Nabari Ningaikyo Blog
Posted by 中 相作 - 2016.03.20,Sun
ウェブニュース
Book Bang
平成28・2016年3月10日 新潮社
新刊のミステリー 短篇集が粒揃い!
瀧井朝世
Home > レビュー > 記事
Book Bang
平成28・2016年3月10日 新潮社
新刊のミステリー 短篇集が粒揃い!
瀧井朝世
Home > レビュー > 記事
新刊のミステリー 短篇集が粒揃い!
書籍情報:版元ドットコム
新刊のミステリー 短篇集が粒揃い!
[レビュアー] 瀧井朝世(ライタ-)
今回は新刊のミステリー短篇集のなかから数冊を。まず、フェルディナント・フォン・シーラッハの『罪悪』。二〇一二年の本屋大賞翻訳小説部門第一位となった『犯罪』に続く第二短篇集だ。弁護士の「私」が遭遇したさまざまな罪悪を簡潔に語っていく。町のブラスバンドの男たちが祭の夜に起こした暴行事件、若かりし頃に罪を犯したものの、結婚して平穏に暮らしてきた男女のその後、寄宿学校で起きたいじめが思わぬ事故を引き起こす悲劇……。理不尽な結末を迎える事件もあればユーモアが漂うエピソードや、法の解釈をめぐってのスリルある展開など、テイストはさまざま。いずれも、人の心の不可思議さ、不確かさが描かれている。
一方、犯罪とは無縁な謎が出てくるのは碧野圭『菜の花食堂のささやかな事件簿』(だいわ文庫)。東京・武蔵野にあるレストラン〈菜の花食堂〉では月に二回、料理教室が開かれている。参加者たちが抱える事情を、鋭い観察眼で見抜いてしまうのが店のオーナーの靖子先生。その様子を見守る助手の優希が視点人物だ。生徒の一人が突然恋人に別れを告げられた理由は? 職場の大切な先輩のために、当日購入したケーキが傷んでしまったのは誰のしわざ? 明るく家族思いの女性が珍しく息子を怒らせたのはなぜ? どの謎も料理や食べ物が絡むが、立ち上ってくるのは隠されていた人々の想い。靖子先生や優希にもそれぞれ事情があり、彼女たちのキャラクターにも惹きつけられる。
推理を楽しみたいなら桜庭一樹編『江戸川乱歩傑作選 獣』と湊かなえ編『江戸川乱歩傑作選 鏡』(ともに文春文庫)を。乱歩没後五十年記念のアンソロジーだ。現代の人気作家二人が、どんな作品を選んだのかが興味深い。桜庭氏はデビュー作「二銭銅貨」から始まり問題作「陰獣」に至る並びで、初期の乱歩の素顔に迫ろうと試みる。湊氏は「湖畔亭事件」を中心に本格推理ものを集め、パズラーとしての乱歩を解読しようとする。選者の意図によって、大乱歩がまた違う表情を見せてくれているのが魅力だ。
新潮社 週刊新潮 2016年3月10日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです
新潮社
対象書籍
『罪悪』
著者・出版社
フェルディナント・フォン・シーラッハ [著]/酒寄進一 [訳](東京創元社)
価格
778円(税込)
『菜の花食堂のささやかな事件簿』
著者・出版社
碧野 圭 [著](大和書房)
価格
702円(税込)
『江戸川乱歩傑作選 獣』
著者・出版社
桜庭 一樹 [著]/江戸川 乱歩 [著](文藝春秋)
価格
702円(税込)
『江戸川乱歩傑作選 鏡』
著者・出版社
江戸川 乱歩 [著]/湊 かなえ [著](文藝春秋)
価格
702円(税込)
PR
カレンダー
開設者
中 相作:Naka Shosaku
ブログ内検索
リンク
カテゴリ
エントリ
(06/19)
(12/16)
(08/03)
(03/26)
(01/29)
(01/22)
(11/05)
(07/31)
(10/10)
(09/19)
(08/16)
(08/15)
(06/23)
(05/27)
(04/12)
(12/29)
(11/30)
(08/13)
(05/02)
(03/10)
アーカイブ
カウンター
Template by mavericyard*
Powered by "Samurai Factory"
Powered by "Samurai Factory"