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Nabari Ningaikyo Blog
Posted by - 2024.11.25,Mon
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Posted by 中 相作 - 2016.01.09,Sat

 わしはもう知らん、といいたくなってきました。

 こんなのまであったからです。

 Amazon.co.jp:二銭銅貨/一枚の切符 現世の夢シリーズ (2015 Red Studio) [Kindle版]
 Amazon.co.jp:屋根裏の散歩者/指環 現世の夢シリーズ (Red Studio) [Kindle版]
 Amazon.co.jp:人間椅子/踊る一寸法師 現世の夢シリーズ (Red Studio) [Kindle版]
 Amazon.co.jp:江戸川乱歩~二銭銅貨~ [Kindle版]

 最後の『二銭銅貨』は「なか見!検索」が可能ですから、興味がおありのかたは覗いてみてください。

 なんと横組みで、ルビは本文中に《 》で括って入れてありますがな。

 というか、これじゃルビとは呼べません。

 ひとの商売の邪魔をする気はありませんけど、というか、これで商売になるのかどうか。

 いやー、ほとんど茫然としてしまうなあ。

 そうかと思うと、朗読なんてのもあります。

 Amazon.co.jp:江戸川乱歩 合成音声による朗読

 ほんとにもう、わしゃ知らんぞな。

 いっぽう、わしも知ってる小学館の電子版全集、こんな広告がありました。

 小学館eBooks:「江戸川乱歩電子全集」

 次回配信は1月29日。

 「魔術師」「黄金仮面」「吸血鬼」の三役が揃い踏みする『明智小五郎活躍編』だそうです。

 第一巻『明智小五郎登場編』は、最初から順番に読み進めて、最後の「猟奇の果」の終幕の手前、というところまでたどり着きましたが、再読してみるといろいろ発見、というのは大げさで、せいぜい気づかされること、といった程度ですが、とにかくそういうものがたしかにあって、たとえば「猟奇の果」からひとつだけあげておきますと、これは乱歩が自作解説なんかで述べている以上に涙香の「幽霊塔」を、ごく断片的ながら明確に意識にした作品だな、ということがわかりました。

 どこでわかったか、当該箇所を引用しておきます。

 もっとも、電子書籍というのは、ぱらぱらページをめくって目当ての文章を探し出す作業には不向きなようなので、江戸川乱歩推理文庫の『猟奇の果』から引くことにします。

 連載第五回の「奇蹟のブローカーと自称する美青年のこと」と題された章に、こんな描写があります。

 池にうつった映画館のイルミネーションが、逆に顎の下から青年の顔をボーッと明るくしていた。美しい。だが変な美しさだ。お能の面のように、完全に左右均等で、何かしら作り物の感じで、無表情で、底の方からにじみ出す凄味がただよっていた。やっぱり気ちがいだなと思った。

 この青年の美貌は、明らかに「幽霊塔」に出てくるのと同じ人間改造術で生み出されたものだと思われます。

 試みに、乱歩の「幽霊塔」から、主人公が人間改造術を施された美女と初めて会ったときの描写を。

 ああ、これはまあ、なんという美しい幽霊だろう。闇の中で聞いた声も美しかったが、その顔の美しさは声どころではなかった。私はあとにも先にも、これほど欠点のない顔を見たことがない。眉といい、眼といい、鼻といい、口といい、まるで絵にかいたようで、整いすぎていて恐ろしいくらいだ。

 この引用だけではあまりはっきりしませんから、この段落のあとの描写からも。

これがほんとうの人間の顔だろうか。こんなに欠点のない美しさが生きた人間の顔に現われるものだろうか。もしかしたらこの女は、ゴムででもこしらえた精巧なお面を被っているのではないかしら。

 さらに「お能面のような美貌」というフレーズも出てきますから、「猟奇の果」のこの美青年は、「幽霊塔」の遠い先蹤をなす登場人物だといっていいのではないかしら。

 しかし、涙香の「幽霊塔」を堂々となぞった作品ならいくらでも完結させられますけど、涙香の「幽霊塔」から得た着想をとりあえず素材として放り込んでみただけだったように見える「猟奇の果」は、ポーの「ウィリアム・ウィルソン」の趣向まで盛り込んでしまったせいもあって、なんだかもうわけのわかんないものになってしまい、結局は明智小五郎の来駕を得て冒険活劇に変質してしまったという寸法です。

 変質、というよりは、変身、というべきか。

 乱歩の生涯を貫く棒のごときものだった変身願望が、「猟奇の果」にもまた濃い影を落としていたことはいうまでもありません。

 それにしても、乱歩作品がこの先、あっちこっちでてんでんばらばら、何百何千と製造された品川四郎さながら、際限もなく電子書籍に変身していったとしたら、ほんとに困ってしまうなあ。

 夢物語ならいいのだが。
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