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Posted by 中 相作 - 2011.04.20,Wed

書籍

 

探偵小説の室内

 柏木博

 平成23・2011年2月25日 白水社

 B6判 カバー 246ページ 本体2400円

 

関連箇所

 迷宮案内 江戸川乱歩『悪魔の紋章』

 II >  p86ー99

 

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迷宮案内 江戸川乱歩『悪魔の紋章』

 

 江戸川乱歩の『悪魔の紋章』は、乱歩の少年向けの探偵小説にも受け継がれる明智小五郎シリーズのひとつであるが、名探偵明智は、最後の五分の一あたりでしか登場しない。冒頭からほとんどは、法医学を専門とする探偵宗像隆一郎の捜査活動が中心となっている。

 物語は、製糖会社の取締役川手庄太郎の家族、一家を「みな殺し」にするという謎の人物からの予告とともに、川手の娘雪子、妙子の殺害事件が起こることからはじまる。そして庄太郎は棺桶に入れられ生き埋めにされる。さらには庄太郎の父の妾腹の娘北園竜子も自殺と見せかけて殺害される。庄太郎のふたりの娘の殺害、そして庄太郎への脅迫には、いつも三つの渦巻き(三重渦状紋)をもった指紋(悪魔の紋章)が残されている。川手の家族全員の殺害の動機は、山本商会の使用人として働いていた川手庄太郎の父庄兵衛が、経営者山本夫妻を、金銭目的に残虐に殺害したことにあった。山本の幼い子どもたちが、その殺害現場にいたのである。川手庄兵衛への復讐は、その息子から孫娘、さらには息子の妾腹の娘にいたったのだ。

 

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白水社:探偵小説の室内

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