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Nabari Ningaikyo Blog
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Posted by 中 相作 - 2014.06.05,Thu
雑誌

週刊文春 6月5日号
 平成26・2014年6月5日 第56巻第22号 講談社
 平成26・2014年5月29日発売
 B5判 176ページ 定価400円(本体370円)

横尾忠則(美術家)/江戸川乱歩にジュール・ヴェルヌ/美術家のルーツに迫る展覧会
 〈Close Up〉
 p116

週刊文春WEB:連載 > クローズアップ > 江戸川乱歩にジュール・ヴェルヌ 美術家のルーツに迫る展覧会

江戸川乱歩にジュール・ヴェルヌ
美術家のルーツに迫る展覧会
横尾忠則 (美術家)


2014.06.04 07:01



よこおただのり/1936年兵庫県生まれ。美術家。パリのカルティエ現代美術財団での個展など海外での発表が多く、国際的に高い評価を得ている。2013年香川県豊島に「豊島横尾館」開館。大阪市・国立国際美術館で開催されている「ノスタルジー&ファンタジー」にも作品を出品中。

 王子動物園や王子スタジアムといったレジャー施設が並ぶ神戸市灘区の町中に、2012年11月にオープンした横尾忠則現代美術館。

 日本を代表する美術家・横尾忠則さんの作品が数多く保管、展示された個人美術館だ。年4回のペースで催される企画展とともに、現在ではすっかり市民の憩いの場として定着している。

「絵の中に描かれた文字であるとか、動物であるとか、企画展のたびに学芸員さんが僕の絵の中にいろんな切り口を見つけ出してくれる。同じ絵でも毎回異なる視点で見ることができるから、何度も足を運んでくれるリピーターの方も多いと聞いています。

 実は開館のときに、僕自身も56個の企画展のアイディアを出して、遺言として渡してあるんです。たとえ今、僕が死んだとして、10年以上はテーマに困らないはずなんですよ(笑)」

 現在は「横尾探検隊 LOST IN YOKOO JUNGLE」と題された企画展が開催中だ(6月29日まで)。横尾作品に頻出する「洞窟」、「海洋ロマン」、「密林探検」といった少年的なモチーフを切り口に、そのインスピレーションの源泉を探るというもの。

「今の子供はどうなのかわからないけど、僕が10代の時は自分を主人公にして、友達と森の中を探検したりしていた。未知のものへの好奇心に燃えていましたね。その頃に堆積した体験や知識が、今でも僕の芸術の核となっています。

 この間、小学生の時の通知表を発見したんですが、『落ち着きがない』とか『幼児性が抜けない』とか書かれてあった。それが今になるまでまったく変わっていないんです(笑)。いまだに僕の中には子供が宿っていて、そいつが暴れているんですよ」



 展示では、故郷である西脇市で幼少期に見聞きした、江戸川乱歩やジュール・ヴェルヌの小説、ターザン映画なども併せて紹介されている。

「小説や映画も、未知の世界を旅できるようなものに惹かれていました。特に乱歩の小説なんて、冒険ものや怪奇もの、子供の求める要素がこれでもかと詰め込まれています。僕らの時代は乱歩でしたね」

 昨年にも、王子動物園の協力のもと、子供を対象としたワークショップを開くなどしている横尾さん。今回の展示もふくめた子供向けの企画展を、今後も年に一度は開催していくつもりだという。

「僕は、幼児性というのは、目的や結果を考えず、今その瞬間だけを見ることだと考えています。逆に言えば、子供を経験していない人は、現在を生きることができない。だから、子供にはできるだけいろんなものを見せた方が良いんですよ。個人の美術館にしかできないことをやっていきたいですね」

「横尾探検隊 LOST IN YOKOO JUNGLE」
6月29日まで
http://www.ytmoca.jp/exhibitions/2014/03/post-2.html
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