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Posted by 中 相作 - 2015.03.06,Fri
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YOMIURI ONLINE
 平成27・2015年3月4日 読売新聞社

よみがえる「少年探偵団」
 児玉圭太
 Home > 地域 > 香川 > 記事

よみがえる「少年探偵団」

2015年03月04日

 ◇乱歩へのオマージュ 作家・芦原さん新刊

 観音寺市出身の直木賞作家・芦原すなおさん(65)が9日、新作「恐怖の緑魔帝王」を刊行する。江戸川乱歩(1894~1965年)の「少年探偵」シリーズへのオマージュ(賛辞)として、聡明そうめいな小林少年や名探偵・明智小五郎が活躍する懐かしの世界をよみがえらせた。(児玉圭太)



「恐怖の緑魔帝王」の表紙

 昨年の乱歩生誕120年、今年の没後50年を記念し、ポプラ社が企画した連作「『みんなの少年探偵団』プロジェクト」の完結編だ。

 ある寒い日の夕方、少年探偵団のメンバーが奇態な緑の老婆に遭遇し、恐ろしい体験をする。同じ頃、東京・港区の大富豪に、値打ちものの絵画と娘を奪うと、怪人二十面相が予告してきた。出張中の明智探偵に代わり、小林少年が富豪宅に張り込むと……。

 事件は二転三転。怪人二十面相にまつわる意外な真実が明らかになる冒険物語を、芦原さんはスリルとユーモアを交えて描いた。

 同プロジェクトは「少年探偵団と怪人二十面相との対決」がテーマ。シリーズのファンという芦原さんや万城目まきめ学さん、湊かなえさんら人気作家6人が執筆陣に加わった。

 昨年11月からアンソロジー(選集)や長編が刊行され、芦原さんの作品が4冊目。作家ごとに様々な時代設定や趣向が楽しめる。

 四六変型判。224ページ。1500円(税別)。



江戸川乱歩の全集が並ぶ実家で、作品への思いを語る芦原さん(観音寺市で)

 ◇感受性・考え方人生の糧

 芦原さんに、乱歩作品の魅力や新刊への思いを聞いた。

 ――芦原さんにとって、江戸川乱歩とは?

 「『少年探偵』シリーズが小学生の頃から大好きで、兄に借りて夢中で読みふけったのを覚えています。『青銅の魔人』や『地底の魔術王』などの怪しげで迫力ある装画も印象的ですよね」

 「乱歩の推理小説には、どれも社会常識にとらわれない豊かな発想があり、読者を現実から離れた世界にいざないます。どうやって読者を楽しませようか、いつも童心を失うことのなかった作家だったのでしょう。作品を通して得ることのできる感受性や複眼的な考え方は、私の作家人生の大きな糧になっています」

 ――その「少年探偵」を自ら手がけました。

 「オマージュを書けたのは光栄なことです。原稿の依頼では時代設定は自由でしたが、迷わず原作と同時代にしました。小林少年や怪人二十面相などのキャラクターに寄りかかりながら、私自身が乱歩の世界に遊ぶような気持ちで、自然と筆が進みました」

 ――若者の活字離れが指摘されています。

 「読書とは、あくまで楽しみであるべきだと思います。一方で、ゲームやパソコンに比べ、豊かな想像力を育むことができる。特に子供たちには良質な本を手に取ってほしいと願っています」

2015年03月04日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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