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Posted by 中 相作 - 2014.08.11,Mon
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平成26・2014年8月4日 朝日新聞出版
ジブリ作品を育てた本の森 鈴木敏夫を宮崎駿につなげた232冊
小柳暁子、岡田晃奈(撮影)
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ジブリ作品を育てた本の森 鈴木敏夫を宮崎駿につなげた232冊
小柳暁子、岡田晃奈(撮影)
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ジブリ作品を育てた本の森 鈴木敏夫を宮崎駿につなげた232冊
by 編集部・小柳暁子 (更新 2014/8/ 4 16:32)
鈴木敏夫さんの書斎は秘密基地のよう。書棚のあちこちにお茶目な小物も配置され、“向こう側の世界”へと誘ってくれる(撮影/写真部・岡田晃奈)
一見脈略なく並べられた本棚の行間を読む。書店から個人の本棚に収まった時、その人の本棚という文脈の中で本は新たな意味を持つ(撮影/写真部・岡田晃奈)
子ども時代から、寝る前には5分でも、必ず本を開いてから眠る。そのまま読みふけって朝を迎えることも(撮影/写真部・岡田晃奈)
扉を開けると、そこには約4千冊の蔵書がびっしりと並んでいた。
マンションの一室に広がる鈴木敏夫さんの本棚。
そこはまさに作品が生まれる豊穣な土壌、ひとつの生態系だった。(編集部・小柳暁子)
読書は人格を形成するというが、人間関係も形成する。鈴木敏夫さんと宮崎駿さんの絆を強靭なものにしたのは、子ども時代の共通の読書体験だった。
「隣家のおやじさんに可愛がられてよく家に行っていたんですが、その家には本がずらっと並んでいて。講談社の少年講談全集や江戸川乱歩の少年探偵団、怪人二十面相があって、それを全部読んだ。僕らの世代って、少年探偵団が大好きだったんですよねえ」
人気キャラクターの絵を模写して送り、少年探偵団のバッジをもらったこともあった。
「中学くらいだと吉川英治の『宮本武蔵』。3~5回くらい読んでいるんですよ。これは中学生くらいの時に読むと本当にいい本だと思っていて。その延長で読むのが富田常雄の『姿三四郎』。つい先般、黒澤明の映画『姿三四郎』を再見しましたが、本当に大好き。僕の中では、宮本武蔵と姿三四郎は対であった」
少年講談全集、江戸川乱歩、『宮本武蔵』に『姿三四郎』、それにシュールでユーモラスな作風の漫画家・杉浦茂を加えた5作品が好き、というのが宮崎さんと全く一緒だったという。
「『未来少年コナン』のジムシーとコナンが一緒に走るシーンの描き方が、杉浦茂の描き方なの。それを宮さんに会ったときに話したら、大喜びで(笑)。だから読書体験って大きいですねえ。2人でやっていくなかで延々とこの5作品の話をしている。8歳年が違うのに、なんで好きなものが同じなのか」
●手塚治虫に学んだこと
鈴木さんは1959年の創刊時(当時10歳)から30代中盤まで「週刊少年マガジン」を読み続けたという漫画読み。徳間書店では「アニメージュ」編集長として漫画家とのつきあいもあった。
「僕にとってはちばてつや、白土三平、ジョージ秋山。白土三平はいろいろあるけど、『忍者武芸帳』が好きでした。絵の模写をたくさんしましたね。ジョージ秋山は『平凡パンチ』に連載されていた『日本列島蝦蟇蛙』。のちに親しくなっておつきあいもさせていただいて、面白かった。ちばてつやは…… これは宮崎駿にバカにされるんですけど、『あしたのジョー』が好きでしたね。宮さんは『あの後ろ姿にジーンとしているから団塊の世代はダメなんですよ』って(笑)。でも宮さんだって『紫電改のタカ』が好きなんですよ(笑)」
ジブリ作品を育てた本の森 鈴木敏夫を宮崎駿につなげた232冊
後に『ちばてつやの世界』というイラスト集を作る機会があり、嬉しかったという。
「手塚治虫さんは本当に勉強になったんですよ。『原稿料は安くていい』と。あれは衝撃的でしたね。『高くなると注文がなくなるでしょ。どうせ単行本になれば売れますから』って。手塚さんは現役でいたかった人なんですね」
もう一つの衝撃は、手塚さんのマネージャーだったという。
「この世のものとは思えないくらい、いいかげんな人で。なぜあの人をマネージャーにしているんですかと聞いたら、『役に立つんですよ、鈴木さん』って。優秀な人だと、仕事が忙しくなって大変ですよと。その人にまかせておけばいろいろなことがうまくいかない。そこで担当者が手塚さんに何とかしてくださいと言いに来る。そこで『なんだ、僕に直接言ってくれればいいのに』って言えるでしょ、と」
●「読んでないんですか」
この後も、手塚治虫の一筋縄ではいかない人間性を示すエピソードは尽きなかった。
「一冊、というと本当に悩んじゃうんですけど、なんだかんだいいながら『火の鳥』ですね」
他にあがったのは、バロン吉元の『柔侠伝』、山松ゆうきちの「競輪必勝法」など。青柳裕介の『青い抱擁』も大好きで「週刊漫画サンデー」の連載を毎週切り取っていたという。林静一の『赤色エレジー』も好きな一冊。
「林静一さんは学校を出て東映動画に入って『太陽の王子 ホルスの大冒険』を作っている。高畑(勲)さんと池袋の喫茶店で打ち合わせしている時に、パクさん、って近寄ってきたのが林さんだった」
学生時代、大学院進学の選択肢もあったという鈴木さんだけに、人文書の蔵書も豊富だ。中でも宮崎さんに「読んでないんですか」と言われて読み始めたという堀田善衞とは縁が深い。
「ご縁があって堀田さんのところに年に1回伺っていた。お亡くなりになったあと、娘さんから先生の蔵書を引き取ってほしいと。僕、いただいたんですよ。そこに岩波の古典全集があって、買わなくてよかった!って」
ジブリ作品を育てた本の森 鈴木敏夫を宮崎駿につなげた232冊
年をとってから古典全集を読むのを楽しみにしているという鈴木さん。岩波書店版(「新日本古典文学大系」)と新潮社版(「新潮日本古典集成」)で迷い、新潮社を選んでいたという。
「岩波の方が立派で、かっこつけるには岩波だけど、実際読むなら新潮社かなと。本文の隣に赤色で現代語訳が書かれていて読みやすいんですよ」
鈴木さんにとっての堀田善衞の一冊は何だろう。
「悩むけど、やっぱり『ゴヤ』じゃないですかね」
●本棚は人生そのもの
宮崎さんに言われて読み始めたものに、ネパールやブータンを探検した植物学者の中尾佐助や民俗学者・宮本常一もある。
「『忘れられた日本人』は大好き。もう、いっぱい買ったんですよ、あれ。宮本常一が撮った写真を見るのも好きですね」
読書の原体験とも言うべき少年時代に耽溺した本、漫画、人文書、それから徳間書店入社後配属された「アサヒ芸能」に象徴されるようなルポ・ジャーナリズムもの。鈴木さんの本棚には、鈴木さんの人生の軌跡が表れていて、それぞれからいまのジブリに続く道が見える。
※AERA 2014年8月11日号
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