次々に出てくる。アニメの主題歌として長山洋子のデビュー曲を見つけ出し、エンディング曲にピンク・マルティーニがカバーした美輪明宏作詞作曲の映画『黒蜥蜴』主題歌「黒蜥蜴の唄」を使うなんて。「東京は第2の故郷」と言うのもリップサービスではなく、1年のうち4ヶ月くらい日本にいるらしい。

 會川氏は「劇中、長山洋子さんの曲が挿入されたり、江戸川乱歩の『黒蜥蜴』にオマージュを捧げていたり、美輪明宏さんの影響も受けていたり…と、話だけきくと一見ひとつひとつのパーツがバラバラに見えるけれど、その全てが上手く調和して、物語の何とも言えない危うさを匂わせていますよね。映画としても、とてもオリジナリティが深い」と感心しきりだ。

 日本のエッセンスが散りばめられていることへの驚きと親近感。キャッチコピーに偽りなしの“フィルム・ノワール”ぶり。そして、「魔法少女ユキコ」はどうなったかというと、映画評論家・翻訳家の柳下毅一郎氏の指摘がヒントになる。

 「『マジカル・ガール』は、見せないことの方が力を持つ、ということを考えさせる作品。リアリティがあるのは、見せないからこそなんですよね。そこでいうと観客も監督の魔法にかかっているような感じです」。

■公式サイト
http://bitters.co.jp/magicalgirl/

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