Nabari Ningaikyo Blog
Posted by 中 相作 - 2014.06.21,Sat
ついこのあいだ豊岡から帰ってきたとこなのに、きのうは奈良まで行って帰ってくる用事があり、奈良といえば当地から近いですからまあいいんですけど、ならまち、と通称される界隈をぶらぶらしてまいりました。
▼ならまち情報サイト:Homeこれが元興寺の裏あたり。
まあこんなとこなんですけど。
こんな商店街を通り抜けると。
猿沢の池に出ました。
ついでですから、永楽館がある出石の写真も掲載しときます。
これが出石城址。
城址からながめた出石のまち。
ならまちも出石もそうですけど、観光スポットとしてそれなりに整備しておかないことには、観光客は立ち寄ってくれない、ということでしょう。
名張のまちはもう、完全に手遅れみたいで、名張まちなか廃墟ツアー、とか、名張まちなか見納めツアー、とか、そういったことしかできないように思います。
さて、「乱歩の恋文」について、かつて乱歩のカリスマと呼ばれた者として、もう少しだけ述べておきますと、おそらくは筋金入りの乱歩ファンでも内心舌を巻いてしまうほど、乱歩についてよく調べられ、事実がたくみに組み合わされたお芝居となっております。
むろん、戯曲とするために改変が加えられた事実もありますが、それはお芝居ですから当然のことで、改変によって乱歩がいよいよ乱歩らしくなっている、みたいなところをご紹介申しあげたいんですけど、それにはやっぱ、戯曲を引用するのが手っ取り早いと思います。
以下、終幕近く、妹の力フルパワーで乱歩を再生させる隆子の長ぜりふから。
坂手で子供らにお伽話聞かせた時を覚えとる?お伽会が終わってからな、子供ら宥めるの大変やったんやよ。お伽のおじちゃん次いつ来るのって。あの子ら本当に楽しかったんやよ。あなたの語りの虜になったんや。あなたの語り口──文章は、誰にも真似なんてできやへん。あなただけのものや。本格探偵小説やって──元気になって、また挑戦したらええやん。生きとるかぎり考え続けたらええやん。この世にまだ生まれとらへんトリック。そんで疲れたら──いつか、子供らに読ませるお伽話も書いてえな。探偵小説のいいとこ一杯詰め込んで。子供らきっと大喜びで読むわぁ。隠れん坊のついでに探偵ごっこやってするかもしれへん。あなたのお話さえあれば、近所の路地裏が、怪しいものがうごめく秘密の場所になるんやよ。きっと大人になるまで忘れへん。闇の手触り……。そうやっていつか、誰かが、あなたが考えたトリックの──その先へ辿り着く。日本中の人が探偵小説を読む時が来るんやよ。それがあなたの本当の夢。幻想なんてマヤカシやなく、たった一つだけ確かな──希望ってものやったんやない。
以上、永楽館で販売していた「乱歩の恋文」上演台本から引用いたしましたが、こうして書き写しているだけで、舞台の緊張と客席のそれとが心地よく一体になった永楽館の空気がまざまざとよみがえってきて、いいお芝居だったな、とあらためて思い返されますが、昭和9年に作家としての危機を経験したあと、翌10年に本格探偵小説への情熱を再燃させた乱歩は、11年には少年ものに新たな領土を見出し、奇譚の世界へ回帰してゆくわけなんですけど、「乱歩の恋文」ではその回帰が、乱歩が鳥羽造船所に勤務していた当時、土地の子供たちにおとぎばなしを語って聞かせいていた事実に重ね合わせられていて、なかなかよく考えられた構成だと思いました。
奇譚への回帰といえば、乱歩生誕百二十年記念して『奇譚』を抄録する「伊賀一筆」の編集作業が、ここ一か月あまり、まったくほったらかしになっているではありませんか。
徳島だ、豊岡だ、と浮かれ騒いでいた楽しい時期に区切りをつけて、奇譚の世界へ帰んなきゃ。
そういえば、乱歩生誕百二十年を記念した「ミステリマガジン」、こんな感じだそうです。
「幻想と怪奇 乱歩生誕120周年」特集のミステリマガジンも見本がでました! pic.twitter.com/Sc2UIasXD8
— 早川書房 (@Hayakawashobo) 2014, 6月 20
どうぞお楽しみに。
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