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Posted by 中 相作 - 2015.10.22,Thu
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産経ニュース
 平成27・2015年10月19日 産経新聞社、産経デジタル

怪人二十面相の苦悩 10月19日
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怪人二十面相の苦悩 10月19日

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「独語」と題された江戸川乱歩の未発表の手記(平井家蔵、立教大寄託)

 英国の作家、コナン・ドイルは、自らが生み出した名探偵、シャーロック・ホームズを憎んでいた。ホームズものを書きまくっていたころ、妻のルイザが肺結核を発症する。本業が医者だったにもかかわらず、病気の兆候に気がつかなかったのは、ホームズが時間を奪ったせいだ。

 ▼そう思い込んだドイルは、ホームズを殺す決心をする。2人は療養のためにスイスを訪れ、滝の名所を旅行した。『最後の事件』で、ホームズはこの滝に落ち込んでいく。読者の懇願に応えてホームズが復活するのは、10年後だった(『世界でいちばん面白い英米文学講義』草思社)。

 ▼日本の探偵小説の父と呼ばれる江戸川乱歩も、名探偵、明智小五郎や少年探偵団のリーダー、小林少年の死を願う日があったのだろうか。今年、没後50年を迎える乱歩が昭和11(1936)年に記した、未発表の手記が見つかった。

怪人二十面相の苦悩 10月19日

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 ▼少年雑誌に、『怪人二十面相』の連載が始まったばかりの時期である。変装の名人である怪盗と、明智探偵らの対決は、たちまち読者の心を捉えた。しかし、41歳の乱歩は人気を喜ぶどころか、鬱々とした日々を送っていたようだ。手記には、「小説作りはおぞましき現実である」と、創作の苦悩がつづられていた。

 ▼専門家は、「書きたいものが思うように書けないつらさ」を指摘する。乱歩の作品が当局からにらまれ、検閲が厳しくなるのは、まもなくである。そんな時代背景とも関わりがあるのかもしれない。

 ▼今はどうかは知らぬが、小欄の小学校時代は、『怪人二十面相』と『ホームズ』が、図書館の人気トップを争っていた。当時は、ワクワクドキドキするばかり。作家の悩みに、想像が及ぶわけがない。久しぶりに読み返してみよう。
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