Nabari Ningaikyo Blog
Posted by 中 相作 - 2015.02.01,Sun
もしかしたらと予想はしていても現実に起きてみるとやはり言葉を失ってしまわざるをえないことというのは実際にあるものだ、ということをあらためて実感していた夜明け前、きのうの講演の概要をブログで教えてくれ、と知人から連絡を受けました。
とりかかることにいたします。講演というのは、これです。
定員は百人でしたが、事前に七十人の申し込みがあり、私のような飛び入り参加も十人あまり、とのことで、会場はほぼ満員の盛況でした。
講師の尾西康充先生にはお目にかかったことがありませんでしたので、開演前、名張市名物二銭銅貨煎餅など手みやげに、そそくさとご挨拶を申しあげました。
この二銭銅貨煎餅、むろん食べたことはあるものの、箱のなかになにが入っているのかはまったく知らず、というか、気にもしていなかったのですが、先日、高井信さんにお送りしましたところ、箱の中身をこんなぐあいにご紹介くださいました。
▼ショートショートの…:乱歩煎餅 二銭銅貨(2015年1月1日)
さて、講演会の話題です。
主催は三重大学、名張市教育委員会、三重県生涯学習センターとなっておりますが、「みえアカデミックセミナー2014移動講座」という名称からもわかるとおり、三重大学の先生がたが県内各地を訪れて一般向けの講演をおこなう、という企画の一環で、名張市はそれに手をあげただけ、いつもいつものことながら、自分ではなにも考えず、ただただありものをもってきただけの話です。
講演会終了後、会場で出会った知人と立ち話をしたのですが、乱歩生誕百二十年でも名張市はなにもしませんでしたね、どうしてですか、と尋ねられましたので、名張市役所のみなさんは乱歩のことなんかなにも知らないし、そもそもなにも考えないことにしているし、できるだけ働かないようにもしているし、それ以上の問題として、名張市にはとにかくお金がない、ということがあって、乱歩生誕百二十年記念事業にまわせる予算なんてただの一円もなかったと思うぞ、との見解を述べておきました。
そういえば、おりしもきのう、こんなニュースが報じられました。
▼毎日新聞:名張市議会:視察欠席で処分検討 柏議員、財政難理由に /三重(2015年1月31日)
尻切れとんぼで恐縮ですが、無断転載しておきます。
名張市議会:視察欠席で処分検討 柏議員、財政難理由に /三重
名張市議会の教育民生委員会(7人)に所属する柏元三議員(71)が、市の財政難を理由に、委員会の行政視察を欠席したとして、議会から処分を検討されていることが30日、分かった。柏議員は「視察はしっかりとした準備をして目的意識を持ったものでなければ費用対効果が得られない」と反論している。
柏議員によると、行政視察は28日から3日間の日程で、岡山県倉敷市と岡山市、...
名張市におけるひさびさの明るいニュースであり、もっと大々的に報じられてしかるべき話題でもあるんですけど、ウェブニュースはこれだけみたいですからちょっと補足しておきますと、名張市の財政が危機的な状況にあるというのに、市議会議員が目的もあいまいなら効果も見込めないような視察旅行に出かけるのはいかがなものか、ってんで事前に欠席届を提出し、実際に視察に参加しなかった議員先生がいらっしゃって、その先生が議会から処分されそうだ、ということです。
ふつうに考えれば、この処分されそうになってる議員先生にとても共感をおぼえる、という市民は少なからず、というよりかなりたくさん存在するのではないかしら、と私には思われます。
というか、名張市のみならず日本全国津々浦々、どちらの自治体にお邪魔いたしましても、議員先生の視察なんて物見遊山の慰安親睦旅行に決まってんだろーが、というのが通り相場なのではないのかしら。
視察旅行に正面から疑問を呈する市議会議員が登場した、というのは、名張市にとってまちがいなく明るいニュースであり、なりゆきに注目したいと思います。
ことほどさように名張市は財政が火の車、お金がないから新年度予算が編成できないらしい、といううわささえ聞こえてくるほどで、そういえば昨年12月、ある伊賀市民のかたと話をしていたら、名張市はいっそのこと財政再生団体になってしもたらどうでんにゃ、そしたら職員と議員の給料、大幅にカットできまっしゃろ、とのことで、そういえばそうだな、と私は思いました。
ほんと、そっちのほうがいいかもしれんな、といまも思います。
ともあれ、たとえお金があったとしても、まともな乱歩関連事業なんてとてもできない名張市なのに、そこへもってきてお金が全然ありませんというのですから、これはまさしく鬼に金棒、乱歩没後五十年だからといって、名張市になにかを期待するなんてことは絶対にしないでくださいね。
さて、講演会の話題です。
受付で手渡された配布資料に眼を落として、私は一驚を喫しました。
ピケティの引用で始まっていたからです。
トマ・ピケティさんは現在たまたま来日中でいらっしゃって、あちらこちらに引っ張りだこ、きのうはこんなニュースが報じられてました。
▼日本経済新聞:ピケティ教授、東大で講義 「公平な社会を作って」(2015年1月31日)
引用はいうまでもなく『21世紀の資本』からのもので、原文のまま引きますとこんな感じ。
トマ・ピケティ『二十一世紀の資本』「一九七〇年代以来、所得格差は富裕国で大幅に増大した。特にこれは米国に顕著だった。米国では、二〇〇〇年代における所得の集中は、一九一〇年代の水準に戻ってしまった──それどころか、少し上回るほどになっている」「資本収益率(利潤、配当金、利息、貸出料のように、資本から入ってくる収入)が産出と所得の成長率を上回るとき、資本主義は自動的に、恣意的で持続不可能な格差を生み出す」最高八〇%の累進所得税
いわゆる「r > g」、すなわち「資本収益率 > 経済成長率」ってやつで、これは要するに、いくら一生懸命働いてみたってクリックひとつで株やなんかを動かしてる人間にはとても勝てない、ということで、「最高八〇%の累進所得税」というのは、格差をなくすための対策としてピケティさんが提唱していることなんですけど、かなり厳しい数字ですし、アマゾンとかグーグルとか、それからスターバックスとか、タックスヘイブン利用して税金逃れしてる巨大企業もありますしね、と尾西先生は講演の冒頭で引用部分の説明をしていらっしゃいました。
いきなりピケティですから、聴衆はすっかり度肝を抜かれてしまったかもしれません。
私もべつにメモをとるわけでもなく、ただ拝聴していただけですから、講演内容を正確に再現することは不可能なんですけど、名張市の財政事情にも、あるいはいわゆるイスラム国のテロリズムにも、どちらにもかかわっているであろう格差の問題をまくらにして、尾西康光先生の講演「江戸川乱歩の21世紀」がはじまりました。
以下、つづきます。
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