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Nabari Ningaikyo Blog
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Posted by 中 相作 - 2014.05.25,Sun

 いよいよ暑くなってきましたけど、伊賀鉄道上野市駅前芭蕉像杖破損事件、いまだ進展はないようです。

 まちBBSでは、『虚無への供物』を髣髴とさせるこんな推理合戦が。

 【忍者】伊賀市ってどうよ!?PART9【芭蕉】:480-483

 天狗のしわざ、というのを入れてもいいかもしれません。

 あるいは、天神さんのたたり、とか。

 2ちゃんねるでも、ちょっとだけ話題に。

 【三重】「どうやって壊したのか」「誰が何の目的でやったのか」…「許せない」、憤る地元、伊賀鉄道上野市駅前の松尾芭蕉像のつえ損壊:全部

 眼の醒めるような卓見明察名推理は、ネット上には転がっていないみたいです。

 そういえば去年の暮、ちょっと必要があって撮影したな、と思い出して、画像をひっぱり出してきました。


 この写真の杖、右手から上の部分が折れて落下していた、ということらしいんですけど。


 こうしてみてみると、この杖のにぎり、なんか卑猥じゃね? という気がしてこないでもありませんから、芭蕉がホモセクシャルだったことをあまりにも露骨に示しているからこんな杖だめよ、だめだめ、秘すれば花なり、というではないか、と考えた心ある市民が、勇を鼓して卑猥なとこを叩き折る挙に出たのかもしれません。

 あるいは、芭蕉生誕三百七十年だからといって、芭蕉のばの字も知らんような官民双方のうすらばかがバショーサンガーバショーサンガーバショーサンガーとけたたましく騒ぎ立てている愚かしさに業を煮やした心ある市民から、ええかげんにせえッ、という裂帛のツッコミがあの芭蕉像に加えられた、と考えることも可能でしょう。

 だいたいがあの芭蕉像、伊賀地域の一部には以前から批判が存在していて、たとえば亡くなった書家の榊莫山さんも批判者のおひとりでした。

 あれはいつであったか、榊さんが名張市内某所で講演なさったとき、芭蕉をあんな痩せこけた年寄りにしてどーするよ、と厳しく指摘していらっしゃったことをおぼえております。

 そりゃまあ、生誕三百七十年を迎えた芭蕉はすなわち1644年生まれ、死去したのは1694年でしたから、ちょうど五十年、生きてたわけで、おじいさんになる前に死んじゃった、といっていいと思うんですけど、にもかかわらずどうして上野市駅前の芭蕉像はおじいさんなんだ、というのが榊莫山さんのご意見でした。

 ですから、あの芭蕉像は論外として、実物の芭蕉にいちぱんよく似てる肖像はどれよ、ということになると、たぶん石塚公昭さんのこれではないか。

 Kimiaki Ishizuka's Home Page:松屋芭蕉

 いまはなき「中央公論Adagio」の表紙にこの人形が登場したとき、とくに頬っぺがいきいきとしていて肉づきがいいのに感動し、伊賀市の芭蕉翁記念館へ「中央公論Adagio」を一部お送りいただけませんか、と石塚さんにお願いしたような記憶があるんですけど、とにかく芭蕉ってのは、けっして枯れ枝のような老人ではなかったのではないかと思われます。

 だというのに、いつかしら老人イメージが定着し、芭蕉翁という呼称もまた一般化してるわけですけど、こりゃいったいなんでなんだろうな。

 いやいや、そんなことはまた暇なときにゆっくり考察するとして、いよいよ暑くなってきたというのに、わが名張市ではあいかわらず、乱歩生誕百二十年の話題なんてどこからも聞こえてきやしませんぜ。

 名張市にはもう、以前から申しておりますとおり、いいだけ絶望していただいていいかもしれません。

 まーあ、ひどいひどい。

 どんなふうにひどいか、っていうことは、今秋創刊してただちに終刊を迎えることになる個人雑誌「伊賀一筆」でくわしく発表する予定ですから、どうぞお楽しみにね。

 お楽しみといえば、乱歩生誕百二十年のお楽しみ、日本劇作家大会2014豊岡大会はどうでっしゃろ。


 えー、名張の乱歩研究家、とひとから呼ばれることもある私としては、6月14日早朝に当地を出発して電車で豊岡入り、「乱歩の恋文」の初日を拝見して一泊、という路線を考えていたのですが、それだといささか強行軍に過ぎる感じもしますから、初日はのんびり豊岡入り、舞台は翌日の二日目にする、としたほうがいいのかな、と悩んでおります。

 いずれにしても、6月14日の夜は、見知らぬ土地でひとりさびしく大宴会、ということになりそうですから、乱歩ファンのかた、またお芝居がお好きなかた、6月14日はぜひにぎにぎしく豊岡へどうぞ。

 乱歩ファンのかた、お芝居がお好きなかた、といえば、『完本黒蜥蜴』のご紹介がついつい遅れがちになってるんですけど、きょうもきょうとて、またツイッターから。


 ではここで、当ブログならではの極秘情報、この『完本黒蜥蜴』に隠された秘密をひとつ、お知らせしておきましょう。

 秘密というか、少し以前によく使用されたトリビアということばのほうが似つかわしいか、とにかくだれも知らない意外な事実です。

 乱歩生誕百二十年の年に出版された藍峯舎の豪華本『完本黒蜥蜴』は、解説担当者ふたりの年齢を合計すると百二十一になる。

 そんなのおめでたくもなんともねーやばーか、とわれながら思います。

 藍峯舎:Home

 ふところに余裕がおありのみなさんは、どーんと一冊いかがでしょうか。
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