Nabari Ningaikyo Blog
Posted by 中 相作 - 2014.08.04,Mon
えーっと、なんだかようわかりません、というおはなしなんですけど、こんなツイートがあるぞ、と教えていただいたことから話ははじまります。
'54年当時の目録ではニャいのだけれど、'58年当時の貴重な目録の一部をご紹介するニャ。谷崎潤一郎や江戸川乱歩の評も掲載されてるニャ。 pic.twitter.com/5l8lnl5pqQ
— 東京創元社 (@tokyosogensha) 2014, 7月 16
これは東京創元社の1958年版、和暦でいえば昭和33年版の解説目録で、なかに乱歩の推薦文が収録されています。
東京創元社の「現代推理小説全集」は昭和32年に配本がはじまって、乱歩はその内容見本に「監修者のことば」として「斬新な作品に一流の翻訳陣」という推薦文を寄せているのですが、さすがの私もこの1958年版解説目録のことまでは知りませんでした。
ちなみに、この解説目録には、乱歩の推薦文以外に「江戸川乱歩 推理小説ベスト表」というのも掲載されていて、
「このベスト表は『創元』推理小説特集号より転載しました」
との注記が添えられています。
転載された二種類のベストテンは『幻影城』に収められたものですが、それが「創元」に転載されていたとは、さすがの私もまったく知りませんでした。
そもそも私は、「創元」という雑誌、というか、たぶん挟み込みの月報みたいなものだと思うんですけど、それを実際に眼にしたことはいちどもないのではないか。
かなり以前、東京創元社に電話を入れて、「創元」のことをお聞きしてみたことがあるんですけど、いますぐ取り出せるところにないことだけはたしかです、と女性編集者のかたから確信にみちたお答えをいただいたものであった、ということをいま思い出しました。
いやいや、そんなことはともかく、この1958年版解説目録に寄せられた乱歩の文章、ごくごく短いものですから、著作権関係はひとあし早くTPP、みたいな感じにしてしまって、というのはなんとも無茶苦茶な話ですけど、ひそかに全文を転載しておきたいと思います。
推理小説の本当の面白さは、長篇本格物にあると云うのが私の持論で、この考えは、今度の「現代推理小説全集」の編集を終えた今でもあまり変っていない。否むしろ強くなったと云うのが正しいだろう。というのは本格派衰退の声をよそに、英米における優秀な新人の抬頭と云ううれしい事実が確かめられたからである。完結をみたこの全集は、その周到な編集といい、翻訳家の充実ぶりといい、まことに劃期的な業績であって、戦前の推理小説の杜撰な紹介を知る者にとっては、一抹の感慨なきを得ない。
この全集のラインナップは、こちらでご確認いただけます。
▼ミステリー・推理小説データベース:東京創元社 現代推理小説全集
読んだ作品が一作もない、どころか、すべての作家の名前にみおぼえがない、というのですから、さすがの私もわれながら驚いてしまいますが、それはそれとして、この乱歩の推薦文、『江戸川乱歩執筆年譜』にぜひとも追記すべきところなれど、いったいどこに記載すればいいのか、それがようわかりません。
内容見本のたぐいには発行日は明記されてませんから、『江戸川乱歩執筆年譜』では、当該の全集やシリーズの配本がはじまった月に記載する、というルールを設けているのですが、解説目録の場合はどこに記載すればいいのか、というか、この解説目録、もしかしたらどこかに発行日が記されているのではないか、という気もするんですけど、とにかくようわからん、というしかないようなおはなしです。
つづきまして、これもお知らせいただいた情報のひとつなのですが、アメリカでほぼ半世紀前、こんな雑誌が発行されました。
ここに乱歩の「二癈人」らしい「TWO CRIPPLES」が掲載されていて、アメリカの古書販売サイトで売りに出ている、という情報をお寄せいただいたわけです。
▼ProfessorBooknoodle:Short Story International, May 1965, Stories by Nadine Gordimer, Edgawa Rampo, Ferenc Karinthy and Others
で、購入してはどうか、とアドバイスしていただいたんですけど、さすがの私にも購入方法がさっぱりわかりません。
世の中というのは、ほんとにわからないことだらけです。
こういう場合、私はすぐ、泣きつくことにしております。
ですから、かくかくしかじか、とメールでお伝えいたしましたところ、アマゾンにもおなじ雑誌があったよ、しかもあっちより安いし、と速攻でお答えをいただき、すわこそ、とは思ったのですが、アマゾンはアマゾンでもアメリカのアマゾンですから、私には取り引きがありません。
で、なんとか代理で購入していただけませんか、と、また泣きつき、ぽちっていただきましたところ、海外発送不可、とのことだそうで、こうなりますと、さすがの私ももうパニック。
結局、米国にお住まいのご友人を経由して代理購入していただく、というとんでもないお手数をおかけすることになったのですが、そのおり、ふと思いついたのが、こちらのコメントでございました。
▼2014年6月28日:欧米は大変だ > 欧米の乱歩書籍(2014年7月22日)
Dokutaさんから、『The Columbia Anthology of Modern Japanese Literature: From Restoration to Occupation, 1868-1945』という本が出ていて、乱歩の「人間椅子」が収録されていること、それから、新たな序文を附した『Japanese Tales of Mystery & Imagination』の新版が刊行されたことをお知らせいただき、『Japanese Tales of Mystery & Imagination』だけでも買っとかなきゃ、とは思ったのですが、さすがの私も米国アマゾンとは取り引きがなく、えーい、と思って、そのままにしてあったんですけど、このさい『Japanese Tales of Mystery & Imagination』の新版も米国アマゾンで代理購入していただけないものか、と思いつき、また泣きつき、おかげさまで、「Short Story International」の1965年5月号と2012年に出た『Japanese Tales of Mystery & Imagination』の新版の双方、無事に入手できることになったのですが、こうなると、こっちはどうしよう、と、この二、三日、そのことばかりが気になって。
▼Amazon.com:The Columbia Anthology of Modern Japanese Literature: From Restoration to Occupation, 1868-1945 (Modern Asian Literature Series) (vol. 1) [Paperback]
なんで、こんなことで、悩まなくちゃなんないの? とは思いますけど、本来であれば海外も視野に入れて乱歩関連資料の収集に努めるべき名張市立図書館が、いやいや、もともとのことをいえばべつに努めなくちゃなんないこともないんですけど、乱歩関連資料を収集いたしまーす、とぶちあげたのであれば、それはもう海外も視野に入れて乱歩関連資料の収集に努めるべきところではあるはずなんですけど、そんなあたりまえのことが、とても無理だ、というんですから、さすがの私もあきれ返ってしまいます。
そういえば、先日、こんなニュースが報じられました。
▼伊賀タウン情報YOU:清掃委託業者が廃業 契約解除手続きへ 伊賀・名張(2014年7月30日)
▼伊賀タウン情報YOU:清掃委託業者に契約解除通知 職員での清掃検討 名張市(2014年8月1日)
資料収集はできなくたって、名張市立図書館の公務員のみなさんにも、お掃除くらいはできるであろう。
心して励むように。
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