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Posted by 中 相作 - 2014.10.20,Mon
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 平成26・2014年10月18日 読売新聞社

部屋から部屋へ役者と移動…古い洋館舞台の演劇
 河部啓介
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部屋から部屋へ役者と移動…古い洋館舞台の演劇

2014年10月18日 14時26分

 兵庫県尼崎市の劇団「G―フォレスタ」が、古い洋館などを舞台にミステリー劇の上演を続けている。

 観客は1公演あたり25~60人。キャストとともに部屋から部屋へと移り、芝居を間近に堪能できる趣向で、チケットは即完売する人気ぶりだ。洋館を使う背景には、観客に古い建物の良さを理解してもらい、保存につなげたいという狙いがある。

 シャンデリアや暖炉が据え付けられた吹き抜けの部屋。「皆さん、僕は悪魔の子なんだ。復讐
ふくしゅう
の一念に凝り固まった悪魔の子なんだ」と、犯人役の俳優の声が響く――。

 同劇団が、洋館を使った演劇を始めたのが2006年。代表の丸尾拓さん(52)(尼崎市)が、昭和初期に建てられた神戸市東灘区の「旧乾邸」で行われた朗読劇に参加した際、建物の持つ存在感にほれ込んだことがきっかけだった。

 旧乾邸は現在、神戸市が所有・管理。しかし、同年当時は所有者が相続税として国に物納し、競売にかけられる恐れがあったため、住民らから保存を求める声が上がっていた。

 そうした中、洋館を舞台にした昭和初期の推理小説を基に脚本を書き、建物内で上演。部屋ごとに物語を展開させ、役者の息づかいを間近に感じられる手法が人気を呼んだ。その後も、同市の北野異人館街に立つ国登録有形文化財「S家住宅」や大阪市にある1936年築のビル「細野ビルヂング」などで、江戸川乱歩や夢野久作、横溝正史らの作品をアレンジして上演。建物に合うよう、太い眉や濃い口紅などメイクにも時代考証を重ねている。

 11月には、約100年前に建てられた北野異人館街の洋館「グレーム邸」を初めて使い、乱歩作品をモチーフにした作品を上演する。作品は、叔父に洋館の検分を頼まれた主人公が謎の女性と出会い、次第にひかれていく。その後、屋敷で事件が続発し、巻き込まれる主人公。そんな中、女性の過去や屋敷の秘密が明らかになっていく――というストーリーだ。

 丸尾さんは、開演前に建物の歴史や系譜を観客に説明しており、建物目当てに来る客も多いという。「建物にマッチした演劇を楽しんでもらいながら、古き良き建築物が少しでも多く残るような動きの一助となれば」と話す。

 11月の公演は完売。ただし、キャンセルが出る可能性もある。24、29両日は3回、30日は2回。各回約25人で、1人3800円。問い合わせはG―フォレスタ(06・6422・3578)。(河部啓介)

2014年10月18日 14時26分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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