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Posted by 中 相作 - 2014.08.21,Thu
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 平成26・2014年8月19日 読売新聞社

20世紀の傑作エンタメ選集…北方謙三さんらが編集委員
 川村律文
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20世紀の傑作エンタメ選集…北方謙三さんらが編集委員

2014年08月19日 08時05分



「冒険の森へ」第11巻

 集英社は、現代日本のエンターテインメント小説の傑作を軸にした『冒険の森へ』(全20巻)=写真=を来年5月から刊行すると発表した。

 北方謙三さんら人気作家が編集委員を務め、冒険小説、ハードボイルドから時代小説、SF、純文学まで幅広く収録する点でもユニークな全集となる。(文化部 川村律文)

 1926年の創業から90周年の節目に向けた記念企画。7月末に開かれた同社の新刊企画発表会で、北方さんは「日本のエンターテインメント小説がどれぐらいの歴史を持ち、どれぐらいの作品を生み出してきたのかを、集大成として提示した。今までの全集は難しくて読めないものも多かったが、すべての作品が楽しめる」と自信をのぞかせた。

 20世紀の作品を対象に、主題の近い長編をほぼ年代順に並べ、各巻のテーマにあわせて短編、掌編を組み合わせた。長編は、戦前の作品である第1巻の江戸川乱歩「白髪鬼」から始まり、大藪春彦「野獣死すべし」、小松左京「エスパイ」、西村寿行「滅びの笛」といった50年代以降の多彩なエンターテインメント作品が並ぶ。

 編集を担当した集英社クリエイティブの山田裕樹さんは「司馬遼太郎的な歴史小説と本格ミステリーは入らなかった。それを入れると全30巻になってしまう」と苦笑する一方で、「当初に考えていた冒険小説、ハードボイルドというこだわりは捨てた」と明かす。

 編集委員は、北方さんのほか、逢坂剛さん、大沢在昌さん、船戸与一さん、夢枕獏さんという冒険小説、ハードボイルド系の大物たち。だが彼ら委員の提案で、収録作はしばしば変わったという。短編や掌編では、夏目漱石や森鴎外、芥川龍之介、中島敦などの文豪の作品、さらに石原慎太郎さんの「処刑の部屋」、宇能鴻一郎さんの芥川賞受賞作「鯨神」などの純文学作品も加わった。

 「編集委員もハードボイルドやSFでデビューし、ファンを獲得してから、出版社から貼られた(ジャンル作家の)ラベルを消し、“作家”になる作業をしてきた人たち。どんどんジャンルを壊す方向に行った」と山田さんは説明する。

 来年5月の初回配本は2冊。第11巻『復活する男』は文芸賞受賞作である飯嶋和一さんの「なんじふたたび故郷へ帰れず」と北方さんの「おり」、第16巻『過去のささやき』は志水辰夫さんの「行きずりの街」と芥川賞作家でもある花村萬月さんの「なで肩の狐」の各長編を収め、“越境”を印象づける。エンターテインメント、純文学の枠を超えた収録作からは、20世紀の小説が持つ幅広さ、豊かさを改めて感じることができそうだ。

2014年08月19日 08時05分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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